女性の薄毛サプリメントパントガールとは?効果や副作用・服用方法を解説

「最近、髪が細くなってきた気がする…」
「分け目が目立つようになった」
そんな悩みから、パントガールに関心をもつ方も多いのではないでしょうか。パントガールは、びまん性脱毛症の補助的治療として、医師の裁量で処方されることがあるサプリメントです。
本記事では、パントガールの効果や副作用、服用方法、個人輸入の危険性などを、医学的根拠にもとづいてわかりやすく解説します。ブログや口コミなどで「効果がない」といわれる理由についても検証しました。
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パントガールとは?

パントガールは、女性のびまん性脱毛症に対する補助的な治療として使用されるサプリメントです。ドイツの製薬会社であるMerz Pharma(メルツファーマ)によって開発されました。
髪や頭皮の健康を内側から支えるために、パントテン酸カルシウム、ケラチン、L-シスチンなどの栄養素がバランスよく配合されていることが特徴です。
海外では臨床試験の報告もあり、びまん性脱毛症の改善に有効とされるデータもあります。日本では未承認医薬品ですが、一部の医療機関では医師の判断で処方されています。
パントガールが効果的とされる女性の薄毛症状

ここでは、パントガールが効果的とされる女性の薄毛症状について見ていきましょう。
女性に多いびまん性脱毛症
びまん性脱毛症とは、頭部全体の髪が均一に薄くなる脱毛症です。男性型脱毛症と違い、生え際や頭頂部に限らず、全体的にボリュームが減るのが特徴です。
年齢を問わず起こる可能性があり、以下のような複数の要因が関与しています。
加齢
ストレス
栄養不足
ホルモンバランスの乱れなど
実際にある研究によると、びまん性脱毛症の原因として、休止期脱毛、精神的ストレス、鉄欠乏性貧血、ホルモン異常などが報告されています[1]。
FAGAとFPHLの違いと原因
FAGA(女性男性型脱毛症)とFPHL(女性型脱毛症)は、いずれも女性に見られる薄毛の一種です。2つは同じ意味として使われることもあり、明確に区別されていない場合もあります。
2023年の論文によると、FPHLはFAGAと同義語として使用されることが多く、頭頂部を中心に髪の毛が少しずつ減り、細くなるという臨床像がよく見られると報告されました[2]。
加齢によるホルモンバランスの変化や、遺伝的な体質が関係していると考えられています。多くの女性では男性ホルモン(アンドロゲン)の値は正常範囲内にあるものの、毛包のアンドロゲンに対する感受性の変化などが関係している可能性があります。
一方で、家族に薄毛の人がいる場合は発症しやすい傾向があり、複数の要因が重なって起こる多因子性の脱毛症とされています。
びまん性脱毛症の進行パターン
女性のびまん性脱毛症は、進行の仕方によって大きく3つに分類されます[3]。
ひとつずつ見ていきましょう。
急性休止期脱毛
急性休止期脱毛は、急激に抜け毛が増えるのが特徴です。強いストレスや高熱、外科手術、出産など、体に大きな負担がかかった後に見られます。
ヘアサイクルのうち成長期の毛が一時的に休止期へ移行し、一斉に脱毛が進むため、短期間で目立つ薄毛につながります。ただし、原因が明らかなことが多く、回復の見込みがあるのが特徴です。
慢性びまん性休止期脱毛
慢性びまん性休止期脱毛は、半年以上かけてゆるやかに、薄毛が頭部全体に進行していくタイプです。慢性的な体調不良や栄養不足、甲状腺疾患、貧血、自己免疫疾患などが背景にある場合もあります。
抜け毛の量は日々大きく変わらないため、気づきにくく、知らぬ間にボリュームが減っていることもあります。医師の診察による全身的な評価が必要です。
慢性休止期脱毛
慢性休止期脱毛は、加齢にともなって徐々に髪の密度が減っていく自然な脱毛タイプです。明らかな病気やホルモン異常が見つからず、閉経前後から少しずつ進行する傾向があります。
FAGAやFPHLも、加齢にともない進行するタイプの脱毛です。ただし、慢性休止脱毛とは違い、アンドロゲン(男性ホルモン)に関連するとされています。進行に気づきにくいため、気になる方は早めに医療機関へ相談するとよいでしょう。
パントガールに期待できる4つの効果

ここでは、パントガールに期待できるおもな4つの効果について紹介します。
なお、パントガールの効果には個人差があり、すべての方に同様の変化が現れるとは限りません。とくに、びまん性脱毛症が貧血や甲状腺疾患などによって引き起こされている場合は、根本的な治療を優先する必要があることは理解しておきましょう。
1.脱毛を緩和する
パントガールに含まれるパントテン酸カルシウムやL-シスチンは、毛母細胞の代謝をサポートし、髪の毛の健康な成長サイクルの維持に関係するとされています。
ある研究では、L-シスチン、パントテン酸、ビタミンB群、酵母を含むサプリメントを6ヶ月間摂取した女性の毛髪成長期比率が有意に改善されました[4]。
びまん性脱毛症では、髪の毛が一斉に抜け落ちる休止期脱毛が見られる場合がありますが、栄養状態が整うことで、抜け毛の増加を緩やかにする可能性があります。
2.髪の毛をダメージから守る
髪の主成分であるケラチンやL-シスチンは、外部刺激や加齢によって傷んだ髪の構造を補強する働きがあるといわれています。パントガールを内服することで、髪のコンディションを内部から整える作用が期待されますが、効果には個人差があります。
ある研究では、L-シスチンを含む経口製剤が、毛包ケラチノサイト(髪の構成細胞)を保護し、増殖と生存率を高めると報告されました[5]。
とくに、ヘアカラーやパーマ、紫外線によるダメージが蓄積している人にとっては、髪のハリ・コシ、耐久性の低下をサポートする可能性があります。
3.肌の新陳代謝をサポートする
パントテン酸をはじめとするビタミンB群は、皮膚や粘膜の代謝を助ける働きがある水溶性ビタミンです。体内でエネルギーをつくる際に必要な酵素の働きをサポートし、脂質や糖質の代謝にも関わっています。
ある研究では、パントテン酸が肌細胞のターンオーバーや、脂質代謝に重要な役割を果たしていることが報告されました[6]。頭皮環境が整い、毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌の予防にもつながる可能性があります。
また、間接的に毛髪が育ちやすい状態をサポートすることが期待できます。ただし、あくまで栄養素の補給が目的であり、皮膚疾患の治療薬ではない点は理解しておきましょう。
4.肌や爪の状態を整える
パントガールに配合されているアミノ酸やビタミン類は、爪や皮膚の角質層の健康維持にも関わっているとされています。
とくに、L-シスチンはケラチンの構成要素のひとつです。たとえば、爪の割れやすさ、肌の乾燥などの改善を目的に医師の裁量で処方されることがあり、あくまで栄養補助の一環として使用されることがあります。
パントガールは髪の毛だけでなく、肌や爪のトータルな美しさをサポートしたいと考える女性にも選ばれています。
パントガールは効果がないといわれる4つの理由<

パントガールは、口コミサイトやYahoo!知恵袋などでは「効果なし」「変化を感じられなかった」といった声も聞かれます。ここでは、なぜ効果がないといわれるのか、よくある4つの理由を見ていきましょう。
服用期間が短かすぎる
パントガールは、服用してすぐに変化を感じられるタイプの薬ではありません。多くの医療機関では、最低でも3カ月以上の継続服用を推奨しています。数週間〜1カ月程度で判断してしまうと、十分な変化を実感できない場合もあります。
実際に、L-シスチンやビタミンB群を含むサプリメントの臨床試験では、3カ月目以降に効果が明確に現れたと確認されました[7]。
毛髪には、成長期、退行期、休止期というヘアサイクルがあり、改善までには時間がかかります。長期的な視点での服用が必要となるため、医師と相談しながら続けることが大切です。
薄毛の原因が適応外
パントガールは、びまん性脱毛症や栄養不足による脱毛症などに対して処方されることが多いサプリメントです。しかし、すべての薄毛に適しているわけではありません。
たとえば、円形脱毛症やホルモン異常、自己免疫疾患などが原因となっている場合は、別の治療が優先されることがあります。効果を実感できない背景には、そもそも脱毛のタイプが異なっていたというケースも考えられます。
専門医による診断を受けることが、より適切な治療につながるでしょう。
用法・用量を守っていない
パントガールは、通常1日3回、朝・昼・夕食後に1カプセルずつ服用することが基本です。しかし、飲み忘れが続いたり、自己判断で服用回数を減らしてしまったりすると、十分な効果が得られない可能性があります。
また、熱に弱い成分も含まれているため、お湯や熱い飲み物で服用すると、効果が減弱する可能性もあります。医師や薬剤師の指導を受け、用法・用量を守りましょう。
即効性を期待しすぎている
SNSやブログなどでは「数日で変化があった」「髪が増えた気がする」といった体験談も見かけます。しかし、あくまで個人の感想であり、多くは医学的な根拠に基づいたものではありません。
パントガールは脱毛の根本的な治療薬ではなく、栄養バランスの補給を通じて髪の健康をサポートします。すぐに目に見える効果を期待しすぎると、ギャップを感じることもあるでしょう。
女性の薄毛には、さまざまなタイプがあります。まずは、自分の症状に適した治療を医師に相談してしてください。
パントガールの副作用と禁忌

パントガールは、ビタミン類やアミノ酸、ケラチンなどの栄養素を主成分とする比較的安全性の高い薬です。ただし、すべての人に副作用が起こらないわけではありません。
ここでは、おもな副作用と服用できないケースについて見ていきましょう。
おもな副作用
多くの女性は、パントガールを副作用なく服用できるとされていますが、まれに以下のような症状が報告されています。
軽度の胃部不快感
吐き気
下痢
腹部膨満感
発疹やかゆみなどのアレルギー反応
L‑シスチン・パントテン酸などを含む経口製剤を6カ月使用した臨床試験では、副作用は軽度で、重大な有害事象は報告されませんでした[8]。ただし、体調の変化が見られた場合は、早めに医師へ相談しましょう。
服用できない人
パントガールはすべての人に適しているわけではありません。以下のようなケースでは、服用が推奨されていない、あるいは医師の慎重な判断が必要です。
妊娠中・授乳中の女性や未成年
パントガールは、妊娠中や授乳中の安全性が確立されておらず、18歳未満の未成年への使用も避けるべきとされています。実際の臨床試験においても、これらの層は安全性の観点から除外対象となっています。
薄毛治療を希望する場合は、必ず医師に相談のうえ、より安全な選択肢を検討しましょう。
他の薬との併用について
パントガールは、一般的な薬との相互作用は少ないといわれていますが、以下のような場合は注意が必要です。
ビタミン剤やミネラルサプリとの重複摂取
抗がん剤や免疫抑制薬などを服用している
腎機能や肝機能に異常があると診断されている
服用中の薬がある場合や持病がある方は、併用が可能かを医師に相談しましょう。
パントガールの服用方法と注意点

パントガールは、継続して服用することで効果が期待できます。ここでは、服用方法や服用時の注意点を見ていきましょう。
服用量と飲むタイミング
パントガールは、1日3回、朝・昼・夕食後に1カプセルずつ服用するのが基本です[9]。効果を実感するまでには一定の時間がかかるため、最低でも3カ月以上の継続が推奨されています。
髪の毛の成長周期(ヘアサイクル)を考慮すると、6〜12カ月程度の継続によって、安定した効果が得られるといわれています。
詳しくは、製造販売元であるドイツのMerz Pharma(メルツファーマ)公式ホームページ How to use - Pantogarをご覧ください。パントガールのパッケージ画像も確認できます。
服用時に気をつけたいポイント
パントガールに含まれる栄養成分は熱に弱いため、熱湯ではなく常温または冷たい水で服用しましょう。
また、食後に服用することで、吸収効率が高まるとされています。食後の消化活動により胃腸の血流が増え、栄養素の吸収が促進されるためです。
とくに、水溶性ビタミン類は食後のほうが空腹時よりも安定して吸収されやすく、より効率的な摂取が期待できます。
飲み忘れたときの対処法
パントガールを日中に1回飲み忘れた場合、次の服用時間に2回分まとめて服用可能です[9] 。
ただし、飲み忘れが続くと、十分な効果が得られにくくなります。できるだけ、毎日決まった時間に服用する習慣をつけることが大切です。
たとえば、食事後すぐに飲むようにしたり、スマートフォンのリマインダー機能を活用したりするのもよいでしょう。外出先でも忘れないように、ポーチなどに入れて携帯しておくと安心です。
パントガールを処方してもらう方法

パントガールは、どのように処方してもらえばいいのでしょうか?ここでは、2つの方法を紹介します。
皮膚科やAGAクリニックを受診する
パントガールは医師の診察と処方が必要であり、市販はされていません。女性の薄毛治療を行っている皮膚科やAGAクリニックでは、問診や視診によって原因を見極めたうえで、必要に応じてパントガールを処方します。
薄毛の症状が他の疾患に起因している場合や、ホルモンバランス、栄養状態などの確認が必要なこともあります。まずは、専門医へ相談することが大切です。
診察時は、副作用の有無や他の治療との併用可否についても説明を受けられます。安心して治療を継続しやすいため、メリットが大きいといえるでしょう。
オンライン診療という選択肢もある
近くに薄毛治療を扱う医療機関がない場合や、通院が難しい場合、オンライン診療も選択肢のひとつです。スマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けられ、処方が適していると判断されれば、自宅に薬を郵送してもらえるサービスもあります。
ただし、オンライン診療では、頭皮の状態を正確に確認しにくい場合もあります。症状が複雑な場合や自己判断が難しいと感じる場合は、対面診療を併用するのが望ましいでしょう。
いずれの方法でも、医師の診断に基づいて適切に処方を受けることが大切です。
パントガールを個人輸入する危険性

ここでは、パントガールを個人輸入する際に考えられる危険性について見ていきましょう。
偽造品や粗悪品による健康リスクがある
インターネット上では、パントガールを海外から個人輸入できるように見えるサイトが多数存在します。しかし、個人輸入で購入する製品には、偽造品や粗悪品が含まれている可能性があるため、注意が必要です。
厚生労働省も、個人輸入による医薬品の購入に関して、繰り返し注意喚起を行っています[10]。たとえば、以下のようなリスクがあります。
正規の成分が含まれていない
成分量が異なる
不衛生な環境で製造されたなど
本来得られるはずの効果が得られないわけではありません。副作用や体調不良の原因となることもあるため、個人輸入による購入は避けましょう。
副作用が出ても救済制度の対象外となる
パントガールは、国内では未承認医薬品です。副作用が出た場合でも、国の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となります[11]。
そのため、医師の診断や経過観察を受けながらの処方が重要です。医療機関で処方を受けた場合、副作用が起きたときも、医師が迅速に対応できるというメリットがあります。
一方、個人輸入では体調の異変に気づいても相談先がなく、対処が遅れてしまうリスクがあります。また、用量・用法を誤ったり、持病や体質に合わないのに自己判断で服用したりするリスクも高まるでしょう。
パントガールは比較的安全性が高いとされていますが、正規ルートで医師の診断に基づいて処方を受けることが大切です。安易な個人輸入は避けてください。
パントガール以外の女性向け薄毛治療薬

パントガール以外にも、複数の女性向け薄毛治療薬があります。ここでは、代表的な3つの治療薬について見ていきましょう。
ルグゼバイブ|美肌成分をプラス
ルグゼバイブは、女性のびまん性脱毛症に悩む方々のために設計された栄養補助サプリメントです。L-シスチンやケラチンなど、髪の健康を内側からサポートする成分が配合されています。
さらに、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの美肌成分が含まれている点が特徴です。実際に、L-シスチンと加水分解ケラチンを含む経口サプリメントを12週間使用した臨床試験では、毛髪密度の改善に加え、髪と爪の光沢や爪の成長促進が確認されました[12]。
肌や爪の健康も気になる方や、美容目的での使用を希望する方にも適しています。なお、日本では医薬品ではなく、医療機関が処方するサプリメントとして取り扱われています。
ミノキシジル|頭皮の血流を促す
ミノキシジルは、血管を広げて頭皮の血流を促進し、毛根に栄養を届けやすくする薬で、女性のびまん性脱毛症に対しても使用されています。外用薬と内服薬がありますが、日本で承認されているのは外用薬のみです。
2021年の研究では、女性型脱毛症に対する外用ミノキシジルの使用により、毛髪密度や太さの改善が確認されました。一方で、頭皮のかゆみ、発疹、まれに多毛症などの副作用が報告されています[13]。
内服薬は国内では未承認であり、使用にあたっては医師による慎重な管理が必要です。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、女性に対するミノキシジル内服薬の使用は、推奨度D(行うべきではない)とされています[14]。
スピロノラクトン|ホルモンバランスを整える
スピロノラクトンは本来、利尿剤や高血圧の治療薬として用いられる内服薬です。抗アンドロゲン作用(男性ホルモンの働きを抑える作用)を持つため、ホルモンバランスが関与する女性のびまん性脱毛症にも応用されています。
2023年の論文によると、スピロノラクトン単独または他の治療との併用で、56.6%の女性に脱毛の改善が見られたと報告されました[15]。
ただし、日本では、薄毛治療目的での使用は保険適用外(自由診療)です。また、月経不順や高カリウム血症などの副作用が起こる可能性もあるため、定期的な血液検査や医師による監視が必要です。
女性の薄毛対策に役立つ栄養素

薄毛の原因はホルモンバランスの変化やストレス、疾患など多岐にわたります。根本的な対策として、毎日の食事から摂る栄養素も重要です。
タンパク質|髪の土台をつくる基本栄養素
髪の主成分であるケラチンは、アミノ酸から構成されるタンパク質です。タンパク質が不足すると、髪の材料が不足し、成長が遅れたり妨げられたりして、抜け毛や細毛の原因になりやすいと言われています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、成人女性の1日あたりのタンパク質推奨量は50gです[16]。肉、魚、卵、大豆製品などから、バランスよく摂取することを心がけましょう。
亜鉛|髪の合成に不可欠なミネラル
亜鉛はタンパク質の合成や細胞分裂を助けるミネラルで、髪の形成や成長をサポートする重要な栄養素です。不足すると、脱毛や頭皮トラブルのリスクも高まるといわれています。
亜鉛を多く含む食品には、牛肉やレバー、納豆などがあります。その他、ミネラルを含む食品には、以下が挙げられます。
カリウム:ほうれん草、人参など
カルシウム:チンゲン菜、小松菜など
亜鉛は偏食やストレス、過度なダイエットによって欠乏しやすいため、意識的に摂取しましょう。
鉄分|鉄欠乏貧血を予防する
鉄分は、酸素を運ぶ赤血球の構成成分です。髪の毛を育てる毛母細胞にも、十分な酸素を届けるためにも、鉄分の摂取は欠かせません。
とくに、月経のある女性は鉄不足になりやすく、鉄欠乏性貧血は脱毛の一因とされています。鉄分は、以下のような食品に多く含まれています。
レバー
赤身の肉
魚介類など
さまざまな食品をバランスよく摂取することが、鉄不足の予防につながります。
ビタミン・イソフラボン|髪や頭皮の健康を支える
ビタミン類も髪の健康には欠かせません。とくに、以下のような働きが注目されています。
ビタミンB群:細胞の代謝をサポートし、毛母細胞の働きを支える
ビタミンC:鉄の吸収を高め、抗酸化作用による頭皮の酸化ストレスを軽減する
ビタミンE:血行を促進し、頭皮への栄養供給をサポートする
また、大豆イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つ植物性成分です。更年期に差し掛かる女性のホルモンバランスのサポートが期待できます。
厚生労働省の「大豆イソフラボンの安全な摂取目安量の設定の検証」によれば、大豆イソフラボンの一日摂取上限量は、70〜75mgです。日本人女性の通常の摂取量は、平均して16〜22mg程度のため、納豆や豆腐などの大豆食品を適量摂取することが大切です[17]。
ただし、特定保健用食品などを併用する場合は、上限を超えないよう注意しましょう。
パントガールの効果に関するよくある質問

ここでは、パントガールの効果に関してよく寄せられる質問にお答えしました。
Q1.パントガールとミノキシジルの違いを教えてください
パントガールは、髪や頭皮の健康維持に必要な栄養素をバランスよく含む栄養補助のサプリメントです。おもにびまん性脱毛症に対して、頭皮環境を整える目的で用いられます。
一方、ミノキシジルは血管拡張作用によって頭皮の血流を促進し、発毛をサポートする成分です。日本皮膚科学会のガイドラインでも、外用薬は推奨度Aと評価されています[14]。
ミノキシジルはより直接的に毛包の活動に作用する薬であり、脱毛の進行抑制や発毛促進が期待できます。目的や作用機序が異なるため、症状に応じて併用されることもあります。
Q2.パントガールは白髪にも効果がありますか?
パントガールは、白髪の改善を目的とした薬ではありません。白髪はおもに毛包内のメラノサイト(色素細胞)の機能が低下したり、減少したりすることで起こります。
メラノサイトの機能を回復させる有効な薬は、現在のところ確立されていません。パントガールは白髪対策としての使用は推奨されていないため、気になる場合は皮膚科にご相談ください。
Q3.パントガールを長期服用するとどうなりますか?
パントガールは、通常3〜6カ月の継続的な服用で効果を実感しやすくなるといわれています。長期にわたって服用することで、髪や爪、肌の健康状態が維持されることが期待されますが、長期使用にあたっては医師の定期的な診察が必要です
副作用の頻度は低いとされていますが、長期服用を希望する場合は定期的に医師の診察を受けましょう。体質や既往歴によっては、継続使用が適さない場合もあります。
Q4.パントガールは男性にも効果がありますか?
パントガールの成分自体は、男女問わず体内に存在する栄養素です。ただし、男性型脱毛症(AGA)に対する医学的な効果は、明確に示されていません。
男性の脱毛は、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの影響が大きいです。一般的には、フィナステリドやデュタステリドなど、ホルモンに作用する治療薬が用いられます。
男性がパントガールを使用する場合は、医師と相談のうえで適応を確認しましょう。
Q5.パントガールはいつから効果が現れますか?
パントガールは、3〜6カ月継続して服用することで、成長期の髪の毛の割合が増加するとされています[4]。髪の毛には毛周期(ヘアサイクル)があり、変化を感じるまでに時間がかかるのが一般的です。
ただし、効果の実感には個人差があり、体質や脱毛の原因、服用方法の遵守状況などによって異なります。即効性を期待しすぎず、医師の指導のもとで継続的に服用することが大切です。
パントガールの効果を正しく理解して選択しましょう

パントガールは、女性に多く見られるびまん性脱毛症などの薄毛症状に対して、栄養面からアプローチします。脱毛の緩和、髪のダメージからの保護などが期待できます。
薄毛治療は、医師による診断のもと、自分に合った方法を選ぶことが重要です。自己判断による服用や、個人輸入による購入は避けてください。
気になる症状がある場合は、皮膚科やAGA専門クリニックを受診するとよいでしょう。正しい知識を理解し、専門医と相談しながら治療を進めることが、より効果的な薄毛対策につながります。
※本記事は、日本国内で未承認の医薬品である「パントガール」について、既存の文献に基づき解説したものです。個人輸入や自己判断での服用はリスクを伴うため、必ず医師の診察のもとで処方・服用をご検討ください。
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