マンジャロの危険性とは?ダイエット目的が適応外になる理由と後悔しないための判断材料
体重を落とす手段としてマンジャロを検討しているとき、あるいはすでに使い始めてから、危険性という言葉を目にして手が止まることがあります。何が危険とされているのか、その中身は一つではありません。
薬の作用そのものによる副作用の話と、承認された使い方から外れていることによる制度上の話と、入手経路に関わる話。この3つは性質がまったく違い、対処のしかたも変わります。まとめて危険と言われると判断できなくなりますが、分けて見れば、自分がどこに当てはまるのかがはっきりします。
厚生労働省は2026年6月にも、GLP-1受容体作動薬などの適正使用について医療機関への周知を求める通知を出しています。日本糖尿病学会も見解を公表しており、製造販売元各社も注意を呼びかけています。ここでは、これらの一次情報をもとに、何が問題とされているのかを整理します。
※注意事項
この記事は執筆時点で公開されている添付文書や行政文書、学会の見解をもとにした一般的な情報提供であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。特定の使用を推奨する意図も、否定する意図もありません。実際の判断は必ず医師の診察のもとで行ってください。
マンジャロは国内では2型糖尿病を効能・効果として承認された医療用医薬品です。ダイエットや痩身を目的とした使用は承認された効能・効果の範囲外にあたり、自由診療(自費診療)として行われます。適応外使用にあたる場合、副作用が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
効果や副作用の出方には個人差があります。承認内容、制度の運用、料金は改訂・変更されることがあるため、最新の情報は添付文書や行政の公表資料、処方を受けた医療機関で確認してください。
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マンジャロの危険性が指摘される理由
マンジャロという薬そのものが危険なのではなく使い方が問題になっている
マンジャロは2022年に承認され、2型糖尿病の治療薬として国内で使われている医療用医薬品です。承認にあたっては臨床試験で有効性と安全性が評価されており、劇薬かつ処方箋医薬品に指定されています。
医師の管理のもとで承認された使い方をする限り、他の医療用医薬品と同じように評価されている薬です。危険性が語られるとき、その多くは薬の存在そのものではなく、承認された範囲の外で使われている状況を指しています。
一方で、承認された使い方をしていても副作用は起こります。厚生労働省の通知でも、承認された効能・効果に則って使用した際であっても重大な副作用として低血糖症状や急性膵炎が起こり得ること、比較的頻度の高い副作用として消化器症状が認められていることが添付文書で注意喚起されており、適応外で使用された場合であってもこうした副作用が生じるおそれがある、と示されています。
マンジャロの危険性は3つのリスク に分かれる
マンジャロを使用する際に注意したいリスクは、大きく3つあります。
1つ目が、薬の作用による副作用です。消化器症状から重大な副作用まで、承認された使い方でも起こり得るものです。
2つ目が、制度上の位置づけによるリスクです。ダイエット目的の使用は承認された効能・効果の範囲外にあたるため、健康被害が生じても公的な救済制度の対象にならない可能性があります。
3つ目が、入手経路と診療体制に関するリスクです。個人輸入や通販、必要な検査や説明のない処方といった経路では、偽造品の問題や、副作用に対応できない問題が加わります。
層 |
内容 |
減らせるかどうか |
薬の作用 |
消化器症状、重大な副作用 |
事前の確認と出たときの対応で影響を小さくできる |
制度上の位置づけ |
適応外・自費・救済制度の対象外 |
使用目的で決まるため、選択の時点でほぼ確定する |
入手経路と診療体制 |
偽造品、品質不明、確認のない処方 |
入手先と医療機関の選び方で避けられる |
2型糖尿病の治療としてマンジャロを使う場合との違い
2型糖尿病の治療としてマンジャロを使用する場合は、保険診療の枠内で定期的な診察や検査を受けながら治療を行います。また、適正に使用したうえで健康被害が生じた場合には、公的な救済制度の対象となる可能性があります。
一方、ダイエット目的での使用は承認された効能・効果の範囲外となるため、保険診療や公的な救済制度の扱いが異なる点に注意が必要です。
マンジャロのダイエット目的の使用が適応外にあたる理由
マンジャロの国内で承認されている効能・効果は2型糖尿病のみ
マンジャロの承認された効能・効果は、2型糖尿病です。肥満症やダイエット目的での使用は、効能・効果として承認されていません。
さらに、効能・効果に関連する注意として、本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること、と定められています。2型糖尿病であれば無条件に使える薬というわけでもありません。
用法・用量も2型糖尿病の治療として設定されたもので、週1回2.5ミリグラムから開始し、4週間投与した後に週1回5ミリグラムへ増量、効果が不十分な場合は4週間以上の間隔で2.5ミリグラムずつ増量し、最大は週1回15ミリグラムまでとされています。
同じ成分でも肥満症で承認されている薬は別にある
混同されやすい点ですが、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドを含む製剤として、肥満症などを効能・効果とするゼップバウンドが国内で別途承認されています。有効成分は同じでも、承認された目的と対象が異なる別の製品です。
添付文書には、本剤はチルゼパチドを含有しているため、ゼップバウンド等他のチルゼパチド含有製剤と併用しないこと、と記載されています。両方を同時に使うことは想定されていません。
ゼップバウンドの対象となる基準
ゼップバウンドは肥満症の治療薬として承認されていますが、単に「痩せたい」という理由だけで使用する薬ではありません。
対象となるのは、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られず、一定の肥満症の基準を満たす場合です。
具体的には、BMIが27以上で、肥満に関連する健康障害を2つ以上有する場合、またはBMIが35以上の場合が対象となります。
そのため、美容目的の減量や体型を整えることだけを目的とした使用は、承認された対象には含まれていません。
マンジャロ |
ゼップバウンド |
|
有効成分 |
チルゼパチド |
チルゼパチド |
効能・効果 |
2型糖尿病 |
肥満症、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 |
対象の条件 |
食事療法・運動療法で効果が不十分な場合に限り考慮 |
高血圧・脂質異常症・耐糖能障害のいずれかを有し、BMI 27以上かつ健康障害2つ以上、またはBMI 35以上。無呼吸症候群はBMI 27以上 |
ダイエット目的の使用 |
適応外 |
承認基準に該当する場合に限られる |
適応外使用で安全性と有効性が確認されていないという意味
安全性が確認されていないという表現は、危険であることが証明されているという意味ではありません。承認の前提となった臨床試験が、その使い方と対象で行われていないため、どの程度のリスクとどの程度の効果があるのかを示すデータがない、という意味です。
厚生労働省の通知では、これらの製剤は承認された効能・効果に対応した投与方法が用法・用量において規定されており、当該投与方法ではなく適応外で使用することは、確認された安全性および有効性の内容とは異なるものであることから、思わぬ有害事象による健康被害につながるおそれがあり十分な注意が必要である、と説明されています。
日本糖尿病学会も、2型糖尿病治療以外を適応症として承認されたGLP-1受容体作動薬は存在せず、美容・痩身・ダイエット等を目的とする適応外使用に関して、2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていない、との見解を示しています。
厚生労働省と学会がマンジャロの適応外使用について示している内容
マンジャロについて、どの機関が何を示しているのかを、発出元ごとに整理します。
2026年6月の厚生労働省通知
厚生労働省医薬局医薬安全対策課長、医政局総務課長、医政局医薬産業振興・医療情報企画課長の連名で、2026年6月16日付の通知「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」が都道府県等に発出されています。
通知は、一部の医療機関において2型糖尿病および肥満症の治療目的以外の美容や痩身を目的に使用されている実態が確認されていることを背景に挙げています。そのうえで、適応外で使用された場合の安全性および有効性は確認されておらず、思わぬ有害事象による健康被害につながるおそれがあるなど十分な注意が必要である、としています。
医療機関に対しては、使用者へリスクを説明すること、添付文書に基づく適正使用を行うこと、医薬品リスク管理計画の安全性検討事項や添付文書の使用上の注意に記載された副作用に対して直ちに適切な処置ができる体制を整えることが求められています。
また、副作用等報告を行う際、適応外で使用されていることが明らかな場合には、使用理由の項に適応外使用(美容目的)等と記載するよう求めています。
日本糖尿病学会の見解
日本糖尿病学会は2020年7月にGLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する見解を公表し、その後2023年4月と11月に改訂しています。
見解では、一部のクリニック等において美容・痩身・ダイエット等を目的とした自由診療での処方を宣伝する医療広告が散見されることを問題視し、医師に対して、不適切な薬物療法によって患者の健康を脅かす危険を常に念頭に置き、誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況を踏まえた薬剤の適正な処方を行うよう求めています。
製造販売元各社の注意喚起
GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の製造販売元各社も、適正使用に関するお知らせを連名で公表しています。
美容・痩身・ダイエット等を目的とした適応外の使用を推奨していると受け取れる広告等がインターネット上の一部ホームページに掲載されていること、これらの製剤は2型糖尿病のみを効能・効果として製造販売承認を取得しており、それ以外の目的で使用された場合の安全性および有効性は確認されていないこと、国内で承認された使用法以外で使用された場合は本来の効果が見込めないだけでなく思わぬ健康被害が発現する可能性も想定されること、が示されています。
適応外の自由診療に関するマンジャロの広告の規制
制度の話としてもう一つ知っておく価値があるのが、広告の規制です。この視点を持つと、医療機関の情報発信を自分で評価できるようになります。
厚生労働省の通知では、医療に関する広告について、患者等の利用者保護の観点から、広告可能事項以外の国内未承認や適応外の医薬品等を用いた自由診療に関する広告は原則禁止されている、と説明されています。ウェブサイト等での広告は例外として可能とされていますが、その場合であっても、問い合わせ先を明示したうえで、通常必要とされる治療等の内容、費用、リスク、副作用等に関する事項について情報提供することが必要とされています。
さらに、一定の条件を満たして広告が可能な場合であっても、虚偽の広告や、他の医療機関と比較して優良である旨の広告は禁止されています。加えて、一般人が広告内容から認識する印象や期待感と実際の内容との間に相違があると言えるもの、科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の手術や処置等の有効性を強調することによりその実施へ誘導するものについても、誇大な広告として禁止されているとされています。
問い合わせ先を明示すること
通常必要とされる治療等の内容を情報提供すること
費用について情報提供すること
リスクと副作用について情報提供すること
虚偽の広告、他院と比較して優良である旨の広告は禁止
印象や期待感と実際の内容に相違があるもの、科学的根拠が乏しいのに有効性を強調するものは誇大広告として禁止
マンジャロの適応外使用で最も重いリスクは救済制度の対象外になること
医薬品副作用被害救済制度のしくみ
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用による重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や障害年金などの給付を行う公的な制度です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営しています。
入院を要する程度の疾病や、日常生活が著しく制限される程度の障害などが対象となり、給付を受けるには請求手続きが必要です。
マンジャロの適応外使用が救済制度の対象外となる理由
厚生労働省が発行する医薬品・医療機器等安全性情報では、適応外の美容・痩身・ダイエット等の目的で使用して重篤な健康被害が生じたとしても、適正に使用したと認められず、この制度の救済給付を受けられない可能性が非常に高い、と注意が示されています。
つまり、健康被害の内容が同じであっても、何のために使っていたかによって扱いが変わります。2型糖尿病の治療として処方され適正に使用していた場合と、ダイエット目的で使用していた場合とでは、結果が異なる可能性があるということです。
マンジャロで健康被害が起きたときに何が起こるか
重篤な副作用が生じた場合、まず必要になるのは治療です。急性膵炎やイレウスなどは入院を要することがあり、その医療費が発生します。
救済制度の対象外となった場合、これらの費用や、その後に残る影響への補償は公的には受けられません。処方を受けた医療機関との間で個別に話し合うことになりますが、あらかじめリスクの説明を受けて同意していた場合、その位置づけも変わってきます。
適応外使用を検討する場合は、使用前にリスクについて十分な説明を受けることが重要です。厚生労働省も、医療機関に対して使用者への適切な説明を求めています。
マンジャロの副作用として知っておくべきこと
制度の話とは別に、薬の作用として何が起こり得るのかも把握しておく必要があります。次のことはいずれも、マンジャロの承認情報に記載されている内容です。
マンジャロで頻度の高い消化器症状
5パーセント以上の頻度で報告されている副作用として、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退が挙げられています。1パーセント以上5パーセント未満では、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、注射部位反応、膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少、疲労が報告されています。
これらは、使い始めた時期や投与量を増やしたタイミングで起こりやすいとされています。胃腸症状が強く、治療を続けることが難しい場合には、減量や増量時期の延期を検討します。
マンジャロの重大な副作用として記載されているもの
重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫、イレウスが報告されています。急性膵炎と胆管炎は0.1%未満、その他は頻度不明とされています。
このうち低血糖については、マンジャロは血糖値が高いときに働く性質から単独では起こしにくいとされる一方、スルホニルウレア剤や速効型インスリン分泌促進剤、インスリン製剤と併用する場合はリスクが増加するとされています。
急性膵炎は、膵炎と診断された場合には再投与を行わないこととされており、注意が必要な副作用です。
分類 |
内容 |
5%以上 |
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退 |
1〜5%未満 |
腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、注射部位反応、膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少、疲労 |
1%未満 |
心拍数増加、低血圧、血圧低下、胆石症、糖尿病網膜症、過敏症、味覚不全、異常感覚 |
重大な副作用 |
低血糖、急性膵炎、胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫、イレウス |
<h3>マンジャロの使用中にすぐ受診すべき症状</h3>
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などがみられた場合は、使用を中止し、速やかに医療機関を受診する必要があります。これは、急性膵炎でみられることのある症状です。
イレウスについては、高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合に投与を中止し適切な処置を行うこととされています。
低血糖の症状としては、脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等が挙げられています。また、下痢や嘔吐から脱水を続発し急性腎障害に至るおそれがあるとされており、水分が摂れない状態が続く場合も注意が必要です。
甲状腺に関しては、投与中は甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には専門医を受診するよう指導することとされています。
<h3>マンジャロを投与してはいけない人と注意が必要な人</h3>
禁忌として挙げられているのは、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡または前昏睡・1型糖尿病の患者、重症感染症や手術等の緊急の場合です。
注意が必要な背景として、重症胃不全麻痺等の重度の胃腸障害のある患者、膵炎の既往歴のある患者、低血糖を起こすおそれのある状態にある患者、増殖糖尿病網膜症等を合併または既往のある患者、腹部手術やイレウスの既往のある患者、全身麻酔または深い鎮静下の患者が挙げられています。
妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないこととされ、妊娠する可能性のある女性には、投与中および最終投与後1か月間において避妊する必要性と適切な避妊法について説明することとされています。小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。
また、投与開始時のBMIが23未満の患者における有効性および安全性は検討されていない、と記載されています。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある人
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の人
重症感染症、手術等の緊急の場合
妊婦または妊娠している可能性のある人
<h3>マンジャロと併用に注意が必要な薬</h3>
併用注意として、糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、インスリン製剤、SGLT2阻害剤等)が挙げられており、低血糖の発現に注意することとされています。
経口避妊薬については、特に投与開始初期または増量した直後では、併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがあるとされています。胃の内容物が排出される速度が遅くなる作用によるものです。避妊を目的として服用している場合、この点は把握しておく必要があります。
ワルファリンカリウムなど治療域の狭い経口剤についても、併用する場合は患者の状態を慎重に観察することとされています。
マンジャロを個人輸入や通販で入手する危険性
マンジャロをはじめ、医薬品については入手経路によって加わるリスクがあります。
マンジャロの偽造品と品質が保証されない問題
海外から個人輸入した医薬品や、通販サイトを通じて購入した医薬品については、有効成分が含まれていない、表示と異なる成分が含まれている、不衛生な環境で製造されているといった問題が指摘されています。
マンジャロは2度から8度での遮光保存が必要な製剤で、室温で保存する場合も30度を超えない場所で21日以内に使用することとされています。輸送中の温度管理が保証されない経路では、この条件が守られていたかを確認するすべがありません。
マンジャロを診察も検査もないまま使うことの意味
自己注射を行う場合は、事前に十分な指導を受け、患者自身が正しく投与できることを確認したうえで、医師の管理・指導のもとで行う必要があります。
また、禁忌に該当しないか、注意が必要な背景を持っていないかの確認は、医師でなければ行えません。膵炎の既往があるか、胃腸の状態はどうか、併用している薬はないか。こうした確認を経ずに使い始めることは、自分がどのリスクに該当するかを知らないまま投与することを意味します。
マンジャロの個人輸入で健康被害が起きても救済されない
個人輸入した医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。そのため、健康被害が生じた場合でも、公的な救済を受けられない点に注意が必要です。
さらに、入手元が海外の事業者である場合、健康被害が生じても責任を追及すること自体が現実的に困難になります。
マンジャロのフリマアプリなどでの売買
処方箋医薬品である以上、個人間での譲渡や販売は認められていません。医薬品を販売するには許可が必要であり、無許可での販売は法令に触れます。
購入する側も、誰がどのように保管していたものかを確認できません。前述の温度管理の問題に加えて、そもそも中身が何であるかを確かめる手段がない状態です。
マンジャロの保険適用の条件と自費になる場合
マンジャロの費用の話は、制度上の位置づけと直結しています。
マンジャロの保険適用は2型糖尿病の治療として処方された場合に限られる
マンジャロが保険適用となるのは、2型糖尿病の治療として、承認された効能・効果に沿って処方される場合です。この場合、薬価に基づいて自己負担割合に応じた金額を支払うことになります。
薬価は規格ごとに定められており、2.5ミリグラムが1キットあたり1,443円、5ミリグラムが2,886円、7.5ミリグラムが4,329円、10ミリグラムが5,772円、12.5ミリグラムが7,215円、15ミリグラムが8,658円とされています。これは薬価であり、実際の窓口負担は自己負担割合や診察料等によって変わります。
なお、2型糖尿病であれば自動的に保険適用になるわけでもありません。効能・効果に関連する注意として、あらかじめ食事療法と運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること、と定められています。
マンジャロのダイエット目的の使用は保険適用外で全額自己負担になる
ダイエット目的での使用は保険適用外となり、自由診療として全額自己負担になります。価格は医療機関が独自に設定するため、同じ規格でも大きく差が出ます。
自由診療である以上、診察料、送料、初診料などの扱いも医療機関ごとに異なります。表示されている薬剤費だけでなく、総額でいくらかかるのかを確認する必要があります。
保険適用の条件を調べている人の中には、自分の場合も保険が使えないかを探している人がいます。ただし、保険適用の可否は本人の希望ではなく、承認された効能・効果に該当する診断があるかどうかで決まります。単に費用の問題ではなく、そもそも治療の対象に該当するかどうかを確認することが重要です。
肥満症の治療として保険適用になる薬の条件
肥満症を効能・効果として承認されている薬であっても、対象は限定されています。高血圧、脂質異常症または耐糖能障害のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有するか、BMIが35以上である場合に限られます。
該当するかどうかは医師の判断によります。自分が対象になるかを知りたい場合は、まず医療機関で相談するのが確実です。
マンジャロを費用だけで判断できない理由
自由診療では価格差が大きく、安さを前面に出した情報も見かけます。ただし、費用だけでなく、診察や検査の内容、副作用が起きた場合にどのような対応を受けられるかまで確認することが大切です。
安価である場合には、診察や検査、経過観察の内容に違いがないかも確認しておく必要があります。
マンジャロで後悔しないために確認しておきたいこと
マンジャロの処方前に受けるべき説明と検査
厚生労働省の通知では、医療機関に対して使用者へリスクを説明することが求められています。適応外であること、救済制度の対象外となる可能性があること、副作用として何が起こり得るかについて説明を受けているかは、確認する価値があります。
使用前には、これまでにかかった病気や現在使用している薬を確認し、マンジャロを使用して問題がないか判断する必要があります。こうした確認をせずに処方が進む場合は注意が必要です。
マンジャロを処方する医療機関を選ぶときの確認ポイント
厚生労働省は、医療機関に対して、副作用が起きた場合に適切な対応ができるよう求めています。
副作用が出たときの連絡先や対応時間、必要に応じて受診できるかどうかが明確になっているかは、医療機関を選ぶ際の判断材料になります。
マンジャロの広告の書き方から読み取れること
医療広告のルールでは、適応外の医薬品を用いた自由診療をウェブサイトで扱う場合、問い合わせ先を明示したうえで、治療等の内容、費用、リスク、副作用に関する情報提供を行うことが必要とされています。
リスクや副作用の記載がなく効果だけが強調されている、費用の総額がわからない、他院より優れていると受け取れる表現がある。こうした内容は、医療広告のルール上、問題となる可能性があります。医療機関を選ぶ際には、こうした点も確認することが大切です。
マンジャロを始める前に確認しておきたいこと
治療をどのように続けるのか、どのような症状が出たら医師に相談するのか、費用はどの程度かかるのかを、開始前に確認しておくことが大切です。
また、体重を減らすことだけを目標にすると、必要以上の体重減少を見過ごすおそれがあります。過度の体重減少がみられた場合には、減量や投与中止を検討します。治療中も定期的に医師の診察を受け、体重の変化や体調を確認することが重要です。
適応外使用であることと、救済制度の対象外となる可能性について説明を受けたか
既往歴と併用薬について確認されたか
事前に血液検査などが行われるか
副作用が出たときの連絡先と対応の体制が示されているか
費用は総額でいくらか(診察料・送料・初診料を含む)
どの時点で見直すか、どこまで続けるか
マンジャロの危険性とデメリットに関するよくある質問
マンジャロをダイエット目的で使うのは違法ですか
医師が医学的判断のもとで適応外の処方を行うこと自体は、法令で一律に禁止されているものではありません。ただし、承認された効能・効果の範囲外であること、自由診療になること、救済制度の対象外となる可能性があることは変わりません。
マンジャロのデメリットは何ですか
副作用が起こり得ること、ダイエット目的では全額自己負担になること、適応外使用では救済制度の対象外となる可能性があること、中止後に体重が戻りやすいことなどが挙げられます。効果の面だけでなく、これらを含めて判断する必要があります。
マンジャロの危険性は将来にも影響しますか
長期使用による影響について、ダイエット目的での使用を対象とした国内の長期データは十分ではありません。承認の根拠となった試験は2型糖尿病の患者を対象としており、ダイエット目的で長期間使用した場合の安全性については、現時点で十分に明らかになっていない部分があります。
マンジャロは医師の管理下ならリスクを抑えられますか
医師の管理下で使用することで、使用できないケースの確認や用量調整、副作用が出た場合の対応を受けやすくなります。ただし、ダイエット目的での使用が適応外であること自体は変わりません。
マンジャロは個人輸入でも安く買えますか
価格だけを見ると安く見える場合があります。ただし、偽造品や品質管理、保管状態の問題に加え、健康被害が生じた場合に公的な救済制度の対象外となるため、価格だけで判断するのは避けた方がよいでしょう。
マンジャロの処方でオンライン診療と対面診療に違いはありますか
オンライン診療か対面診療かだけでなく、必要な確認が十分に行われているかが重要です。これまでにかかった病気や使用中の薬の確認、リスクや副作用の説明、副作用が出たときの連絡方法などを確認しておきましょう。
マンジャロで後悔している人はどんな理由が多いですか
副作用がつらい、費用の負担が大きい、中止後に体重が戻るといった点は、使用を始めてから問題になりやすいポイントです。治療を始める前に、副作用や費用、中止後の体重変化について説明を受け、あらかじめ確認しておくことが大切です。
マンジャロの危険性は適応外という前提を理解したうえで判断する
マンジャロの制度上の位置づけの整理
マンジャロが国内で承認されている効能・効果は2型糖尿病のみです。ダイエット目的の使用は承認された範囲外にあたり、自由診療として全額自己負担となり、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
厚生労働省は2026年6月にも、適応外で使用された場合の安全性および有効性は確認されておらず思わぬ有害事象による健康被害につながるおそれがあるとして、医療機関への周知を求める通知を出しています。日本糖尿病学会と製造販売元各社も、同趣旨の注意喚起を行っています。
同じチルゼパチドを含む製剤として肥満症などを効能・効果とするゼップバウンドが承認されていますが、対象は限定された基準を満たす場合に限られます。
マンジャロについて医師に確認しておきたいこと
適応外使用であることや、それに伴う扱いについて説明を受けているか。これまでにかかった病気や使用中の薬を確認してもらえているか。副作用が出たときの連絡先や対応方法は明確か。費用はどの程度かかるのか。治療をどのように続け、どの時点で見直すのか。
マンジャロを使用する際には、副作用だけでなく、適応外使用であることや入手経路にも注意が必要です。使用前に必要な説明を受け、副作用が生じた場合の対応についても確認したうえで、医師と相談して判断することが大切です。
参照リンク
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KEGG MEDICUS 医療用医薬品 マンジャロ
-
厚生労働省 GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について(令和8年6月16日)
-
厚生労働省 医薬品・医療機器等安全性情報 No.406
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日本糖尿病学会 GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解
-
PMDA GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ
-
PMDA 医薬品副作用被害救済制度
-
日本イーライリリー マンジャロ皮下注アテオスを使用される患者さんへ