【医師監修】ピルの種類一覧と目的・費用相場を解説|選び方や違いは?

ピルにはさまざまな種類があり、期待できる効果が異なります。自分に合ったピルを服用するには、違いを知っておくことが重要です。この記事では、ピルの種類や選び方、費用相場について解説します。

「ピルの種類ってどんなものがあるの?」

「ピルの種類を変えると副作用も変わるの?」

上記のようにお悩みの方もいるでしょう。

ピルにはさまざまな種類があり、配合される女性ホルモンの種類や量によって効果に違いがあります。

医師と相談のうえで自分に合ったピルを服用するには、それぞれの特徴について正しく知っておくことが大切です。

本記事では、ピルの種類と服用する目的、それぞれの違いについて解説します。選び方や費用相場についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

<この記事で解決できるお悩み>

  • ピルの種類と効果
  • 目的別ピルの選び方
  • ピルの費用相場
  • ピルの種類を変えるタイミング

ピルの種類は大きく分けて3つ|効果と目的について解説

ピルの種類は、1錠に含まれるエストロゲンの量や服用目的によって、大きく3つに分けられます。

ピルの種類 主な効果・目的
低用量ピル 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP) 月経困難症・子宮内膜症
低用量経口避妊薬(OC) 避妊
中用量ピル 生理日の移動・月経困難症・過多月経など
アフターピル 性行為後の緊急避妊

低用量ピルと中用量ピル、アフターピルの使用目的や効果についてそれぞれ解説します。

低用量ピル

低用量ピルは、配合されているエストロゲン(卵胞ホルモン)が50μg未満のピルです。

使用目的によって「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬」と「低用量経口避妊薬」の2つに分けられます。

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は、月経困難症と子宮内膜症の治療目的として、保険適用で処方されるピルです。

低用量ピルの中でもエストロゲンが20~30μg程度と少なく、超低用量ピルとも呼ばれます。

治療を目的として服用するものであり、避妊効果は認められていません。

低用量経口避妊薬(OC)

低用量経口避妊薬(OC)とは、避妊目的で処方されるピルです。

保険適用のピルと同様に、月経困難症や過多月経の改善効果も期待できます。

服用する日数を短縮したり伸ばしたりすると、生理日をずらすことも可能です。

中用量ピル

中用量ピルは、1錠に50μgのエストロゲンが含まれるピルです。

旅行や結婚式、スポーツの試合など、生理日を調整したい場合に使用されます。

そのほか、月経困難症や子宮出血などの治療目的でも処方されます。

エストロゲンの量が低用量ピルよりも多く、吐き気や嘔吐などの副作用は生じやすいです。

アフターピル

アフターピルは、妊娠を希望していない人が避妊せずに性行為を行った際に、緊急的に服用するピルです。

具体的には、以下のような状況が挙げられます。

  • コンドームが破れた
  • コンドームをつけていなかった
  • 低用量ピル(経口避妊薬)を飲み忘れた

アフターピルの避妊率は80~90%程度とされており、服用すると確実に避妊できるわけではありません。

緊急時に備えて持っておくのではなく、必要な場合のみに医療機関で処方されます。

目的別ピルの選び方

ここからは、ピルの選び方を目的別に解説します。

「受診する前に、選択肢を知っておきたい」「今飲んでいるピルから変更できるのか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

避妊したいなら低用量経口避妊薬

避妊目的の場合は保険適用外となり、低用量経口避妊薬(OC)が処方されます。

現在日本で処方されている主なピルは、以下のとおりです。

  • マーベロン
  • アンジュ
  • シンフェーズT
  • マーベロン
  • ファボワール(マーベロンのジェネリック)
  • トリキュラー
  • ラベルフィーユ(トリキュラーのジェネリック)

生理日の調節にも使いたい方は、シート内の錠剤がすべて同じマーベロン、副作用を少なくしたい場合は、配合量が段階的に変わるアンジュやトリキュラーなどが勧められます。

ニキビを改善したいならマーベロンやファボワール

避妊に加え、ニキビを改善したい場合はマーベロンや、ファボワールをおすすめします。

マーベロンとファボワールには、デソゲストレルという黄体ホルモンが含まれるピルです。

デソゲストレルは、ほかの黄体ホルモンと比較して男性ホルモンの作用が弱く、ニキビや多毛を改善する効果が期待できます。

海外で行われた調査によると、マーベロンと同じ配合のピルを9クール服用したところ、服用者の90%の人のニキビが改善したと報告されています。

月経困難症やPMSを改善したいならヤーズやヤーズフレックス

生理前後の腹痛や頭痛がある方に勧められるのは、超低用量ピルのヤーズやヤーズフレックスです。

ヤーズとヤーズフレックスは、生理痛だけでなく、生理前の不安や抑うつなどを抑える可能性があります。

月経前症候群(PMS)のみであれば保険適用になりませんが、PMSに加えて月経困難症と診断されれば、低用量ピルを保険適用で服用可能です。

排卵を抑制する成分が少ないため、避妊する際はコンドームを使用しましょう。

低用量ピルの種類と服用方法

低用量ピルは、1日1錠を毎日決まった時間帯に服用する薬です。

基本的に21日間服用し、7日間休薬します。

服用を習慣づけるために、女性ホルモンが配合されていない偽薬(プラセボ薬)がシートに含まれているタイプもあります。

ヤーズやヤーズフレックスのように休薬期間が4日間の場合もあるため、服用方法については医師に確認しましょう。

低用量ピルは、世代と相性(そうせい)の2つの分類方法があります。

ここからは、具体的なピルの種類や特徴について解説します。

世代による分類

低用量ピルは1960年代に初めて開発されてから、副作用のリスクや効果を考慮して改良が重ねられてきました。

古い順から、第一世代から第四世代までに分類されます。

世代 黄体ホルモンの種類 ピルの種類
第一世代 ノルエチステロン ルナベル・フリウェル・シンフェーズT
第二世代 レボノルゲストレル アンジュ・ラベルフィーユ・トリキュラー・ジェミーナ
第三世代 デソゲストレル マーベロン・ファボワール
第四世代 ドロスピレノン ヤーズ・ヤーズフレックス

低用量ピルに含まれる卵胞ホルモンは、すべて同じ成分です。

第二世代のピルは、不正出血が少なく、第三世代のピルは男性ホルモン作用が低い特徴があります。

どの種類のピルが望ましいかは、使用目的や体質によって異なるため、医師とよく相談することが大切です。

相性(そうせい)による分類

低用量ピルは、配合の仕方によって1相性と3相性に分類されます。

女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)は、月経周期によって分泌量が変動します。

3相性のピルは、体内の分泌量に合わせて、ホルモンの配合量を3段階にしたものです。


特徴 保険適用のピル 保険適用外(避妊目的)のピル
1相性 21錠すべて同じホルモン量が配合されている ・ルナベル ・フリウェル ・ヤーズ ・ヤーズフレックス ・ジェミーナ ・マーベロン ・ファボワール
3相性 ホルモン量が3段階に分かれている - アンジュ ・トリキュラー ・シンフェーズT ・ラベルフィーユ

月経困難症や子宮内膜症など、保険適用で処方されるピルは1相性のみです。

避妊目的で処方されるピルは1相性と3相性がありますが、避妊効果に差はないとされています。

3相性ピルのメリットは、自然な女性ホルモンの分泌量に合わせて配合しており、副作用が少なくなることが期待できる点です。

一方で、1相性のピルはすべて同じ錠剤であるため、休薬する日を早めたり遅らせたり、生理日を移動させやすいメリットがあります。

中用量ピルの種類は1つ

中用量ピルの種類は、プラノバール配合錠のみです。

種類は1つのみですが、目的によって服用方法が異なります。

  • 生理日を早めたい場合:生理が始まって3~5日目から10日間以上服用する
  • 生理日を遅らせたい場合:生理が始まる5~7日前から遅らせたい時期まで服用する
  • 子宮出血の治療:7~10日間服用する
  • 過多月経の治療:生理が始まって5日目より3週間ほど服用する

症状に合わせて服用開始のタイミングや服用日数を調整する必要があるため、医師の指示をしっかり聞くことが大切です。

アフターピルの種類3つ

緊急避妊薬として使用されているピルの種類は、ノルレボ・レボノルゲストレル・プラノバールの3つあります。

レボノルゲストレルは、ノルレボのジェネリック(後発品)です。

ピルの名前 服用方法
ノルレボ 72時間以内に1錠服用する
レボノルゲストレル
プラノバール 性行為後72時間以内に2錠、さらに12時間後に2錠服用する(ヤッペ法)

ヤッペ法は、1970年代に発表されて以降、一般的に行われていた緊急避妊法です。

ノルレボやレボノルゲストレルは、ヤッペ法よりも避妊効果が高く、副作用も起こりにくいとされています。

そのため、現在国内で承認されている緊急避妊薬は、ノルレボとレボノルゲストレルのみです。

プラノバールは、ほかの避妊方法ができなかった場合のみ検討されます。

保険適用できるピルの種類と費用目安

ピルは、月経困難症や子宮内膜症、子宮出血などの治療目的の場合、保険が適用されます。

以下に、保険適用となるピルの種類や費用の目安をまとめました。

ピルの種類 製品名 費用の目安 使用目的
低用量ピル ルナベル 1,500円~2,700円程度 月経困難症・子宮内膜症
フリウェル 1,000円~1,800円程度
ヤーズ 1,700円~3,000円程度
ヤーズフレックス 2,500円~3,000円程度
ジェミーナ 2,000円~3,500円程度
中用量ピル プラノバール 1,300円~2,000円程度 子宮出血・月経困難症など

具体的な費用は、初診と再診のどちらか、どの薬局で薬を受け取るかなど、状況によって異なります。

避妊や生理日の移動など、治療以外の目的で服用する場合は保険が適用されず、自由診療となります。

種類別|ピルの費用相場

ここでは、保険適用外で処方される低用量ピル・中用量ピル・アフターピルの費用相場について説明します。

低用量ピル 

低用量ピルのうち、自由診療で処方される製品の費用相場は、以下のとおりです。

ピルの種類 費用相場(1シート28日分あたり)
シンフェーズT 2,200円~2,500円程度
アンジュ 2,200円程度
トリキュラー 2,200円~2,500円程度
ラベルフィーユ 2,000円~2,700円程度
マーベロン 2,000円~3,000円程度
ファボワール 2,000円~2,700円程度

初診の場合や、オンライン診療で送料がかかる場合などは、費用が高くなりやすいです。

副作用に問題なく安定して飲み続ける場合は、まとめて処方してもらうと金銭的な負担を抑えられるでしょう。

中用量ピル

中用量ピルの種類はプラノバールのみです。

生理日の調整でプラノバールを服用する場合は、保険適用外となります。

プラノバールの費用相場は、1シート(21錠分)で3,000円~4,000円程度です。

アフターピル

アフターピルの費用相場は、以下のとおりです。

ピルの種類 費用相場(1回あたり)
ノルレボ 8,000円~12,000円程度
レボノルゲストレル 7,000円~9,000円程度

アフターピルは、必要時に1錠のみ処方してもらう薬です。

もし服用後2時間以内に吐いてしまった場合は、再度受診して処方してもらう必要があります。

オンライン診療でもピルが購入できます。

<おすすめポイント>

  • チャットやビデオ電話で診察からピルの受け取りまでが完結
  • 低用量ピル・中用量ピル・アフターピルの処方可能

DMMオンラインクリニックは、オンラインでピルの処方が受けられるサービスです。

チャットやビデオ通話で医師の診察を受け、処方されたピルは自宅で受け取れます。

低用量ピル・中用量ピル・アフターピルの取り扱いがあるため、PMSの緩和や生理日の移動、緊急避妊などさまざまな悩みに対応できます。性感染症にかかっていないか不安な場合は、検査キットの購入も可能です。

オンラインなら、近所で評判のよい病院を探したり、診療時間に合わせて仕事の休みをとったりする必要もありません。

スマホから手軽に診察が受けられるので、ぜひ利用してみてください。

ピルを正しく活用して快適な暮らしを手に入れよう

ピルにはさまざまな種類があり、配合される女性ホルモンの種類や量が異なります。

正しく効果を得るには、避妊や月経困難症、生理日の調整など目的に応じて選ぶ必要があります。

特に低用量ピルは、ニキビに効果があるものや保険適用で服用できるものなど、種類が豊富です。

自分にあったピルを選べば、生理や避妊の悩みを解消できるでしょう。

現在は、病院へ行かなくてもオンラインでピルの処方が受けられます。チャットやビデオ通話で気軽に相談でき、服用中のピルの種類変更も可能です。

ピルの服用を考えている方は、ぜひ利用してみてください。

ピルの種類に関するよくある質問

ここからは、ピルの種類に関するよくある質問に回答します。

ピルの種類を変えると副作用も変わる?

ピルの副作用には、吐き気や頭痛、乳房の張りなどの症状や、血栓症のリスクがあります。

低用量ピルは、製品によって女性ホルモンの種類や配合量が異なるため、ピルを変更すると副作用の表れ方が変わる可能性が高いです。

ピルの種類を変更すると副作用が改善するケースもあるため、症状が強い場合は医師に相談しましょう。

ピルの種類を変更するタイミングは?

低用量ピルの種類変更は、1シート飲み終わって次のシートにうつるタイミングで行います。

副作用が強い場合は、服用中のピルを中断することも可能です。

ただし、吐き気や頭痛、胸の張りなどの症状は、3ヶ月程度服用すると落ち着くケースが多いとされています。

変更する理由や副作用症状などの状況を踏まえて変更時期を考える必要があるため、医師に相談しましょう。

医療機関によって、処方されるピルの種類は異なる?

処方してもらえるピルの種類は、医療機関によって異なります。

自由診療のピルのみ、1種類のみなど、取り扱っているピルが限られている場合もあります。

アフターピルは、性行為時より72時間以内に服用しなければならないため、処方がうけられるかどうか事前に確認しておくと安心です。

【参考文献】

・日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」

http://www.jsognh.jp/common/files/society/guide_line.pdf

・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023」

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf

・日本産婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)」

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf

・鎌田泰彦,平松祐司.低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン.岡山医学会雑誌,2008,119,p.315-317

https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/3/119_3_315/_pdf

・D Mango 1, S Ricci, P Manna, G A Miggiano, G B Serra.Clinical and hormonal effects of ethinylestradiol combined with gestodene and desogestrel in young women with acne vulgaris.1996,53(3),p.163-170

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8689881

・菅 睦雄.低用量経口避妊薬 : 進化して来たピル, 37年の歩み.ファルマシア,1997,33(10)p.1113-1115

https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/33/10/33_KJ00001722037/_pdf/-char/ja

フリウェル配合錠LD「あすか」フリウェル配合錠ULD「あすか」

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470007_2482009F1066_1_05

ルナベル配合錠LD・ルナベル配合錠ULD

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/620095_2482009F1031_2_18

ヤーズ配合錠

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/630004_2482011F1020_1_14

ヤーズフレックス配合錠

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/630004_2482011F2027_1_10

マーベロン21 マーベロン28

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/181615_254910CF1025_3_02

ファボワール錠21・ファボワール錠28

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670109_254910CF1033_1_17

アンジュ21錠・アンジュ28錠

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470007_254910BF3058_1_08

トリキュラー錠21・トリキュラー錠28

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/630004_254910BF1047_2_15

シンフェーズT28錠

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/200022_254910AF1042_3_11

ラベルフィーユ21錠・ラベルフィーユ28錠

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670109_254910BF1055_1_11

ジェミーナ配合錠https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/620095_2482012F1025_1_12

プラノバール配合錠

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470007_2482005F1041_3_11

ノルレボ錠1.5mg

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470007_254900AF2024_1_06

レボノルゲストレル錠1.5mg

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670109_254900AF2032_1_06

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