ドライアイの目薬の選び方は?市販薬の成分別の選び方とコンタクト装用時の注意点
ドラッグストアの目薬コーナーには、数十種類の製品が並んでいます。パッケージには「うるおう」「乾き」「コンタクト対応」といった言葉が並びますが、どれを選べばいいのかは、そこからは判断できません。
選ぶ手がかりになるのは、成分表示です。ドライアイの目薬に使われる成分は、水分を補うもの、水分を目の表面にとどめるもの、角膜を保護するもの、油分を補うものに分かれます。自分の症状がどのタイプかがわかれば、選ぶべき成分も決まります。
もう1つ、多くの人が見落としているのが涙の構造です。涙は水だけでできているわけではありません。水分を補う目薬をさしても乾きが戻ってくる場合、別の層に問題がある可能性があります。
ここでは、涙の構造を確認したうえで、成分ごとの働き、症状別の選び方、防腐剤の考え方、コンタクトレンズを使っている場合の注意点、正しいさし方までを整理します。
※注意事項
この記事は執筆時点で公開されている診療ガイドラインや添付文書、製薬企業の公式情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。特定の製品を推奨するものでもありません。
目の症状には、ドライアイ以外の疾患が関係している場合があります。強い痛み、急な視力低下、激しい充血、大量の目やに、片方の目だけの強い症状がある場合は、市販薬で対応せず眼科を受診してください。
市販の目薬を使っても症状が変わらない、あるいは悪化する場合も、使い続けずに医療機関で相談してください。効果や刺激の感じ方には個人差があります。
製品の成分構成や承認内容は変更されることがあります。使用前には必ず製品の添付文書や外箱の表示を確認し、不明な点は薬剤師や医師に相談してください。
※監修者は医療的専門分野についてのみ監修を行っており、掲載されている商品・サービスの選定には関与しておりません。
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ドライアイの目薬はどれがいいか判断する前に知っておきたい涙の構造
どの目薬を選ぶかを考える前に、涙がどういう仕組みでできているかを知っておくと、選択の基準がはっきりします。ドライアイは単純に涙の量が足りない状態とは限らず、涙が目の表面にとどまっていられない状態も含まれるためです。
ドライアイは涙液層の安定性が低下する疾患
2016年に改訂された国内の定義では、ドライアイは、さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある、とされています。
注目したいのは、涙の量そのものではなく、涙の層の安定性が病態の中心に置かれている点です。診断基準も、自覚症状と、涙液層破壊時間が5秒以下であることの2つとされ、それ以前に含まれていた涙の分泌量の検査値や角膜の染色スコアは診断基準から外れました。
つまり、涙が出ていても、その層がすぐに壊れてしまえばドライアイにあたります。目薬で水分を足すだけでは足りない場合があるのは、このためです。
涙の層は水分だけでできているわけではない
目の表面をおおう涙の層は、いくつかの成分で構成されています。大部分を占めるのが水分の層で、その表面をごく薄い油の層がおおっています。さらに、目の表面には水分をとどめる働きをするムチンという成分が存在します。
油の層は、まぶたのふちにあるマイボーム腺から分泌されます。この層があることで、水分が蒸発するのを防いでいます。ムチンは、涙を目の表面になじませ、とどまりやすくする役割を担っています。
この3つのどれが不足しても、涙の層は不安定になります。
水分が足りないタイプと涙が蒸発しやすいタイプ
ドライアイの状態は、大きく2つに分けて考えられます。涙の分泌そのものが減っているタイプと、涙は分泌されているのに蒸発しやすくなっているタイプです。
前者は加齢や体質、一部の薬剤の影響、シェーグレン症候群などの疾患が関係することがあります。後者は、まばたきの減少や、まぶたのふちにあるマイボーム腺の機能低下が関係します。
近年は、涙の層を構成する要素のどこに問題があるかを見きわめて治療を選ぶという考え方が広がっており、ジクアホソルナトリウム点眼液やレバミピド点眼液といった、涙の質そのものに働きかける薬が使われるようになっています。
自分がどちらのタイプか考える目安
医療機関での検査なしに断定することはできませんが、感じ方から見当をつけることはできます。
目薬をさした直後は楽になるが、しばらくするとまた乾く。目がゴロゴロする感覚が続く。朝起きたときに目が開きにくい。まぶたのふちが赤い、ものもらいができやすい。こうした症状がある場合は、涙が蒸発しやすくなっていたり、まぶたのふちに炎症が起きていたりする可能性があります。
一日を通して常に乾いている、涙が出にくい、口の渇きもある。こうした場合は、涙の分泌量そのものが関係している可能性があります。口の渇きを伴う場合は、全身の疾患が背景にあることもあるため、眼科での相談をおすすめします。
タイプ |
起きていること |
感じ方の例 |
涙の分泌が減っている |
涙そのものの量が不足 |
一日中乾いている、涙が出にくい、口の渇きも伴う |
涙が蒸発しやすい |
油の層やムチンが不足し、涙がとどまらない |
さした直後は楽だがすぐ戻る、ゴロゴロする、朝目が開きにくい |
※医療機関の検査なしに断定はできません。口の渇きを伴う場合は全身の疾患が関係することもあります。
ドライアイの目薬に含まれる成分と働き
市販の目薬を選ぶとき、実際に見るべきなのはパッケージの宣伝文句ではなく、成分表示です。ドライアイに関係する成分は限られており、それぞれの働きを知っておけば判断できます。
涙に近い成分を補う人工涙液
人工涙液と呼ばれるタイプには、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物といった成分が使われます。涙に含まれる電解質に近い組成で、不足した水分を補うことを目的としています。
刺激が少なく、軽い乾きや一時的な不快感に対して最初に選ばれることが多いタイプです。ただし補うのは水分が中心なので、蒸発しやすい状態が原因の場合、効果を実感しにくいことがあります。
水分を保持するヒアルロン酸ナトリウム
ヒアルロン酸ナトリウムは、水分を抱え込む力に優れた成分です。保水性を高め、薬液にとどまりを持たせる目的などで配合されます。
医療用医薬品としても、精製ヒアルロン酸ナトリウムを有効成分とする点眼液がドライアイの治療に広く使われています。市販薬にも配合されている製品があり、人工涙液では物足りないと感じる場合の選択肢になります。
角膜を保護するコンドロイチン硫酸エステルナトリウム
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、角膜の表面を保護する働きが期待される成分です。乾燥によって目の表面が傷つきやすくなっている状態や、コンタクトレンズとの摩擦が気になる場合に配合されている製品が選ばれます。
ゴロゴロとした異物感が強いときに、この成分が入っているかを確認する価値があります。
粘度を高めて涙をとどめる成分
ヒプロメロースやポリビニルアルコールといった成分は、薬液の粘度を高めることで、涙が目の表面にとどまる時間を長くすることを狙ったものです。
点眼したときに少しとろみや重さを感じることがありますが、点眼してもすぐに乾燥感が戻る方には適している場合があります。
油分を補う成分
涙の表面をおおう油の層が不足している場合、水分を補うだけでは蒸発を防げません。これに対応するため、油分を含む市販の目薬も販売されています。
水分を補うタイプの目薬を使っても乾燥感が続く場合は、油分を含む目薬が選択肢になることがあります。ただし、ソフトコンタクトレンズをつけたまま使用できない製品もあるため、使用前に表示を確認してください。
ドライアイの目薬で注意したい血管収縮剤と清涼成分
塩酸テトラヒドロゾリンやナファゾリンといった血管収縮剤は、結膜の血管を収縮させて充血を目立たなくする成分です。見た目はすぐに改善しますが、乾燥そのものには働きません。長く使い続けると、かえって充血しやすくなる場合があることも指摘されています。
l-メントールなどの清涼成分も、すっきりした使用感を与えますが、乾燥を改善する成分ではありません。目の表面が敏感になっている状態では、刺激として感じられることがあります。
ドライアイ対策として選ぶ場合、これらの成分が主体になっている製品は目的が異なると考えたほうがよいでしょう。
成分 |
働き |
向いている症状 |
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物 |
涙に近い組成で水分を補う |
軽い乾き、一時的な不快感 |
ヒアルロン酸ナトリウム |
水分を保持し目の表面にとどめる |
乾きが強く続く |
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム |
角膜の表面を保護する |
ゴロゴロする異物感 |
ヒプロメロース、ポリビニルアルコール |
粘度を高めて涙をとどめる |
さした直後だけ楽になる |
油分を含む成分 |
涙の表面の油層を補う |
水分中心の目薬で改善しない |
血管収縮剤(テトラヒドロゾリンなど) |
血管を収縮させ充血を目立たなくする |
ドライアイ対策としては目的が異なる |
l-メントールなどの清涼成分 |
清涼感を与える |
乾燥を改善する成分ではない |
ドライアイの市販の目薬の選び方
ドライアイの市販の目薬は、成分の働きがわかれば自分の症状から絞り込めます。乾きが中心なのか、異物感が強いのか、点眼直後だけ楽になるのか。
感じている症状によって、確認すべき成分が変わります。ここでは症状ごとに整理します。
乾きが中心のときのドライアイの目薬の選び方
目が乾く感覚が主な症状であれば、まず水分を補う成分と、それをとどめる成分を確認します。人工涙液の成分に加えて、ヒアルロン酸ナトリウムが配合されているものが候補になります。
清涼感の強さと、ドライアイに対する効果は同じではありません。すっきり感じても、それだけで目薬が効いているとは判断できません。
ゴロゴロする違和感があるときのドライアイの目薬の選び方
異物感が強い場合、目の表面が乾燥によって傷つきやすくなっている可能性があります。角膜を保護する働きが期待されるコンドロイチン硫酸エステルナトリウムが配合されているものを確認してください。
ただし、異物感が強く続く場合や痛みを伴う場合は、目の表面に傷や炎症が生じている可能性があります。市販薬で様子を見続けず、眼科を受診して原因を確認することが大切です。
点眼直後だけ不快感が緩和する場合のドライアイの目薬の選び方
点眼直後は改善するのに短時間で戻る場合、涙が蒸発しやすい状態が関係している可能性があります。
この場合、粘度を高める成分が配合されたものや、油分を補うタイプが選択肢になります。水分を補う目薬の回数を増やしても、蒸発の速さが変わらなければ実感は得にくいままです。
充血もあるときのドライアイの目薬の選び方
乾燥に加えて充血が気になる場合、血管収縮剤の入った製品を選びたくなりますが、慎重に考える必要があります。
血管収縮剤は充血を一時的に目立ちにくくする成分で、目の乾燥そのものを改善するものではありません。
血管収縮剤は充血を一時的に目立たなくするだけで、乾燥の原因には働きません。人前に出る予定があるときに限って使うといった使い分けは考えられますが、日常的にドライアイ対策として使う成分ではありません。
充血が続く場合、アレルギーや結膜炎など別の原因が関係している可能性もあります。
ドライアイの目薬のパッケージのどこを見るか
実際に棚の前で確認するのは、次の3か所です。
1つ目が有効成分の欄です。どの成分が何パーセント入っているかが記載されています。2つ目が添加物の欄で、防腐剤が入っているかを確認できます。3つ目がコンタクトレンズに関する表示で、装用中に使えるか、どの種類のレンズに対応しているかが書かれています。
「うるおい」「乾きに」といった表現は、成分の裏づけを示すものではありません。表示の言葉ではなく、成分で判断してください。
症状 |
確認する成分 |
避けたほうがよいもの |
乾きが中心 |
人工涙液の成分、ヒアルロン酸ナトリウム |
清涼成分が主体の製品 |
ゴロゴロする違和感 |
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム |
刺激の強い製品 |
さした直後だけ楽になる |
ヒプロメロース、油分を補う成分 |
水分のみの製品 |
しみる |
防腐剤無添加、清涼成分なし |
塩化ベンザルコニウム、清涼成分 |
充血も気になる |
まず乾燥への対応 |
血管収縮剤の常用 |
ドライアイの目薬の防腐剤の有無をどう考えるか
ドライアイの目薬を探す人の多くが、防腐剤なしの製品を候補に挙げます。ただし、防腐剤は薬液が細菌に汚染されるのを防ぐために入っている成分であり、無添加が常に優れているわけではありません。
ドライアイの目薬に防腐剤が入っている理由
点眼薬は開封後、容器の先端が目やまつ毛に触れることで細菌が入り込む可能性があります。防腐剤は、薬液が微生物に汚染されるのを防ぎ、一定期間の使用に耐えられるようにするために配合されています。
つまり防腐剤は、安全に使い続けるために入っている成分です。入っていること自体が問題なのではありません。
塩化ベンザルコニウムが問題になる場面
点眼薬に使われる防腐剤として代表的なのが、塩化ベンザルコニウムです。この成分は、点眼回数が多い場合や目の表面が敏感になっている状態では、刺激として感じられることがあります。
もう1つ注意したいのが、目薬の成分がソフトコンタクトレンズに吸着することです。
塩化ベンザルコニウムはソフトレンズの素材に吸着し、レンズに蓄積することがあります。蓄積した成分が目の表面に長時間触れることで、刺激やトラブルの原因になる可能性が指摘されています。
ドライアイで防腐剤なしを選んだほうがよい人
次のような場合は、防腐剤無添加タイプが選択肢になります。
1日に何度も点眼する必要がある場合や、目の表面に傷や炎症がある場合などです。また、ソフトコンタクトレンズを装用したまま点眼する場合は、コンタクトレンズ装用中に使用できることを確認したうえで、防腐剤無添加タイプなどを選びます。
一方、点眼回数が少なく、目に刺激や異常がみられない場合は、防腐剤を含む製品も選択肢になります。
ドライアイの目薬の使い切りタイプの扱い方
防腐剤無添加の製品には、1回分ずつ小分けにされた使い切りタイプがあります。開封するたびに新しい容器を使うため、汚染のリスクを抑えられます。
ただし、開封後は当日中に使い切るのが原則です。一度開けたものを翌日以降も使うと、防腐剤が入っていないぶん汚染のリスクが高くなります。容器に残っていても、その日のうちに廃棄してください。
多容量タイプで防腐剤を使わない製品もあり、こちらは容器の構造で汚染を防ぐ仕組みになっています。開封後の使用期限は製品ごとに異なるため、外箱の表示を確認してください。
コンタクトレンズを使っている人のドライアイの目薬の選び方
コンタクトレンズを使っている人は、選べる目薬の範囲が狭くなります。ここを間違えると、目薬でかえって目に負担をかけることになります。
ソフトレンズでドライアイの目薬の防腐剤が問題になる理由
ソフトコンタクトレンズは水分を含む素材でできており、薬液の成分を吸収する性質があります。防腐剤である塩化ベンザルコニウムがレンズに吸着し、蓄積することが知られています。
蓄積した成分は、装用している間ずっと目の表面に接触し続けます。これが刺激や結膜の炎症につながる可能性があるため、ソフトレンズ装用中に使う目薬は、防腐剤を含まないものか、レンズ装用中の使用が想定されている製品に限られます。
ドライアイの目薬はレンズの種類ごとに使えるものが違う
製品のパッケージには、どの種類のレンズに対応しているかが記載されています。すべてのレンズに対応するもの、ハードレンズと酸素透過性ハードレンズのみ対応するもの、装用中は使用できないものがあります。
自分が使っているレンズがソフトなのかハードなのか、使い捨てなのかを把握したうえで、表示と照らし合わせてください。「コンタクトに使える」と書かれていても、すべての種類を指しているとは限りません。
カラコンを使っている場合のドライアイの目薬の選び方
カラーコンタクトレンズも高度管理医療機器に分類され、通常のコンタクトレンズと同じ扱いです。素材としてはソフトレンズにあたるものが多く、防腐剤の吸着という問題も同様に生じます。
着色部分がレンズの表面に露出しているタイプでは、目の表面との摩擦が大きくなる場合もあります。乾きを感じやすい場合は、目薬を選ぶ前に、装用時間そのものを見直すことも必要です。
装用中に使えないドライアイの目薬を使いたいとき
油分を含む製品など、ソフトレンズ装用中に使えないものを使いたい場合は、レンズを外してから点眼します。
点眼後、すぐにレンズを装着すると成分がレンズに付着する可能性があるため、しばらく時間を置いてから装着してください。製品によって推奨される時間が異なるので、表示や薬剤師の説明を確認してください。
レンズの種類 |
防腐剤入りの目薬 |
選び方 |
ソフト(使い捨て含む) |
吸着・蓄積の可能性がある |
装用中使用可の表示か、防腐剤無添加を選ぶ |
カラーコンタクト |
同上(素材はソフトが多い) |
ソフトレンズと同じ扱い。装用時間の見直しも |
ハード・酸素透過性ハード |
吸着は起こりにくい |
対応表示を確認 |
装用中使用不可の製品 |
ー |
レンズを外して点眼し、時間を置いてから装着 |
ドライアイの目薬の正しいさし方と点眼回数
ドライアイの目薬は、症状に合った成分を選ぶだけでなく、正しく点眼することも大切です。1回の点眼量や使用回数、点眼後の注意点を守ることで、目薬を適切に使用できます。
ドライアイの目薬は1回1滴で足りる
点眼薬の1滴は、目の表面が一度に保持できる量を上回っています。何滴も点眼してもあふれた分は目の外へ流れ出るだけで、効果が増えるわけではありません。
医療用の点眼液でも、用法は1回1滴と定められているものがほとんどです。市販薬で「1回1〜3滴」と記載されている製品もありますが、基本は1滴で足ります。
ドライアイの目薬の点眼回数の目安と使いすぎ
点眼回数は製品ごとに定められています。市販薬では1日5〜6回程度を上限としているものが多く、医療用のジクアホソルナトリウム点眼液は1日6回、レバミピド点眼液は1日4回といった設定です。
回数を守らずに何度もさすと、涙に含まれる本来の成分が洗い流され、かえって目の表面の状態が不安定になる可能性が指摘されています。乾くたびに無制限にさす、という使い方は避けてください。
決められた回数でも足りないと感じる場合は、目薬の種類が合っていない可能性があります。回数を増やすのではなく、選ぶ成分を見直すか、眼科で相談するのが筋道です。
ドライアイで複数の目薬を使うときの間隔
複数の点眼薬を続けて使うと、後から点眼した薬が先の薬を洗い流してしまいます。
医療用点眼液の添付文書には、他の点眼剤を併用する場合には少なくとも5分間以上間隔をあけてから点眼すること、という趣旨の記載があります。市販薬どうしを併用する場合も、同じ考え方が当てはまります。
ドライアイの目薬を点眼後にすべきこと
点眼したら、まぶたを閉じてしばらくそのままにします。医療用点眼液の添付文書には、点眼後1分から5分間ほど閉瞼し、目頭の部分を軽く押さえることが示されています。目頭を押さえるのは、薬液が涙の通り道から鼻へ流れ出るのを防ぐためです。
まばたきを繰り返すのは逆効果です。薬液が涙の通り道へ流れやすくなります。
あふれた薬液は、清潔なティッシュなどで軽く拭き取ってください。目の周りに残ったままにすると、皮膚の刺激になることがあります。
ドライアイの目薬の容器の扱いと保管
容器の先端がまつ毛や目に触れると、そこから細菌が入り込む可能性があります。触れないように少し離して点眼してください。
保管方法は製品によって異なります。室温保存のもの、冷所保存が指示されているものがあるため、外箱の表示に従ってください。開封後の使用期限も製品ごとに定められています。
使用期限を過ぎたものや、薬液が濁っている、変色しているものは使わないでください。
ドライアイの目薬が効かない・しみるときに考えられること
ドライアイの目薬を使っているのに変化がない、あるいは、点眼するたびに刺激を感じる。 この状態には複数の原因が考えられます。目薬そのものの問題である場合もあれば、目の表面の状態や、ドライアイ以外の原因が関係している場合もあります。
ドライアイに水分を補うだけでは足りていない
このようなケースは少なくありません。 水分を補う目薬を使っても、涙が蒸発しやすい状態であれば、さした直後だけ改善してすぐ戻ります。
涙の層は、水分だけでなく、表面をおおう油の層と、目の表面に涙をとどめるムチンによって安定しています。どれが不足しているかによって、必要な対応が変わります。水分を補うタイプで実感が得られない場合、別の要素に問題がある可能性を考えてください。
ドライアイの目薬の成分が症状に合っていない
乾きが主な症状なのに清涼成分中心の製品を使っている、異物感が強いのに角膜を保護する成分が入っていない、といったミスマッチも起こります。
パッケージの印象で選ぶと、この状態になりやすくなります。成分表示を確認して、自分の症状に対応する成分が入っているかを見直してください。
ドライアイの目薬の点眼方法や回数に問題がある
1回に何滴もさしている、点眼後すぐにまばたきを繰り返している、複数の目薬を間隔を空けずに使っている。こうした使い方では、成分が十分に働きません。
逆に、回数を大幅に超えてさし続けている場合も、涙の本来の成分を洗い流している可能性があります。
ドライアイで目の表面に傷や炎症がある
目薬がしみる場合、成分による刺激だけでなく、目の表面にすでに傷や炎症が生じている可能性があります。乾燥した状態が続くと、角膜の表面は傷つきやすくなります。
傷がある状態では、通常なら刺激にならない成分でもしみると感じることがあります。防腐剤無添加に変えても改善しない場合、目の表面の状態そのものを確認する必要があります。
ドライアイ以外の原因が隠れている
目の乾きや不快感の原因は、ドライアイだけとは限りません。アレルギー性結膜炎、まぶたのふちの炎症、眼精疲労、コンタクトレンズによる刺激、緑内障の点眼薬を含む薬剤の影響などが関係している場合があります。
涙の分泌が減る背景に、シェーグレン症候群のような全身の疾患が関係していることもあります。口の渇きや関節の症状を伴う場合は、その旨も医師に伝えてください。
ドライアイの目薬がしみるときにまず試せること
防腐剤無添加のタイプに変える、清涼成分の入っていない製品に変える、点眼回数を減らす。この3つがまず試せる対応です。
冷蔵庫で冷やした目薬は刺激を感じやすくなることがあるため、室温に戻してから使うのも一つの方法です。ただし保管方法が指定されている製品では、その指示を優先してください。
これらを試しても改善しない場合、あるいは強い痛みや充血、視力の低下、目やにを伴う場合は、自己判断で続けずに眼科を受診してください。
水分を補うタイプだけを使っていないか
症状に対応する成分が入っているか(成分表示を確認)
1回に何滴も点眼していないか
点眼後にまばたきを繰り返していないか
複数の目薬を5分以上空けずに使っていないか
決められた回数を大きく超えて使っていないか
防腐剤や清涼成分が刺激になっていないか
冷えた状態のまま点眼していないか
ドライアイで眼科から処方される目薬
ドライアイで眼科を受診すると、市販薬にはない点眼薬が処方されることがあります。特に、外から水分を補うのではなく、目の側から涙の成分を分泌させる薬は市販されていません。ここでは代表的な処方薬とその働きを整理します。
ヒアレイン点眼液などのヒアルロン酸製剤
精製ヒアルロン酸ナトリウムを有効成分とする点眼液です。水分を保持する力によって涙を目の表面にとどめ、角膜や結膜の状態を保つことを目的としています。
濃度の異なる製品があり、症状に応じて選択されます。防腐剤を含まない使い切りタイプも用意されています。市販薬でも添加物等として配合されている製品がありますが、濃度や添加物の構成は異なります。
ジクアス点眼液(ジクアホソルナトリウム)
2010年に承認された点眼液で、ドライアイ治療剤として位置づけられています。結膜にあるP2Y2受容体に作用して、水分とムチンの分泌を促す働きがあるとされています。
外から水分を補うのではなく、目の側から涙の成分を出させるという発想の薬です。効能・効果はドライアイで、用法は1回1滴を1日6回点眼とされています。持続性を高めた製剤も販売されており、こちらは点眼回数が少なくなっています。
添付文書には、涙液異常に伴う角結膜上皮障害が認められドライアイと診断された患者に使用すること、と記載されています。副作用としては、眼への刺激感、眼脂、結膜充血などが報告されています。
ムコスタ点眼液(レバミピド)
2012年に承認された点眼液です。角膜上皮細胞とムチンを産生する結膜の細胞に作用し、ムチンの産生を高める働きがあるとされています。
こちらも涙の質に働きかける薬で、異物感が強いタイプのドライアイで使われることがあります。特徴として、点眼後に口の中に苦味を感じることや、目の周囲に成分が付着して白く見えることがあります。
ドライアイの市販薬と処方薬で何が違うのか
最も大きな違いは、涙の質そのものに働きかける薬があるかどうかです。
市販薬の多くは、水分を補う、水分をとどめる、角膜を保護するという方向の成分で構成されています。一方、ジクアホソルナトリウムやレバミピドは、目の側から涙の成分を分泌させる作用を持ちます。
もう1つの違いは、診断を経ているかどうかです。処方薬は、検査によってドライアイと診断され、状態を確認したうえで選ばれます。市販薬は自分の判断で選ぶため、原因が別にある場合に気づけません。
市販の目薬 |
処方される目薬 |
|
主な働き |
水分を補う、保持する、角膜を保護する |
上記に加え、涙の成分の分泌を促すものがある |
代表的な成分 |
人工涙液成分、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム |
精製ヒアルロン酸ナトリウム、ジクアホソルナトリウム、レバミピド |
診断 |
自分の判断で選ぶ |
検査でドライアイと診断されたうえで選択 |
原因の特定 |
できない |
涙液層破壊時間などの検査で確認 |
ドライアイで市販の目薬から受診に切り替える目安
ドライアイで市販の目薬を使い続けるか、眼科を受診するか。この判断は迷いやすい部分です。緊急性の高い症状がある場合と、様子を見てから判断してよい場合を分けて整理します。
ドライアイでもすぐに受診したほうがよい症状
次の症状がある場合は、市販薬で様子を見ずに眼科を受診してください。
強い痛みがある。急に見えにくくなった。激しい充血がある。大量の目やにが出る。片方の目だけ症状が強い。コンタクトレンズを装用していて強い違和感がある。まぶたが腫れている。
これらは、感染症や角膜の傷、別の眼疾患が関係している可能性がある症状です。
ドライアイの目薬を使い続けても変化がないとき
市販薬を使って1週間から2週間ほど経っても症状が変わらない場合、あるいは悪化する場合は、そのまま続けるのではなく受診を検討してください。
成分が合っていないのか、使い方に問題があるのか、それとも別の原因があるのかを自分で判断するのは難しい状態です。
ドライアイで眼科では何を調べるのか
診断基準にある涙液層破壊時間の検査では、点眼した色素が目の表面で均一に広がってから、どのくらいの時間で乱れるかを観察します。5秒以下であることが診断の基準の1つです。
このほか、目の表面に傷があるかを確認する染色検査、涙の分泌量を調べる検査、まぶたのふちの状態を確認する診察などが行われます。
自分がどのタイプのドライアイなのかは、こうした検査を経てはじめてわかります。市販薬で改善しないときに受診する意味は、ここにあります。
ドライアイの目薬以外の治療法
点眼薬で十分な改善が得られない場合、涙の出口である涙点をふさいで涙をためる涙点プラグという方法が検討されることがあります。
まぶたのふちの状態が関係している場合は、まぶたの縁を清潔に保つ処置や、温めることによる対応が行われることもあります。いずれも診察を経て選択されるものです。
ドライアイの目薬とあわせて行いたい対策
ドライアイは、目薬だけで解決しない部分があります。涙が蒸発しやすい状態には、まばたきの仕方や画面作業の環境、コンタクトレンズの使い方が関係しているためです。ここでは目薬とあわせて取り入れたい対策を挙げます。
ドライアイ対策としてのまばたきの回数と質
画面を見ているとき、まばたきの回数は大きく減ります。加えて、まぶたを最後まで閉じきらない不完全なまばたきが増えることも知られています。
まぶたを完全に閉じるまばたきには、涙を目の表面に行き渡らせる働きと、まぶたのふちから油分を押し出す働きがあります。意識してしっかり閉じるまばたきを取り入れてください。
ドライアイ対策として目を温める
まぶたのふちから分泌される油が固まりやすくなっている場合、温めることで分泌が促されることがあります。市販の温熱アイマスクや、温めたタオルを使う方法があります。
ただし、まぶたが腫れている、赤みや痛みがある場合は、温めることが適さない状態の可能性があります。その場合は自己判断せず、眼科で相談してください。
ドライアイ対策としての画面作業と環境の調整
画面の位置が目線より高いと、目を大きく開くことになり、涙が蒸発する面積が広がります。画面をやや下に置き、見下ろす角度にすると、まぶたの開きが小さくなります。
一定時間ごとに休憩を入れて遠くを見ること、エアコンの風が直接顔に当たらないようにすること、加湿器などで湿度を保つことも対策になります。
ドライアイとコンタクトの装用時間の見直し
コンタクトレンズは、涙の上に浮かぶ形で装用されます。レンズがあることで涙の層が分断され、乾きを感じやすくなります。
装用時間を短くする、自宅では眼鏡に切り替える、レンズの種類を見直す。こうした対応で改善する場合があります。乾きが強い日は無理に装用しないという判断も必要です。
ドライアイの目薬に関するよくある質問
ドライアイの目薬について、選び方や使い方に関して寄せられることの多い疑問をまとめます。いずれも成分や点眼方法に関わる内容で、実際に使う場面で判断の材料になる点です。
ドライアイの目薬は1日に何回まで使えますか
市販薬では1日5〜6回程度を上限としているものが多く、医療用ではジクアホソルナトリウム点眼液が1日6回、レバミピド点眼液が1日4回といった設定です。回数を大幅に超えて使い続けると、涙の本来の成分を洗い流す可能性があります。
ドライアイの目薬をさしても効かないのはなぜですか
水分を補うタイプの目薬では、涙が蒸発しやすい状態には対応しきれない場合があります。成分が症状に合っていない、点眼方法に問題がある、目の表面に傷がある、ドライアイ以外の原因があるといった可能性も考えられます。
ドライアイの目薬は防腐剤なしのほうがいいですか
点眼回数が多い、しみる、ソフトコンタクトレンズを装用したまま使いたい、目の表面に傷があるといった場合には無添加タイプが向いています。1日数回の使用で刺激もなければ、防腐剤入りでも問題になりにくいと考えられます。
コンタクトをつけたままドライアイの目薬をさせますか
製品によって異なります。パッケージにレンズ装用中の使用可否と、対応するレンズの種類が記載されています。ソフトレンズでは防腐剤が吸着する問題があるため、装用中に使えるものは限られます。表示を確認してください。
ドライアイの目薬は市販と処方でどちらがいいですか
症状の程度によります。軽い乾きであれば市販薬で対応できる場合があります。市販薬を1〜2週間使用しても改善しない場合や、症状が強い場合、痛みや視力の変化を伴う場合は、眼科を受診して原因を確認することが大切です。
ドライアイは目薬で治りますか
目薬は症状をやわらげるために使うもので、原因によっては完治を目指すものではありません。涙の質に働きかける処方薬もありますが、生活環境や習慣の見直しとあわせて、状態を保つことを目的とします。
ドライアイの目薬がしみるときはどうすればいいですか
防腐剤無添加のものに変える、清涼成分の入っていない製品にする、点眼回数を減らすといった対応がまず考えられます。ただし、目の表面に傷や炎症がある場合もしみるため、改善しないときは眼科で確認してください。
ドライアイの目薬は開封後いつまで使えますか
製品によって異なります。使い切りタイプは開封したその日のうちに使い切ります。多容量の製品は外箱に開封後の使用期限が記載されています。薬液が濁っている、変色している場合は期限内でも使わないでください。
ドライアイの目薬は自分のタイプと使用状況に合わせて選ぶ
ドライアイの目薬は、症状やコンタクトレンズの使用状況に合わせて選ぶことが大切です。ここでは、目薬を選ぶ際のポイントと、眼科を受診したほうがよい症状についてまとめます。
ドライアイの目薬の成分の選び方の整理
乾きが中心なら水分を補う成分と保持する成分、異物感が強いなら角膜を保護する成分、さした直後だけ楽になるなら粘度を高める成分や油分を補うタイプが候補になります。
次に、パッケージの有効成分、添加物、コンタクトレンズ対応の3か所を確認します。血管収縮剤や清涼成分が主体の製品は、ドライアイ対策としては目的が異なります。
コンタクトレンズを装用したまま使いたい場合は、防腐剤の有無とレンズの種類への対応を必ず確認してください。ソフトレンズでは防腐剤が吸着する問題があります。
ドライアイで受診を考えるタイミング
ドライアイは、涙液層の安定性が低下する疾患と定義されています。水分だけの問題ではないため、水分を補う目薬で改善しないことは珍しくありません。
市販薬を1週間から2週間使っても変化がない場合、成分を変えても改善しない場合は、眼科で状態を確認してください。強い痛み、急な視力低下、激しい充血、大量の目やに、片目だけの強い症状がある場合は、市販薬で様子を見ずに受診が必要です。
自分がどのタイプのドライアイなのかは、検査を経てはじめてわかります。目薬を選び続けるより、医療機関で原因を確認することが適切です。
参照リンク
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日本眼科学会 ドライアイ診療ガイドライン
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厚生労働省 日本のドライアイの定義と診断基準の改訂(2016年版)
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KEGG MEDICUS 医療用医薬品 ジクアス
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PMDA ヒアレイン点眼液0.1% 0.3% 添付文書
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PMDA ジクアス点眼液3% 添付文書
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PMDA ムコスタ点眼液UD2% 添付文書
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公益社団法人日本眼科医会 目についての健康情報