茵蔯五苓散とは?効果・効能と副作用|五苓散との違いもわかりやすく解説
吐き気やむくみ、じんましん、飲みすぎた翌日のむかつき。こうした症状で処方されることのある漢方薬のひとつが茵蔯五苓散です。
処方箋やお薬手帳では「ツムラ茵ちん五苓散エキス顆粒(医療用)」のように、一部がひらがなで表記されていることがあります。同じものを指しているのですが、表記が揺れるため戸惑う方も少なくありません。また、名称のよく似た五苓散との違いがわかりにくいという声もよく聞かれます。
この記事では、茵蔯五苓散の成り立ちと含まれる生薬、承認されている効能効果、五苓散との違い、飲み方と飲むタイミング、副作用と注意点、アルコールとの関係、そしてダイエット目的で使えるのかという点までを、添付文書などの公開情報をもとに整理してお伝えします。
※注意事項
本記事は、執筆時点で公開されている添付文書などの情報をもとにした一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療や製品の使用をすすめるものではありません。診断や治療方針の決定に代わるものではない点をご理解ください。
漢方薬の効果や副作用の現れ方には個人差があります。漢方では体質や症状の現れ方を「証」として捉え、それに合っているかどうかで適否が判断されます。同じ症状でも、人によって適した処方は異なるとされています。
茵ちん五苓散エキス顆粒は医療用医薬品であり、医師の処方が必要です。服用の可否や用法用量については、必ず医師または薬剤師の判断を仰いでください。自己判断での服用や、他の人に処方された薬を使用することは避けてください。
体重を減らすことを目的とした効能効果は承認されていません。ダイエットのために用いるものではありません。
じんましんやむくみ、吐き気といった症状の背景には、検査が必要な疾患が隠れている場合があります。症状が続く場合や強い場合は、自己判断せず医療機関で原因を確かめてください。
添付文書の内容や薬価は改訂されることがあります。最新の情報については、製造販売元の公式情報や医療機関でご確認ください。
茵蔯五苓散とは?効果・効能と特徴
茵蔯五苓散は、漢方製剤に分類される医療用医薬品です。6種類の生薬を組み合わせた処方から抽出したエキスを、飲みやすい顆粒の形にしたものが流通しています。
漢方では、体内の水分がうまく巡らずに偏っている状態を「水滞」あるいは「水毒」と表現します。茵蔯五苓散は、この水の偏りを整える働きに加えて、体内にこもった熱や湿りを取り除く方向の働きが期待される処方として位置づけられています。
内科や皮膚科、消化器内科などで処方されることがあります。
茵蔯五苓散という処方の成り立ち
茵蔯五苓散は、中国の後漢時代に成立したとされる古典医書『金匱要略』に収載されている処方です。五苓散が『傷寒論』と『金匱要略』の両方に記載されているのに対し、こちらは『金匱要略』を出典としています。
名称からもわかるとおり、五苓散という処方にインチンコウという生薬を加える形で構成されています。日本では1986年に医療用のエキス顆粒が販売開始されており、五苓散エキス顆粒と同じ時期から流通してきました。
「茵蔯五苓散」と「茵ちん五苓散」の表記の違い
茵蔯五苓散に使われている「蔯」という漢字は常用漢字ではなく、環境によっては正しく表示されないことがあります。そのため、医薬品の販売名では「茵ちん五苓散」とひらがなを交えた表記が用いられています。ツムラの医療用製品の正式な販売名も「ツムラ茵ちん五苓散エキス顆粒(医療用)」であり、ひらがな表記が公式なものです。
一方、漢方の古典や解説書では「茵蔯五苓散」と漢字で表記されています。医薬品情報のデータベースでも、一般名として茵ちん五苓散、成分名として茵蔯五苓散というように、両方の表記が併存しています。
つまり、茵蔯五苓散と茵ちん五苓散はまったく同じものを指しています。調べる際にどちらの表記でも同じ処方の情報にたどり着けると考えて差し支えありません。
茵蔯五苓散の読み方と製品番号
茵蔯五苓散の読み方は「いんちんごれいさん」です。茵ちん五苓散という表記であっても読み方は変わりません。
医療用の漢方製剤には製造販売元ごとに番号が振られており、ツムラの製品では117番が割り当てられています。処方箋や薬袋に「ツムラ117」と記載されているのを見かけることがありますが、これはこの番号を指しています。
ちなみに五苓散には17番が割り当てられています。数字が似ているため、処方内容を確認する際は番号だけでなく製品名も見ておくと確実です。
茵蔯五苓散に含まれる6つの生薬
茵蔯五苓散の特徴を理解するうえで、含まれる生薬を押さえておくと役立ちます。
ツムラ茵ちん五苓散エキス顆粒(医療用)の場合、1日量7.5g中に混合生薬の乾燥エキス2.75gが含まれており、その原料となる生薬の配合はタクシャ6.0g、ソウジュツ4.5g、チョレイ4.5g、ブクリョウ4.5g、インチンコウ4.0g、ケイヒ2.5gとなっています。
五苓散の5生薬にインチンコウを加えた構成
茵蔯五苓散の構成を見ると、五苓散に含まれるタクシャ、ソウジュツ、チョレイ、ブクリョウ、ケイヒの5種類に、インチンコウが加わった6種類であることがわかります。
ここで注目したいのが、単にインチンコウが足されただけではないという点です。五苓散エキス顆粒ではタクシャが4.0g、ソウジュツ、チョレイ、ブクリョウがそれぞれ3.0g、ケイヒが1.5gであるのに対し、茵蔯五苓散ではいずれもおよそ1.5倍前後に増えています。
乾燥エキスの量も、五苓散エキス顆粒の2.0gに対して2.75gと多くなっています。生薬を1種類加えただけの処方ではなく、全体の配合量が多くなっているということです。
インチンコウとはどのような生薬か
インチンコウとは、カワラヨモギというキク科の植物の頭花を用いた生薬です。漢字では茵蔯蒿と書きます。
漢方では、体内にこもった湿りと熱を取り除く方向に働く生薬として位置づけられており、古くから黄疸に関連する処方に配合されてきた歴史があります。インチンコウを主薬とする処方には、茵蔯蒿湯などが知られています。
この生薬が加わることで、五苓散が持つ水分調節の働きに、別の方向性が加わると考えられています。
甘草を含まない処方であること
漢方薬について語られる際によく話題になるのが、カンゾウという生薬です。多くの漢方処方に含まれており、複数の漢方薬を併用すると摂取量が重なりやすいことが知られています。
カンゾウを多く摂ることで、血圧の上昇やむくみ、体のだるさ、手足のしびれといった症状が現れる偽アルドステロン症が問題になることがあります。
茵蔯五苓散は、五苓散と同様にカンゾウを含まない処方です。この点は、他の漢方薬と併用する場面で考慮される要素のひとつとなっています。
ただし、カンゾウを含まないからといって注意が不要というわけではありません。他の漢方製剤を併用する場合は、含有生薬の重複に注意することが添付文書でも求められています。
茵蔯五苓散の効能・効果
茵蔯五苓散の添付文書に記載されている効能・効果
ツムラ茵ちん五苓散エキス顆粒(医療用)の効能効果は、「のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症」として、嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つが挙げられています。
のどが渇くこと、そして尿の量が少ないことが前提条件として置かれている点が重要です。この条件に当てはまらない場合は、対象として想定されていないことになります。
じんましんが茵蔯五苓散の効能に含まれる理由
茵蔯五苓散の効能効果の中で目を引くのが、じんましんです。水分の巡りに関わる処方でありながら皮膚症状が挙げられているのは、意外に感じられるかもしれません。
漢方では、皮膚に現れる症状の一部を、体内の水分や熱の偏りと関連づけて捉えることがあります。じんましんのように急に現れて盛り上がり、やがて引いていく症状は、水の動きと結びつけて考えられてきました。
インチンコウが加わることで、そうした方向への働きが期待されると説明されることがあります。皮膚科で処方されることがあるのは、この効能効果によるものです。
なお、五苓散の効能効果にじんましんは含まれていません。これは両者の使い分けを考えるうえで、わかりやすい違いのひとつです。
肝臓や黄疸は茵蔯五苓散の効能・効果に含まれない
茵蔯五苓散について調べていると、肝臓や黄疸との関連に触れた情報を目にすることがあります。インチンコウが黄疸に関わる処方に用いられてきた経緯や、古典における記述が背景にあります。
しかし、日本で承認されている効能効果に、肝機能の改善や黄疸は含まれていません。効能効果はあくまで嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つです。
漢方で古くから用いられてきた目的と、現在、医薬品として認められている効能・効果は必ずしも同じではありません。肝機能の異常を指摘されている場合は、自己判断で茵蔯五苓散に頼らず、まず医療機関を受診して原因を確認しましょう。
茵蔯五苓散と五苓散の違い
茵蔯五苓散と五苓散の構成生薬と配合量の違い
茵蔯五苓散と五苓散の構成生薬と配合量について、最も明確な違いは、インチンコウが含まれているかどうかです。五苓散はタクシャ、ソウジュツ、チョレイ、ブクリョウ、ケイヒの5種類、茵蔯五苓散はこれにインチンコウを加えた6種類で構成されています。
加えて、共通する5つの生薬についても配合量が異なります。ツムラの医療用製品で比べると、タクシャは4.0gに対して6.0g、ソウジュツ、チョレイ、ブクリョウはそれぞれ3.0gに対して4.5g、ケイヒは1.5gに対して2.5gです。乾燥エキスの量も2.0gに対して2.75gとなっています。
生薬が1つ増えただけでなく、全体として濃い設計になっている点は押さえておきたいところです。
茵蔯五苓散と五苓散の効能・効果の違い
茵蔯五苓散と五苓散の効能効果を並べると、対象とする症状の幅がかなり異なります。
五苓散エキス顆粒の効能効果は、口渇と尿量減少を前提として、浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病と幅広く設定されています。
一方の茵蔯五苓散は、嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つに絞られています。
五苓散は下痢や頭痛、めまいなどに、茵蔯五苓散はじんましんなどに用いられます。
二日酔に関連する記載は、表現が異なるものの双方に含まれています。
薬価の違い
添付文書に示されている薬価は、ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)が1gあたり13.5円であるのに対し、ツムラ茵ちん五苓散エキス顆粒(医療用)は1gあたり25.5円です。
生薬の量が多く、インチンコウが加わっていることを踏まえると、価格差はおよそ2倍近くになります。いずれも保険が適用されるため、窓口での負担はこれに自己負担割合を掛けた金額に、診察料などが加わる形になります。
茵ちん五苓散と五苓散の使い分け
茵ちん五苓散と五苓散のどちらが選ばれるかは、症状と証によって判断されます。
のどが渇いて尿量が少ないという共通の前提のうえで、下痢や頭痛、めまいが主な悩みであれば五苓散が、じんましんをともなう場合には茵蔯五苓散が候補になりやすいと考えられます。
同じ症状でも、体質や症状の現れ方によって適した漢方薬は異なります。自己判断で使い分けず、医師や薬剤師に相談してください。
茵蔯五苓散の飲み方と飲むタイミング
茵蔯五苓散の飲み方は五苓散エキス顆粒と共通しています。
茵蔯五苓散の用法用量
通常、成人1日7.5gを2回から3回に分割し、食前または食間に経口投与するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
分包品では1包が2.5gに設定されているため、1日3包を目安に飲む形が一般的です。
食前・食間に飲む理由
漢方薬の多くは食前または食間に飲むよう指示されます。食間とは食事と食事の間、つまり食後2時間程度を経過した空腹の時間帯を指します。食事中という意味ではありません。
空腹時に飲むことが基本とされるのは、生薬の成分が吸収されやすいと考えられているためです。
ただし、胃腸が弱く空腹時に飲むと不快感が出る場合には、食後に変更されることもあります。飲むタイミングで困っている場合は、医師や薬剤師に相談してください。
飲み忘れたときの対応
飲み忘れに気づいたときは、次に飲む時間まで十分な間隔があるかどうかで判断します。次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飛ばして次の分から通常どおり服用してください。2回分を一度に飲むことは避けてください。
顆粒が飲みにくいときの工夫
茵ちん五苓散エキス顆粒は、添付文書上、味がわずかに渋いと記載されています。特異なにおいもあるため、飲みにくさを感じる方がいます。
少量の白湯に溶かして飲む方法や、オブラートを利用する方法が知られています。
ただし、他の飲み物や食品に混ぜてよいかどうかは状況によって判断が分かれます。自己流で工夫する前に、薬剤師に確認することをおすすめします。
茵蔯五苓散の処方が検討されるケース・注意が必要な人
茵蔯五苓散の承認されている効能効果に該当していても、誰にでも適しているわけではありません。
茵蔯五苓散の処方が検討される主なケース
のどが渇いて水分を多く摂るにもかかわらず、尿の量が少ないという状態が基本的な目安になります。そのうえで、吐き気や嘔吐、じんましん、飲みすぎた翌日のむかつき、むくみといった症状をともなう場合が対象とされています。
特に、じんましんを繰り返していて、あわせてむくみやのどの渇きを自覚しているという方は、この処方が候補になることがあります。
いずれも、症状が当てはまるだけで適しているとは限りません。体質や症状の現れ方を含めて、漢方でいう「証」に合っているかを判断します。
茵蔯五苓散の服用に注意が必要な人
添付文書では、使用にあたって患者の証を考慮して投与すること、経過を十分に観察し、症状や所見の改善が認められない場合には継続投与を避けることが求められています。
妊娠中の方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。授乳中の方については、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、授乳を続けるか中止するかを検討することとされています。
高齢の方については、一般に体の機能が低下していることから、減量するなど注意して投与することとされています。
持病がある方、他に薬を飲んでいる方は、開始前に必ずその旨を医師または薬剤師に伝えてください。
子供に使えるか
小児を対象とした臨床試験は実施されていません。
子どもに使用する場合は、年齢や体重、症状などを考慮して服用量を調整します。自己判断で大人用の薬を減量して使用せず、医師や薬剤師に相談してください。
茵蔯五苓散の副作用と注意点
漢方薬は副作用がないと思われがちですが、医薬品である以上、副作用の報告があります。
茵ちん五苓散で報告されている副作用
ツムラ茵ちん五苓散エキス顆粒(医療用)の添付文書には、重大な副作用の項目は設けられていません。その他の副作用として挙げられているのは、過敏症のみです。
具体的には、発疹、発赤、そう痒などが記載されており、頻度は不明とされています。
なお五苓散エキス顆粒では、過敏症に加えて肝機能異常が副作用として記載されていますが、茵ちん五苓散エキス顆粒の添付文書には肝臓に関する記載はありません。
じんましんに用いられる処方でありながら、副作用として発疹やかゆみが挙げられている点には注意が必要です。飲み始めてから皮膚症状が悪化した場合は、自己判断で続けず相談してください。
茵蔯五苓散と他の漢方薬を併用するときの注意
他の漢方薬と併用する場合は、同じ生薬が重複して含まれていないか注意が必要です。
漢方薬は複数の生薬から構成されているため、別々の処方であっても同じ生薬が含まれていることがあります。特に五苓散と茵蔯五苓散は5つの生薬が共通しているため、両方を同時に飲むようなことは避けなければなりません。
複数の医療機関から漢方薬を処方されている場合や、市販の漢方薬を併用したい場合は、お薬手帳を提示したうえで薬剤師に確認してください。
茵蔯五苓散の効果を感じないときの考え方
一定期間服用しても症状が改善しない場合は、漫然と服用を続けず、医師や薬剤師に相談してください。
漢方薬は長く飲まなければ効かないという印象を持たれることがありますが、急性の症状に用いられる場面では比較的短い期間で判断されることもあります。
一定期間服用しても症状が改善しない場合は、漢方薬が体質や症状に合っていない可能性や、別の原因が隠れている可能性があります。自己判断で服用量を増やさず、処方した医師に相談してください。
茵蔯五苓散とアルコール・二日酔いの関係
二日酔のむかつきが効能に含まれる理由
茵蔯五苓散の効能効果には「二日酔のむかつき」が明記されています。のどが渇いて尿が少ないという前提のもとで、飲みすぎた翌日の吐き気や胃のむかつきが対象とされているわけです。
飲酒後は、アルコールの利尿作用によって体内の水分バランスが崩れやすいことが知られています。のどの渇きを感じるのはそのためです。水の偏りを整える方向に働く処方が、この状態に用いられてきた背景にはこうした事情があります。
なお五苓散の効能効果にも「二日酔」が含まれており、この点は両者に共通しています。
飲酒前後に飲んでよいか
茵蔯五苓散の効能効果に二日酔のむかつきが含まれているとはいえ、飲酒を前提に常用するような使い方が想定されているわけではありません。
そもそもこの薬は医師の処方が必要な医療用医薬品です。処方された目的以外の場面で、手元にあるものを自己判断で使うことは避けてください。
また、飲酒後に薬を飲むことについては、体調や併用している他の薬によって判断が変わります。飲酒の習慣がある場合は、その旨を診察時に伝えたうえで確認してください。
肝機能の数値が気になる場合
飲酒との関連で肝機能の数値を指摘されている方が、この処方に関心を持つことがあります。
しかし承認されている効能効果に、肝機能の改善は含まれていません。数値が気になる場合は、まず内科で原因を確かめることが先決です。
そのうえで、飲酒量そのものを見直すことが本質的な対応になります。薬でカバーしようとする発想は、結果的に問題の発見を遅らせることにつながりかねません。
茵蔯五苓散はダイエットに使えるのか
茵蔯五苓散とダイエットを結びつけた情報が見られますが、承認された効能効果に基づくものではありません。
茵蔯五苓散に痩せる効能は承認されていない
添付文書に記載されている効能効果は、嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つです。体重の減少や肥満の改善は含まれていません。
ダイエットを目的とした使用は、承認された効能効果の範囲外にあたります。また、この薬は医師の処方が必要な医療用医薬品であり、痩せることを目的に処方を求めるような使い方は想定されていません。
むくみと体重の関係
効能効果にむくみが含まれているため、体重が減るのではないかと考える方がいます。
水分の偏りが整うことで、一時的に体重の数値が動くことはありえます。しかしそれは体内の水分量が変化しただけであり、脂肪が減っているわけではありません。
そもそも、むくみが慢性的に続いている場合は、腎臓や心臓、甲状腺などの疾患が背景にある可能性があります。体重を落とす目的で漢方薬を探す前に、むくみの原因を医療機関で確かめることをおすすめします。
茵蔯五苓散は市販で買える?
茵蔯五苓散の市販品の流通状況
茵蔯五苓散は、五苓散に比べて市販されている製品が少なく、ドラッグストアなどでは見つけにくい場合があります。
市販品を探す際は、パッケージに記載されている処方名が茵蔯五苓散または茵ちん五苓散であることを確認してください。名称が似ているだけの別処方を選んでしまわないよう注意が必要です。
なお、じんましんが続く場合や、むくみが長く続く場合、急に体重が増えた場合、息苦しさをともなう場合などは、市販品で対応を続けず医療機関を受診してください。
茵ちん五苓散を医療機関で処方してもらう方法
処方を希望する場合は、内科を受診するのが一般的です。じんましんが主な悩みであれば皮膚科でも相談できます。
漢方薬は保険診療で処方されるため、症状に応じた病名がつけられます。吐き気、じんましん、二日酔のむかつき、むくみといった症状が、効能効果の範囲に含まれているかどうかが処方の前提になります。
診察の際には、のどの渇きの有無、尿の量や回数、症状が出やすい状況などを具体的に伝えると、適した漢方薬を判断する参考になります。
通販・個人輸入の注意点
インターネット上には医薬品を扱うサイトが数多くありますが、海外から取り寄せる個人輸入代行を利用することにはリスクがあります。
届いた製品が本物である保証はなく、成分が表示と異なる、不純物が混入しているといった偽造医薬品の問題が報告されています。また、医薬品副作用被害救済制度は国内で適正に使用された医薬品による健康被害を対象としており、個人輸入したものは対象外です。
漢方薬は、体質や症状の現れ方によって適した処方が異なります。自己判断で選ばず、医師や薬剤師に相談しましょう。
茵蔯五苓散に関するよくある質問
茵蔯五苓散は何に効く薬ですか。
茵蔯五苓散は、のどが渇いて尿が少ない状態を前提に、嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみに用いられます。承認されている効能効果はこの4つです。体内の水分の偏りを整える方向に働く処方に、インチンコウを加えた構成になっています。
茵蔯五苓散と五苓散の違いは何ですか。
インチンコウが含まれているかどうかが最も大きな違いです。加えて、共通する5つの生薬の配合量も1.5倍前後に増えています。効能効果も異なり、じんましんは茵蔯五苓散の側に、下痢や頭痛、めまいは五苓散の側に含まれています。
茵蔯五苓散を飲むと痩せますか。
茵蔯五苓散に、体重の減少や肥満の改善は、承認された効能効果に含まれていません。むくみが改善して一時的に体重の数値が動くことはありえますが、脂肪が減る性質のものではありません。ダイエットを目的とした使用は範囲外にあたります。
お酒を飲む前に飲んでもよいですか。
茵蔯五苓散の効能効果に二日酔のむかつきが含まれていますが、飲酒を前提に常用することが想定されているわけではありません。医師の処方が必要な医療用医薬品であるため、処方された目的以外での使用は避けてください。
じんましんに効きますか。
じんましんは、茵蔯五苓散の効能・効果に含まれています。ただし、のどの渇きや尿量の減少がある場合に用いられる薬で、すべてのじんましんに適しているわけではありません。症状が続く場合は、皮膚科を受診してください。
副作用はありますか。
茵蔯五苓散の副作用については、発疹、発赤、そう痒といった過敏症が報告されています。頻度は不明とされています。服用後に発疹などの皮膚症状が現れたり、もともとの症状が悪化したりした場合は、服用を続けず医師や薬剤師に相談してください。
妊娠中でも飲めますか。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。自己判断で使わず、必ず医師に相談してください。
茵ちん五苓散はいつ飲むのが正しいですか。
食前または食間に飲むよう指示されています。食間とは食事と食事の間、食後2時間程度の空腹時を指し、食事中という意味ではありません。空腹時に胃の不快感が出る場合は、飲むタイミングの変更を相談してください。
茵蔯五苓散の効果と副作用に関するまとめ
茵蔯五苓散は、タクシャ、ソウジュツ、チョレイ、ブクリョウ、ケイヒ、インチンコウの6種類の生薬から成る漢方処方をもとにした医療用医薬品です。『金匱要略』に由来する処方で、販売名では茵ちん五苓散とひらがなを交えて表記されます。どちらの表記も同じものを指しています。
承認されている効能効果は、のどが渇いて尿が少ないものの嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つです。五苓散と比べると対象は絞られていますが、じんましんが含まれている点が特徴的です。
五苓散との違いは、インチンコウの有無だけではありません。共通する5つの生薬についても配合量がおよそ1.5倍前後に増えており、乾燥エキスの量も多くなっています。薬価も1gあたり13.5円と25.5円で差があります。
副作用としては過敏症が報告されており、頻度は不明とされています。カンゾウを含まない処方ですが、他の漢方薬を併用する際に含有生薬の重複へ注意する必要は変わりません。
肝臓や黄疸との関連が語られることがありますが、日本で承認されている効能効果にこれらは含まれていません。同様に、体重を減らすことを目的とした効能効果も承認されておらず、ダイエットのために用いるものではありません。
じんましんやむくみ、吐き気が続く場合には、別の疾患が背景にある可能性があります。自己判断で対応を継続せず、医療機関を受診して適切な検査と診察を受けることが強く推奨されます。
参照リンク
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KEGG MEDICUS 医療用医薬品 五苓散(ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用))
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日本医薬情報センター 添付文書情報 ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)
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KEGG MEDICUS 医療用医薬品 五苓散(クラシエ五苓散料エキス錠)
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ツムラ 製品情報 ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A
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医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度