60代女性の薄毛を上品にカバーする髪型カタログ|ショート&ミディアム

「分け目の地肌が気になる」

「トップがぺたんとして老けて見える」

「ドライヤーやブローがしんどくなってきた」


60代になると、髪が細くなったり白髪が増えたりと、20代や30代の頃にはなかった悩みが出てきます。髪型ひとつで自信がなくなり、気持ちまで落ち込むことも少なくありません。


しかし、ヘアスタイルの工夫やカラーの選び方次第で、薄毛を自然に目立たなくし、若々しく上品な印象を演出することが可能です。


本記事では、60代女性の髪に起こる変化や原因に触れながら、ショート・ミディアムのおすすめヘアスタイルやカラーの工夫、生活習慣のポイントまでわかりやすく解説します。


ぜひ、この記事を髪型カタログとして、自分に合ったヘアスタイルを見つけてください。薄毛を上品にカバーし、毎日をあなたらしく生き生きと過ごしましょう。


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60代女性の髪に起こる変化と薄毛の原因

60代になると「白髪が一気に増えた」「昔より髪にボリュームが出にくくなった気がする」など、髪の悩みが増えます実は年齢のせいだけでなく、頭皮や体の変化が関係しています。


髪型を検討する前に、まずは薄毛の主な原因を理解しておきましょう。

毛髪が細くなり全体のボリュームが減る

髪の毛は、毛根にある毛包(もうほう)でつくられています。加齢とともに毛包が小さくなると、1本1本の髪が細く短くなり、全体のボリュームが減少するミニチュア化が起こります[1]。


とくに60代では、以前は気にならなかった分け目や頭頂部の地肌が透けて見えやすくなります。髪が細くなるとセットも崩れやすくなるため、若い頃と同じスタイリング方法では思うようにまとまらないのです。

メラノサイトの働きが低下し白髪が増える

白髪は、メラノサイトと呼ばれる色素細胞の働きが低下することで起こります。加齢によりメラノサイトの数や機能が減ると、髪の毛に色素(メラニン)が十分に行き渡らなくなり、白髪が増えていきます。


研究でも、加齢に伴い毛包のメラノサイトや幹細胞の数・働きが減少し、色素の生成が低下することが白髪の主な要因であると報告されました[2]。


とくに、60代では急に白髪の割合が高くなり、全体の印象を大きく変えてしまいます。白髪は見た目年齢を大きく左右するため、染め方や色選びも重要なポイントです。

血流が低下し毛根に栄養が届きにくくなる

髪の成長には、毛根への十分な酸素と栄養が不可欠です。しかし、加齢にともない皮膚の微小循環は低下しやすくなり、頭皮においても毛包への供給が相対的に下がる可能性があります[3]。


結果的に髪が細くなったり、成長が遅くなったりする可能性があります。冷えや運動不足、肩こりなどがある場合は、注意が必要です。さらに血流が滞りやすく、毛根への栄養供給が不安定になりやすいと考えられます。

女性ホルモンが減少しFAGAが進みやすい

女性ホルモン(エストロゲン)には、髪の成長を支える作用があります。


しかし、閉経を境にホルモン分泌が大きく減少し、女性型脱毛症(FAGA)が進行しやすくなるといわれています。ただし個人差があり、必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。なお、FAGAは、頭頂部や分け目を中心に薄くなるのが特徴です[1]。


40代後半から始まり、60代で目立つ方が増えてきます。女性にとって、ホルモン変化は髪のボリューム低下に直結する大きな要因となります。

フェイスラインのたるみや骨格変化で髪型のバランスが崩れやすい

意外に見落とされやすいのが、顔や頭部の形の変化です。加齢により皮膚や筋肉がたるむとフェイスラインが下がります。骨量の減少によっても、頭蓋骨の形が少しずつ変化します。


研究によると、加齢とともに目のまわりの骨が広がり、頬の骨が少し下がり、あごの骨は小さくなる一方で角度が広がることが報告されています[4]。


若い頃と同じ髪型が似合わなくなったり、ボリュームの位置が合わず不自然に見えたりするのは、そのためです。とくに、輪郭がぼやけやすい60代では、髪の重さや長さのバランスを調整する工夫が必要です。

薄毛に悩む60代女性の髪型選びで押さえたい5つの基本

ここでは、薄毛を自然にカバーしながら上品に見せるために押さえておきたい基本ポイントを見ていきましょう。

1.トップに自然なボリュームを出す工夫をする

薄毛が目立つのは、頭頂部や分け目がぺたんとつぶれてしまう時です。トップに自然な立ち上がりをつくることで、全体のシルエットが若々しくなります。


たとえば、ドライヤーで根元を立ち上げるように乾かしたり、マジックカーラーで前髪や頭頂部を軽く巻いたりしてみましょう。簡単な工夫で印象は大きく変わります。


美容院でレイヤーを入れてもらうと、乾かすだけで自然にボリュームが出やすくなるため、毎日のスタイリングもかなり楽になるはずです。

2.分け目やつむじはぼかして上品に見せる

分け目やつむじは、地肌が透けやすい部分です。一直線に分けると薄毛が強調されるため、ジグザグにとったり、位置を少しずらしたりしてぼかすのがポイントです。


分け目を変える頻度は、2〜3週間に一度を目安にするとよいでしょう。長期間同じ位置で分けていると、その部分の毛根に負担がかかり、ボリュームが出にくくなるからです。


また、パーマや軽いカールを取り入れることで毛流れが分散し、自然な立体感が生まれます。

3.前髪でやわらかい印象を演出する

額が広く見えると髪の薄さが強調されやすいため、前髪で自然にカバーするのがおすすめです。軽やかに流れるような前髪にすると、顔まわりにやわらかさが生まれ、上品な雰囲気に仕上がります。


薄めにつくった前髪(いわゆるシースルーバング)も選択肢の一つです。しかし、生え際の毛量が少ない方は逆に透け感が強調されるため、厚みを残した前髪のほうが安心です。


また、長めの前髪を横に流すスタイルも小顔効果があり、丸顔・面長どちらにもバランスよく似合います。毛量や髪質に合わせて前髪のデザインを調整することで、自然で上品に見せつつ、薄毛をカバーできるでしょう。

4.顔周りをスッキリさせてフェイスラインを引き立てる

年齢とともに気になってくるのが、フェイスラインのたるみ。顔周りの髪を重く残すと、光の陰影がなくなります。顔と髪の境界が曖昧になるため、輪郭がぼやけて見えるのです。


サイドの髪をすっきり短めにしたり、レイヤーを入れて動きを加えたりすると、フェイスラインが引き立ちます。全体がシャープで上品な印象になるので、ぜひ試してみてください。


とくに、ショートやミディアムでは、首元を軽く見せることで若々しく見える効果が期待できるでしょう。

5.明るめカラーで柔らかさと立体感を加える

暗い髪色は、地肌とのコントラストが強く出てしまい、分け目やつむじがより目立ちやすくなります。少し明るめのカラーを取り入れると、全体がふんわりと柔らかく見えます。


明るめの色は光を反射しやすく、髪全体に立体感と透明感をプラスします。トーンを少し上げるだけで、軽やかな印象に仕上がるのも大きなメリットです。


60代は、白髪が増えてくる年代。暗いカラーで隠すのではなく、明るさで自然になじませましょう。

薄毛に悩む60代女性におすすめ!ショート&ミディアム髪型カタログ

ここでは、薄毛に悩む女性におすすめしたいショートとミディアムヘアをご紹介します。ぜひ、髪型カタログとして活用してください。

ふんわり上品に仕上がる60代女性のショートヘア

ショートヘアは、とくに髪のボリューム不足やツヤの減少が気になる60代女性におすすめのスタイルです。悩みを自然にカバーしながら上品さを引き出す4つの髪型を見ていきましょう。

分け目・つむじ割れを目立たせないショート

分け目やつむじが割れると、地肌が透けて見えやすくなります。そこで、ジグザグに分けたり、位置を少しずらしたりする工夫をしたショートがおすすめです。


毛流れを分散させることで自然な立体感が生まれ、薄毛をさりげなくカバーできます。さらに、軽いパーマやカールを加えるとスタイリングが簡単になり、自宅でも美容室帰りのような仕上がりを再現しやすくなるでしょう。

後頭部ふんわりの丸みショート

年齢とともに後頭部がぺたんとしやすくなりますが、丸みを持たせたショートは横から見たときのシルエットが美しくなります。トップから後頭部にかけてふんわり感を出すと、自然な華やかさと若々しさがプラスされるでしょう。


美容師は骨格や毛流れを見極めながらカットラインを調整しているため、自分に合ったシルエットになるのもポイントです。立体感のある後頭部は、上品さを際立たせます。年齢を重ねた女性に似合うスタイルといえるでしょう。

首元すっきり前下がりショート

首元を軽やかに見せたい方には、前下がりのショートがおすすめです。襟足を短くタイトにまとめることで、フェイスラインを引き立て、小顔効果や首のラインを長く見せる効果があります。


正面から見ても横から見てもシャープな印象になり、全体をすっきりと見せてくれるのが魅力です。とくに、60代はフェイスラインのたるみが気になってくる年代。前下がりショートは、余分な影を減らしながら、若々しい雰囲気を演出できるのが大きなメリットです。

柔らかい動きを出すレイヤーショート

髪の量が減ってきても、レイヤーを入れることで軽やかな動きとふんわり感を出せます。段差をつけることで毛流れに自然な立体感が出て、全体がボリュームアップして見えるのも魅力です。


スタイリング時にワックスやヘアクリームを少量なじませると、毛先の動きが際立ち華やかさが増すでしょう。髪が細くなってきた世代でも重たくならず、上品で柔らかい印象を演出できるのがレイヤーショートの強みです。

ボリューム不足をカバーする60代女性のミディアムヘア

ショートほど顔周りを出したくない方や、フェミニンな雰囲気を残したい方にはミディアムヘアがおすすめです。肩にかかる長さはスタイリングの幅が広く、ボリューム不足を上手にカバーしてくれます。

ひし形シルエットの上品ミディアム

顔の横幅と縦のバランスを整えるひし形シルエットは、ミディアムヘアの王道です。トップからサイドにかけて程よく丸みを持たせ、毛先を軽く外に流すことで立体感が生まれます。


頬やフェイスラインを自然にカバーでき、小顔効果も期待できるでしょう。60代の方はレイヤーを入れすぎず、まとまり感を残すのが上品に仕上げるポイントです。

くびれを効かせた軽やかミディアム

首元にくびれを作ると全体がすっきり見え、スタイルアップにつながります。髪の重さを下にためず、レイヤーを入れて動きをつけることで軽やかな印象になるでしょう。


とくに、フェイスラインが気になる60代の方におすすめです。首や肩まわりがスッと見えるため、上品さと若々しさの両方を叶えられます。日常のお手入れも、ドライヤーで簡単に形が決まるのがメリットです。

外はねで動きをつけるミディアム

毛先を外にはねさせるだけでスタイル全体が軽快になり、薄毛やぺたんこ感をカバーできます。年齢とともに髪が細くなりがちな60代女性にとって、動きとボリュームを同時に演出できる便利な髪型です。


肩ラインの長さなら、自宅でもアイロンやドライヤーで再現可能です。ラフさを出すことで、きちんと感と抜け感の両方を楽しめますよ。

内巻きワンカールで柔らかさを演出

毛先を内側にワンカールするスタイルは、女性らしさと上品さを兼ね備えています。丸みが加わることで髪全体が柔らかく見え、分け目やつむじの目立ちやすさも自然にぼかせます。


アイロンを使わなくても、ブローで毛先を内側に入れるだけで仕上がるため、毎日のスタイリングも簡単です。60代女性には、暗すぎないカラーと合わせて透明感を引き出すのがおすすめです。


部位・長さ別の薄毛をカバーする髪型については「薄毛が目立たない女性の髪型|部位・長さ・年代別に似合うスタイルを紹介」でも詳しく紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

薄毛が目立たない!60代女性に似合う髪色・ヘアカラーの選び方

60代になると白髪の割合が増え、ツヤも出にくくなるため、髪色の選び方はとても大切です。ここでは、60代女性におすすめの薄毛が目立たないヘアカラーや注意点について見ていきましょう。

明るめカラーで地肌との差をやわらげる

暗い黒やダークブラウンは、地肌と白髪の境目がはっきり出てしまい、かえって薄毛が強調されがちです。少し明るめのカラーを取り入れると、髪全体が柔らかく見え、薄毛が自然にカバーされます。


ただし、明るめといっても一人ひとりに似合う色合いは異なります。肌のトーンや普段の服装、全体の雰囲気によって、似合う明るさや色味が変わってくるからです。


たとえば、肌が明るめの方はベージュやライトブラウンがなじみやすく、黄みが強い肌の方はアッシュ系で透明感を出すと上品に見えます。


自分に合った色を見つけるには、美容師と相談しながら調整してもらうのがおすすめです。プロの視点で肌色や髪質を見てもらうことで、自然に見えておしゃれ感も引き立つカラーに仕上がるでしょう。

白髪ぼかしカラーで自然になじませる

白髪を完全に隠すのではなく、周囲の色となじませて自然に見せるのが白髪ぼかしカラーです。伸びても境目が目立ちにくく、上品で柔らかな印象を保てるのが魅力です。


隠すから活かすという発想に変わったことで、60代女性の髪の悩みに合った選択肢として注目されています。細めに入れると落ち着いた雰囲気に、太めに入れると華やかに仕上がるなど、アレンジの幅も広がります。


ベージュやアッシュ系などを組み合わせると透明感が出やすく、白髪が自然に溶け込む仕上がりになるでしょう。髪へのダメージも少なく、メンテナンスの負担を軽減できるのもメリットです。

ハイライトやローライトで立体感を出す

全体を一色で染めるよりも、ハイライトやローライトを組み合わせることで髪に奥行きが生まれます。とくに、トップや顔まわりに細かく入れるとボリューム感が出るため、薄毛を自然にカバーできます。


ハイライトとは髪に明るい筋を入れることで、光が当たったときに動きや立体感が出ます。ローライトは、暗めの色を部分的に入れて影を作る技術で、髪が引き締まって見えるのが特徴です。


たとえば、細かいハイライトを全体に散らすとふんわり感が増し、ローライトを内側に入れると顔まわりがシャープに見えます。レイヤーカットやふんわりブローと組み合わせることで、若々しく見えるのもメリットです。

髪や頭皮にやさしい薬剤を選ぶ

60代になると、頭皮が乾燥したり敏感になったりする方も少なくありません。最近の美容室では、オーガニックカラーや低刺激カラーなど、頭皮や髪にやさしい薬剤を取り入れているところも多いです。


カラーを選ぶときは、刺激の強い成分(ジアミンやアルカリ剤など)が少ないか、低刺激処方かをチェックしましょう。「カラーでかゆみが出たことがある」「地肌にしみやすい」という方は、美容師に必ず伝えておきましょう。


自分の髪や頭皮の状態に合わせて薬剤を選ぶことで、安心してカラーを楽しめます。

60代女性が避けたい薄毛が目立つNGな髪型

髪型選びを間違えると、薄毛がかえって強調されかねません。ここでは、60代女性が避けたいNGなヘアスタイルと理由を紹介します。

トップがぺたんとしたストレートヘア

トップにボリュームが出ないストレートヘアは、地肌が透けやすく、薄毛が強調されやすい髪型です。とくに、60代では髪のハリ・コシが低下するため、ぺたんとした質感は疲れた印象や老け見えにつながります。


もしストレートにしたい場合は、根元を立ち上げるブローや部分パーマで自然なふんわり感をプラスしましょう。分け目を固定せず、ずらす工夫も取り入れてみてください。

重さが強調されるロングヘアやワンレングス

重たいロングやワンレングスは、毛先に重心が下がります。トップのボリューム不足が際立つため、薄毛が強調されてしまいます。


動きが出にくいスタイルなので、髪質が変化する60代女性には不向きです。もし長さを残したい場合は、段を入れて軽さを出したり、毛先にカールを加えて動きを演出したりするのがおすすめです。

派手過ぎるヘアカラー

極端に明るい金髪やビビッドな色味は、地肌とのコントラストを強め、分け目やつむじの薄毛を目立たせてしまいます。


また、派手なカラーは肌のしわやくすみを強調し、年齢とのミスマッチ感を与えることもあります。どうしても取り入れたい場合は、顔色になじむ自然な明るさやハイライトを部分的に入れましょう。

強すぎるパーマヘア

髪全体に強いパーマをかけると、広がりすぎて輪郭がぼやけ、かえって老けた印象になりやすいです。また、60代の細い毛には大きなダメージを与えることになり、パサつきや枝毛が目立つ要因になります。


パーマをかける場合は、根元は自然に立ち上がる程度で、毛先はやわらかく動きを出す程度が適しています。トップだけにボリュームを出すポイントパーマも、薄毛カバーに効果的です。

薄毛に悩む60代女性が髪型オーダーで美容師に伝えたい3つのポイント

美容師に要望をしっかり伝えることで、仕上がりやお手入れのしやすさに大きな差が出ます。ここでは、薄毛に悩む60代女性が髪型オーダーする際に押さえておきたい3つのポイントを見ていきましょう。

お手入れのしやすさを重視する

60代女性にとって、毎日のスタイリングが手軽かどうかは大切なポイントです。ドライヤーで乾かすだけでまとまる髪型や、軽くワックスをなじませるだけで立体感が出るカットは、時間をかけずに上品さを保てます。


また、手先の力が弱くなってくる年代でも扱いやすいよう、髪質やクセに合わせた提案を受けることが大切です。


たとえば、朝は忙しくてゆっくり髪を整える余裕がなかったり、気力が出なかったりする日もありますよね。「ブローに時間をかけられない」と正直に話すと、無理のない仕上がりが叶うでしょう。

カラーやカットの頻度を考慮する

白髪や髪の伸び具合を考えると、どのくらいの頻度で美容室に通えるかも仕上がりに直結します。しかし、体力的に頻繁に通うのが負担だったり、家計の都合で美容にお金をかける余裕がなかったりといった事情がある方も少なくありません。


たとえば、伸びても境目が目立ちにくい白髪ぼかしカラーや、持ちの良いショート〜ミディアムスタイルなどがおすすめです。


「通えるのは3か月に1回程度」のように具体的に伝えると、染め直しやカットの目安に合わせたプランを提案してもらえるでしょう。

薄毛の悩みを遠慮せず相談する

薄毛が気になると伝えるのは、少し勇気がいるかもしれません。しかし、美容師は同じような相談を日常的に受けているため、恥ずかしがらずに相談することが大切です。


たとえば「つむじの割れが目立つのでカバーできるようにしたい」「前髪が薄くなったので自然に見せたい」のように具体的に伝えましょう。遠慮せず悩みをシェアすることで、自分に合ったスタイルが見つかりやすくなります。

60代女性の薄毛をやわらげる5つの生活習慣

生活習慣の乱れや体調の変化は、薄毛を進行させる要因になります。ここでは、今すぐ始められる60代女性におすすめのセルフケアをご紹介します。

1.乾燥しやすい頭皮を守るシャンプーをする

60代になると皮脂量が減り、頭皮は乾燥しやすくなります。乾燥した頭皮はフケやかゆみ、炎症を招き、抜け毛の要因になることもあります。


保湿成分を含むタイプや、アミノ酸系の低刺激シャンプーを選ぶと、頭皮をやさしく洗いながらうるおいを保つことができます。頭皮環境を整えることが、髪を健やかに保つサポートにつながります。研究でも、加齢に伴う頭皮環境の変化が毛包機能に悪影響を与える可能性があるため、保湿によるケアの重要性が報告されています[5]。

2.頭皮マッサージで冷えや血流の滞りをケアする

加齢により血流が低下すると、毛根への栄養供給が不十分になる傾向があります。とくに、60代では冷えや肩こりなども重なり、頭皮の循環がさらに滞りがちです。


たとえば、入浴後や就寝前に指の腹でやさしく円を描くようにマッサージすると、血行促進だけでなく、リラックス効果も期待できます。


研究では、頭皮マッサージを続けることで髪の太さに改善傾向が見られたとの報告もあります。ただし、すべての人に当てはまるわけではなく、マッサージはあくまで補助的なケアとして考えましょう。ただし、治療が必要なFAGAでは、医療による評価が前提であり、マッサージはあくまで補助的なケアと考えてください。

3.髪によい栄養を無理なく摂取する

60代になると、人によっては食欲の低下や咀嚼のしにくさから、栄養が偏りがちになることもあります。髪の主成分であるたんぱく質の摂取を意識し、鉄分や亜鉛も不足しないよう心がけるとよいでしょう。


たとえば、赤身魚や大豆製品、ナッツ類は取り入れやすい食材。無理に多く食べる必要はなく、日々の食事に少しずつ取り入れることがポイントです。


研究では、鉄や必須アミノ酸のL-リジンが髪の健康維持に関与する可能性が報告されています。ただし個人差があり、改善効果が必ず得られるわけではありません。

4.生活リズムを整え不眠や体調変化をケアする

60代になると、更年期後のホルモン変化や体力の低下から、不眠や自律神経の乱れを感じる方も増えてきます。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、体全体の修復力を下げるため、髪や頭皮の健康にも影響する可能性があります。


ある研究では、就寝前の腹式呼吸やリラクゼーションによって入眠までの時間が短縮し、睡眠の質が改善したと報告されました[8]。方法は、次のとおりです。


  • 就寝前に静かな環境で行う

  • 呼吸に意識を集中する

  • 息をゆっくり吸って、ゆっくり吐くことを意識する


良質な睡眠は髪の修復をサポートするため、無理のない範囲で取り入れてみましょう。

5.持病や服薬の影響をチェックする

60代に多い持病や治療薬は、髪の成長に影響を及ぼすことがあります。たとえば、降圧薬の一部は血流を変化させ、糖尿病は血管や神経にダメージを与えることで毛根への栄養供給を妨げることがあります。


また、甲状腺ホルモンの異常は、抜け毛や髪質の変化として現れやすい代表的な要因です。脱毛患者を対象とした研究でも、甲状腺異常が15.2%、貧血は22.5%の人に認められました[9]。


急な抜け毛や髪質の変化がある場合、主治医に相談しましょう。降圧薬、抗凝固薬、脂質異常症治療薬、抗うつ薬、ビタミンA誘導体など、一部の薬剤で脱毛が報告されることもあります。ただし自己判断で中止するのは危険です。気になる場合は必ず主治医に相談してください。

60代女性の薄毛が気にならないウィッグや小物を取り入れるコツ

髪型の工夫やセルフケアである程度カバーできても、旅行や友人との食事、写真を撮る場面などでは「やっぱり薄毛が気になる…」と感じる方は少なくありません。そんな時に頼れるのが、ウィッグや小物の活用です。

軽量タイプのウィッグで自然にボリュームアップ

最新のウィッグは、従来のかつらというイメージとは違います。軽くて通気性がよく、自然な見た目が特徴です。部分ウィッグを使えば、気になる分け目やトップのボリューム不足をカバーでき、全体用ウィッグなら白髪と薄毛をまとめて解決できます。


軽量で抗菌加工のあるタイプを選ぶと、快適に過ごせるでしょう。旅行や外出時にも安心して使えるので、ファッション感覚で楽しめます。

帽子やスカーフで紫外線対策とおしゃれを両立

髪と頭皮は紫外線の影響を受けやすく、薄毛を進行させる要因になることもあります。帽子やスカーフを取り入れると、日差しを防ぎながら気になる部分を自然にカバー可能です。


たとえば、つばが広い帽子は小顔効果もあり、スカーフは首元や服装と合わせることで華やかな印象になります。ナチュラルな素材や明るい色合いを選ぶと、年齢に合った上品さと若々しさを両立できるでしょう。

薄毛に悩む60代女性からよく寄せられる質問

ここでは、薄毛に悩む60代女性からよく寄せられる質問に対して回答しました。

細く柔らかく少ない髪に似合う髪型を教えてください

髪が細く少ない方は、丸みやレイヤーを取り入れたスタイルがよく似合います。トップに自然な高さを出すショートや、ふんわり感を残したミディアムなら、髪の柔らかさを逆に活かすことが可能です。


分け目を固定せず、ジグザグにとるだけでもボリューム感が出せます。美容師に「ペタンとしやすい」「柔らかすぎてセットが崩れる」と具体的に伝えるとよいでしょう。

ドライヤーが重く感じます。手入れが楽な髪型はありますか?

60代の方の中には、ドライヤーで腕を上げ続ける動作がつらいと感じる方は少なくありません。加齢による筋力低下や、関節の可動域の変化が影響している可能性があります。


乾かす時間を短縮できるショートや、軽めのレイヤースタイルがおすすめです。髪を軽くすき、ドライヤーの風で自然に形が整うようにカットすれば、ブローなしでもきれいにまとまります。

抜け毛が気になります。病院に行くべきですか?

抜け毛が急に増えた場合や地肌が透けてきた場合は、医療機関の受診を検討しましょう。60代女性では、更年期後のホルモン変化だけでなく、甲状腺疾患や貧血、薬の副作用などが原因になることもあります。


自己判断でサプリや市販薬を試すより、血液検査や頭皮の診察で原因を確かめることをおすすめします。早めに受診することで、必要に応じて内服薬や外用薬、専門的な治療を選択でき、進行を抑える可能性も高まるでしょう。

60代女性の薄毛は髪型次第で自然&上品にカバーできる

60代女性の髪は、加齢やホルモン変化によって細くなったり、白髪やボリューム不足が目立ちやすくなったりします。しかし、髪型を工夫することで印象は大きく変わります。


たとえば、トップに自然なボリュームを出す、分け目をぼかす、前髪でやわらかさをプラスするなど、ちょっとした工夫で上品かつ若々しい雰囲気に仕上がります。また、明るめカラーや白髪ぼかしを取り入れると、地肌とのコントラストをやわらげ、薄毛を自然にカバー可能です。


頭皮マッサージや栄養バランスなど、生活習慣の見直しも効果的です。抜け毛が急に増えた場合は、皮膚科などの医療機関に相談しましょう。


無理のないお手入れや美容師との相談、必要に応じて医療を取り入れ、自分らしく前向きに過ごせる髪型を見つけてください。




【参考文献】


[1] 公益社団法人日本皮膚科学会.男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版.(最終閲覧日:2025年9月16日)

https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/AGA_GL2017.pdf


[2] Armatys, M., Kłosowicz, A., & Wojas-Pelc, A. (2020). Age-related graying of the hair — a brief summary of potential mechanisms. Forum Dermatologicum.

https://journals.viamedica.pl/forum_dermatologicum/article/view/FD.a2020.0017/52590


[3] Trüeb, R. M. (2018). Scalp Condition Impacts Hair Growth and Retention via Aging. Dermatology and Therapy, 8(1), 13–29.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30783333/


[4] Shaw, R. B., Katzel, E. B., Koltz, P., Yaremchuk, M., Girotto, J., Kahn, D., & Langstein, H. (2011). Aging of the Facial Skeleton: Aesthetic Implications and Rejuvenation Strategies. Plastic and Reconstructive Surgery, 127(1), 374–383.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20871486/


[5] Williams, R., Pawlus, A., & Thornton, M. (2020). Getting under the skin of hair aging: the impact of the hair follicle environment. Experimental Dermatology, 29(6), 588–597.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32358903/


[6] Koyama, T., Kobayashi, K., Hama, T., Murakami, K., & Ogawa, R. (2016). Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue. Eplasty, 16.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26904154/


[7] Rushton, D. H. (2002). Nutritional factors and hair loss. Clinical and Experimental Dermatology, 27.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12190640/


[8] Lemrasky, M. M., Shamsalinia, A., Nasiri, M., & Hajiahmadi, M. (2019). The Effect of Sleep Hygiene Education on the Quality of Sleep of Elderly Women. Aging Medicine and Healthcare.

https://www.researchgate.net/publication/332116588_The_Effect_of_Sleep_Hygiene_Education_on_the_Quality_of_Sleep_of_Elderly_Women


[9] Sokmen, C. (2020). Telogen Effluvium Tanısı Alan Hastalarda Tiroid Fonksiyon Bozukluklarının ve Vitamin Eksikliğinin.

https://search.trdizin.gov.tr/en/yayin/detay/407443


[10] Alhanshali, L., Buontempo, M., Shapiro, J., & Lo Sicco, K. (2023). Medication-induced hair loss: An update. Journal of the American Academy of Dermatology.

https://www.jaad.org/article/S0190-9622(23)00719-3/fulltext

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