アゼライン酸の効果とは?ニキビ・ニキビ跡への働きと効果が出るまでの期間、経過、クリームの使い方
アゼライン酸は、ニキビや肌の赤みが気になる方のスキンケア成分として注目されています。アゼライン酸配合の美容液やクリームが気になっている一方で、アゼライン酸にはどんな効果があるのか、ニキビ跡にも効くのか、効果が出るまでどれくらいかかるのかと迷う方もいるでしょう。
アゼライン酸は、海外ではニキビや酒さの治療薬として承認されている成分です。一方、国内では医薬品としては承認されておらず、化粧品の成分として使われています。
この記事では、アゼライン酸とは何か、アゼライン酸の効果、ニキビやニキビ跡への働き、効果が出るまでの期間と経過、アゼライン酸クリームの使い方、副作用と注意点までを、学会のガイドラインや海外の添付文書をもとに解説します。
※本記事に関するご注意
本記事は、執筆時点で確認できた公開情報をもとにした一般的な情報提供を目的としており、特定の製品の効果を保証するものではありません。
化粧品の使用感や、肌への合い方には個人差があります。
本記事で紹介する海外の医薬品の情報は、国内では医薬品として承認されていない成分に関するものです。治療については、必ず医師に相談してください。
肌に赤み、かゆみ、痛み、腫れなどの異常があらわれた場合は使用を中止し、皮膚科を受診してください。
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アゼライン酸とは
アゼライン酸の基本
アゼライン酸とは、小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれる、飽和ジカルボン酸と呼ばれる成分です。日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、アゼライン酸には、毛穴のつまりにつながる角化の異常をおさえる作用、抗菌作用、皮脂の分泌をおさえる作用、炎症をおさえる作用などがあるとされています。
こうした作用から、海外では長くニキビや酒さの治療に使われてきました。国内でも、アゼライン酸を配合した美容液、クリーム、化粧水、パックなどの化粧品が販売されています。
国内と海外での位置づけ
アゼライン酸は、国内と海外で位置づけが大きく異なる成分です。
米国では、アゼライン酸20%のクリームが、軽症から中等症の炎症性のニキビの治療薬として、アゼライン酸15%のゲルが、軽症から中等症の酒さの赤いブツブツや膿をもったブツブツの治療薬として承認されています。いずれも医師の処方が必要な医薬品です。
一方、国内では、アゼライン酸は医薬品としては承認されていません。国内では化粧品の含有成分の一つであり、医薬品としては未承認です。
アゼライン酸の国内と海外での位置づけを、表にまとめました。
項目 |
国内 |
海外 |
医薬品としての承認 |
承認されていない |
米国で20%クリームと15%ゲルが承認されている |
主な用途 |
化粧品の成分として、美容液やクリームなどに配合されている |
米国では、20%クリームは軽症から中等症の炎症性のニキビ、15%ゲルは軽症から中等症の酒さの赤いブツブツや膿をもったブツブツの治療 |
入手方法 |
化粧品として市販されている |
米国では医師の処方が必要 |
ガイドラインでの評価 |
ニキビに選択肢の一つとして推奨、推奨度C1、保険適用外 |
欧州の治療ガイドラインで、セカンドラインとして推奨されているとされる |
国内の医療機関でアゼライン酸を使ったニキビ治療を受ける場合は、保険が適用されません。
生アゼライン酸と誘導体の違い
化粧品には、アゼライン酸そのものを配合したもののほか、アゼライン酸の形を変えて水になじみやすくした誘導体を配合したものもあります。アゼライン酸そのものを配合していることを示すために、生アゼライン酸と呼ばれることもあります。
アゼライン酸の効果を調べた臨床試験の多くは、アゼライン酸を15%または20%配合した製剤で行われています。誘導体や低濃度の化粧品でも、同じ効果が得られるとは限りません。
アゼライン酸の効果
アゼライン酸の効果の仕組み
アゼライン酸には、複数の作用があるとされています。角化の異常をおさえる作用、抗菌作用、皮脂の分泌をおさえる作用、炎症をおさえる作用があります。
ニキビは、毛穴の出口の角質が厚くなって毛穴がつまり、皮脂がたまったところでアクネ菌が増えて炎症が起こることで悪化します。アゼライン酸は、このうち毛穴のつまり、アクネ菌、炎症のそれぞれに働きかけると考えられています。
ただし、試験管内の研究では、アクネ菌などに対する抗菌作用や、毛穴のつまりに関わる角化異常を改善する作用が示唆されています。
ガイドラインでの評価
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、アゼライン酸は白ニキビや赤ニキビの治療選択肢の一つとして推奨されています。ただし、推奨度はC1で、国内では医薬品として承認されておらず、保険も適用されません。
海外の臨床試験では、アゼライン酸によるニキビの改善効果が報告されています。国内でもアゼライン酸20%を配合した製剤の有効性と安全性が検討されていますが、研究報告はまだ限られています。
赤ら顔・酒さへの効果
アゼライン酸は、顔に赤みやブツブツが生じる酒さの治療にも使われています。日本皮膚科学会のガイドラインでは、赤いブツブツや膿をもったブツブツができるタイプの酒さに対して、治療選択肢の一つとして推奨されています。ただし、国内での研究は限られており、推奨度はC1です。
一方、ブツブツがなく、赤みや毛細血管の拡張が目立つタイプの酒さについては、アゼライン酸の効果を裏付ける十分な根拠がありません。赤ら顔にはさまざまな原因があるため、症状が続く場合は皮膚科を受診しましょう。
化粧品のアゼライン酸に期待できること
国内で販売されているアゼライン酸配合の製品は、化粧品です。化粧品は、肌をすこやかに保つことを目的とした作用がおだやかなもので、広告で表示できる効能は、法律にもとづいて決められた範囲に限られています。
化粧品の効能の範囲には、肌を整える、皮膚をすこやかに保つ、皮膚にうるおいを与えるといった項目があります。化粧品は、ニキビを治療するためのものではありません。
海外の臨床試験で確認された効果が、国内で販売されているすべてのアゼライン酸配合化粧品でも得られるとは限りません。ニキビの症状が続く場合は、化粧品だけに頼らず、皮膚科を受診しましょう。
アゼライン酸のニキビへの効果
白ニキビ・赤ニキビへの効果
アゼライン酸は、白ニキビなどの毛穴がつまった段階のニキビと、赤ニキビなどの炎症を起こしたニキビの両方に効果が示されています。毛穴のつまりをおさえる作用と、抗菌作用、炎症をおさえる作用をあわせもつためです。
海外の臨床試験では、アゼライン酸20%のクリームを使用した炎症性ニキビの患者の多くで、4週間以内に改善がみられたと報告されています。
ニキビ治療での位置づけ
国内のニキビ治療では、保険が適用される塗り薬や飲み薬が主に使用されています。アゼライン酸も治療選択肢の一つですが、国内では医薬品として承認されておらず、保険は適用されません。
ニキビを繰り返す場合や、炎症を起こしたニキビが多い場合は、化粧品だけで対処せず、皮膚科を受診しましょう。早めに適切な治療を受けることで、ニキビ跡が残るリスクを減らせます。
ニキビが増えたと感じるとき
アゼライン酸を使い始めてから、ニキビが増えた、ニキビができると感じる方もいます。原因としては、肌に合わずに刺激を受けている、ほかのスキンケアとの組み合わせで刺激が強くなっている、使い始めの時期にもともとのニキビが悪化しているといったことが考えられます。
ニキビが増えた状態が続く場合や、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感が強い場合は、使用を中止しましょう。自己判断で使い続けず、皮膚科で相談することが大切です。
アゼライン酸のニキビ跡への働き
ニキビ跡の種類
ニキビ跡には、赤みが残るもの、茶色っぽい色素沈着が残るもの、皮膚が凹んだり盛り上がったりする瘢痕があります。
赤みのニキビ跡は炎症後紅斑、茶色いニキビ跡は炎症後色素沈着と呼ばれます。どちらも、ニキビの炎症がおさまったあとに残るものです。
凹んだニキビ跡は萎縮性瘢痕と呼ばれ、皮膚の深い部分まで炎症が及んだことで起こります。
赤みや色素沈着のニキビ跡への研究
海外の臨床試験では、アゼライン酸15%のゲルを使用することで、赤みのあるニキビ跡が改善したと報告されています。また、茶色い色素沈着についても改善が報告されていますが、アゼライン酸による効果かどうかは十分に確認されていません。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ニキビ跡の治療としてアゼライン酸は推奨されておらず、その効果については、さらに研究が必要です。
凹んだニキビ跡は医療機関で相談
凹んだニキビ跡は、皮膚の深い部分の変化によるもので、化粧品で改善することは難しいと考えられます。凹んだニキビ跡や、なかなか消えないニキビ跡が気になる場合は、皮膚科や美容皮膚科で相談しましょう。
ニキビ跡を残さないためには、ニキビを早めに治療し、炎症を長引かせないことが大切です。ニキビをつぶしたり、さわったりしないようにしましょう。
アゼライン酸の効果が出るまでの期間と経過
効果が出るまでの期間の目安
海外の臨床試験では、アゼライン酸20%のクリームを使用した炎症性ニキビの患者の多くで、4週間以内に改善がみられたと報告されています。また、酒さでは12週間、赤みのあるニキビ跡では8週間以降に改善効果が確認されています。
ただし、効果が現れるまでの期間には個人差があります。また、国内で販売されている化粧品は、アゼライン酸の濃度や配合が製品によって異なるため、同じ期間で効果が得られるとは限りません。
使い始めの経過とヒリヒリ感
アゼライン酸を使い始めた時期には、ヒリヒリ感やかゆみ、灼熱感が出ることがあります。また、かゆみ、灼熱感、ヒリヒリ感は、通常は治療の最初の数週間にみられることがあります。
アゼライン酸15%のゲルの試験では、灼熱感やヒリヒリ感が29%、かゆみが11%、乾燥が8%に報告されています。アゼライン酸20%のクリームでは、かゆみ、灼熱感、ヒリヒリ感が1〜5%程度とされています。
軽いヒリヒリ感であれば、使い続けるうちにおさまることもあります。ただし、刺激が強い場合や続く場合は、使用を中止しましょう。
好転反応と悪化の見分け方
アゼライン酸を使い始めて肌の状態が悪くなったときに、好転反応だと考えて使い続ける方もいます。ただし、強い刺激やかゆみ、赤みなどが続く場合は、使用を中止して皮膚科を受診しましょう。
赤みやかゆみが強い、ヒリヒリ感が続く、ニキビや赤みが悪化していくといった場合は、肌に合っていない可能性があります。好転反応と自己判断せず、使用を中止して皮膚科で相談しましょう。
アゼライン酸クリームの使い方
クリームや美容液の使い方
化粧品のアゼライン酸クリームや美容液は、製品の使用方法に書かれた量と順番を守って使いましょう。はじめて使う製品は、腕の内側などで試してから、顔に使うと安心です。
使用する際は、目や口、鼻の粘膜に付着しないよう注意しましょう。
朝と夜のタイミングと使う量
米国で承認されているアゼライン酸の医薬品は 、1日2回使うとされています。化粧品の場合は、朝晩使うもの、夜だけ使うものなど、製品によって異なるため、使用方法を確認しましょう。
肌が敏感な方は、はじめは1日1回、少量から始め、肌の様子をみながら回数を調整する方法もあります。量を多く塗っても、効果が高まるわけではありません。
朝に使う場合は、日中の紫外線対策もあわせて行いましょう。紫外線は、ニキビ跡の色素沈着を濃くする原因になります。
レチノールやビタミンCとの併用の考え方
アゼライン酸を、レチノールやビタミンC、ピーリング成分などと一緒に使いたいと考える方もいるでしょう。こうした成分も肌に刺激を感じることがあるため、同時に使い始めると、刺激が重なって肌荒れにつながるおそれがあります。
併用する場合は、まずアゼライン酸だけを使って肌の様子を確かめ、慣れてから1つずつ加えるようにしましょう。朝と夜で使い分ける方法もあります。
皮膚科でニキビの治療薬を処方されている場合は、自己判断でアゼライン酸を加えず、医師に相談してください。
アゼライン酸クリームの選び方
アゼライン酸クリームを選ぶときは、アゼライン酸そのものが配合されているか、誘導体が配合されているかを、成分表示で確認しましょう。化粧品には、配合されているすべての成分が表示されています。
濃度が高いほど刺激を感じやすくなる可能性があるため、はじめて使う方や肌が敏感な方は、刺激の少ない処方の製品から試すと安心です。国内では20%アゼライン酸を含む刺激の少ない製剤が化粧品として販売されています。
クリーム、美容液、化粧水、パックなど、形状によって使い心地が異なります。毎日続けやすいものを選ぶことが大切です。
アゼライン酸の副作用と注意点
アゼライン酸の主な副作用
アゼライン酸の主な副作用には、かゆみ、赤み、ヒリヒリ感などがあります。多くは軽度ですが、刺激が強く出る場合もあります。
主な副作用とその発生頻度を、米国の医薬品の添付文書をもとに表にまとめました。
副作用 |
アゼライン酸15%ゲル |
アゼライン酸20%クリーム |
灼熱感、ヒリヒリ感 |
29% |
1〜5%程度 |
かゆみ |
11% |
1〜5%程度 |
乾燥、皮むけ |
8% |
1%未満 |
赤み、刺激 |
4% |
1%未満 |
肌の色が薄くなる |
まれに報告 |
まれに報告 |
海外では、アゼライン酸の使用中に、まれにぜんそくの悪化や口唇ヘルペスの再発が報告されています。ただし、アゼライン酸との因果関係は明らかではありません。使用中に異常が現れた場合は、使用を中止して医師に相談しましょう。
肌の色が薄くなることがある
アゼライン酸を使った人で、肌の色が薄くなる色素脱失の報告がまれにあります。肌の色が濃い人でのアゼライン酸の研究は十分ではないため、肌の色の変化に注意して経過をみることとされています。
塗った部分の肌の色が、まわりより白っぽく抜けてきたと感じた場合は、使用を中止して皮膚科を受診しましょう。
目の周りや妊娠中・授乳中の注意
アゼライン酸は、目に入ると刺激になることがあります。目や口、粘膜に触れないようにし、目に入った場合は多量の水で洗い流し、刺激が続く場合は医師に相談してください。
妊娠中や授乳中のアゼライン酸の使用については、安全性に関する情報が限られています。妊娠中や授乳中の方は、使用前に医師に相談しましょう。
アゼライン酸に関するよくある質問
アゼライン酸は市販で買えますか?
アゼライン酸を配合した化粧品は、ドラッグストアや通販などで市販されています。国内では、アゼライン酸は医薬品として承認されていないため、市販されているのは化粧品です。
皮膚科でアゼライン酸を処方してもらえますか?
アゼライン酸は国内では医薬品として承認されていないため、保険診療で処方されることはありません。医療機関によっては、自由診療でアゼライン酸を含む製剤を扱っている場合があります。費用は医療機関によって異なるため、受診前に確認しましょう。
アゼライン酸は毛穴に効果がありますか?
アゼライン酸には、毛穴のつまりにつながる角化異常を抑える作用があります。ただし、毛穴の開きや目立ちを改善する効果については、十分な科学的根拠がありません。
アゼライン酸はシミや肝斑に効果がありますか?
海外の臨床試験では、アゼライン酸20%の製剤に肝斑を改善する効果が報告されています。ただし、一般的なシミすべてに効果があるわけではなく、国内ではシミや肝斑の治療薬として承認されていません。
シミにはさまざまな種類があるため、気になる場合は皮膚科で相談しましょう。
アゼライン酸の効果がないと感じたらどうすればよいですか?
アゼライン酸の効果が現れるまでには、数週間から3か月程度かかることがあります。ただし、使用を続けても改善がみられない場合は、ニキビや赤みの原因が異なる可能性もあります。自己判断で使い続けず、皮膚科で相談しましょう。
アゼライン酸の効果と使い方のまとめ
アゼライン酸は、角化の異常をおさえる作用、抗菌作用、皮脂の分泌をおさえる作用、炎症をおさえる作用をもつ成分で、日本皮膚科学会のガイドラインでは、ニキビに対して選択肢の一つとして推奨されています。ただし、国内では医薬品として承認されておらず、保険適用外で、市販されているのは化粧品です。
アゼライン酸の効果が出るまでには、数週間から3か月程度かかると考えられます。アゼライン酸を使い始めると、ヒリヒリ感や赤みが生じることがあります。症状が強い場合や悪化が続く場合は、好転反応と自己判断せず、使用を中止して皮膚科を受診しましょう。
参照リンク
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日本皮膚科学会:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
-
大阪府:化粧品の効能効果の範囲
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U.S. Food and Drug Administration:AZELEX azelaic acid cream 20% Prescribing Information
-
U.S. Food and Drug Administration:FINACEA azelaic acid gel 15% Prescribing Information
-
PubMed:A systematic review to evaluate the efficacy of azelaic acid in the management of acne, rosacea, melasma and skin aging
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DOAJ:Effects of 15% Azelaic Acid Gel in the Management of Post-Inflammatory Erythema and Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Acne Vulgaris
-
Journal of Drugs in Dermatology:Efficacy and Safety of Azelaic Acid Gel 15% in the Treatment of Post-Inflammatory Hyperpigmentation and Acne