タミフルの予防投与とは?自費でいくらかかるのか費用と対象者を解説

家族がインフルエンザにかかったとき、自分にうつる前に何か手を打てないかと考える人は多いはずです。その選択肢のひとつが、タミフルの予防投与です。


ただし、インフルエンザの治療で処方される場合と違い、予防を目的とした場合は健康保険が使えません。全額が自己負担となるため、費用がいくらかかるのかは事前に知っておきたいところです。


対象となる人にも決まりがあり、希望すれば誰でも受けられるわけではありません。始めるタイミングにも条件があります。


ここでは、タミフルの予防投与がどのようなものか、保険適用にならない理由、自費でいくらかかるのか、対象になる人、飲み方、期待できる効果と限界、副作用までを整理します。



※注意事項

  • この記事は執筆時点で公開されている情報にもとづく一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療方針を示すものではありません。

  • タミフルの予防投与を受けられるかどうか、また適した薬剤や用量は、年齢や体重、持病、腎機能などによって変わります。医師の診察を受けたうえで判断してください。自己判断で家族の薬を分けて飲むことは避けてください。

  • タミフルの予防投与は、健康保険が適用されない自費での診療となります。料金は医療機関がそれぞれ設定しており、地域や薬剤の種類によって異なります。

  • 予防を目的とした使用で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。この点も含めて医師の説明を受けたうえで判断してください。料金や取り扱いの有無は変動します。最新の情報は受診する医療機関で確認してください。

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タミフルの予防投与とは

タミフルの予防投与とは、インフルエンザにかかった人と接触した人が、発症を防ぐ目的で薬を服用することです。すでに発症した人が症状を抑えるために飲む場合とは、目的も飲み方も異なります。


治療目的の服用との違い

インフルエンザを発症した人が治療のために飲む場合、成人では1回75mgを1日2回、5日間服用します。これに対して予防投与では、1回75mgを1日1回、7日から10日間服用します。


1回あたりの量は同じでも、飲む回数と期間が異なります。予防目的では、より長い期間にわたって毎日服用を続ける形になります。

治療目的と予防目的ではタミフルの服用方法が異なるため、家族に処方された薬を分けて服用してはいけません。予防投与を希望する場合は、医療機関に相談し、医師の判断のもとで処方を受けてください。


インフルエンザ予防にタミフルが使われる場面

タミフルの予防投与が検討されるのは、同居している家族や共同生活をしている人がインフルエンザを発症した場合です。同じ空間で過ごしているため、感染する可能性が高いと考えられる状況にあたります。


ワクチンを接種していても感染することはあるため、接触の程度によっては予防投与が検討されることがあります。ただし、誰にでも行われるわけではなく、対象となる条件が定められています。


予防効果は服用している期間だけ続く

タミフルの予防効果が期待できるのは、基本的に服用している期間です。


服用を終えた後まで予防効果が続くわけではありません。また、インフルエンザワクチンのように、免疫をつけて長期間の予防効果を期待するものでもありません。


そのため、予防投与を受けたからといって、インフルエンザの流行期間を通して予防できるわけではありません。

タミフルの予防投与が保険適用にならない理由

予防は病気の治療にあたらない

健康保険は、病気やけがの治療に対して給付されるしくみです。まだ発症していない状態で行う予防は、病気とみなされない場合にあたるため、給付の対象になりません。


これは予防接種が保険適用にならないのと同じ考え方です。インフルエンザの予防投与も、発症前に行うものである以上、同じ扱いになります。


したがって、診察料も薬剤費もすべて自己負担となります。


発症が確認された場合は保険診療に切り替わる

受診した時点ですでに発熱などの症状があり、検査でインフルエンザと診断された場合は、治療にあたるため保険診療となります。


予防のつもりで受診したところ、実は発症していたというケースもあります。この場合は治療として処方を受けることになり、飲み方も予防投与とは異なります。


症状が出ているかどうかで扱いが変わるため、体調に変化がある場合は必ず医師に伝えてください。


健康被害が生じた場合の救済制度の扱い

医薬品を適正に使用したにもかかわらず健康被害が生じた場合に備えて、医薬品副作用被害救済制度が設けられています。


ただし、この制度は法令で定められた効能効果に沿った使用が前提となります。予防を目的とした使用については、対象とならない可能性があります。


費用の負担だけでなく、この点も予防投与を検討するうえで知っておきたいことです。 

タミフルの予防投与にかかる費用

費用の内訳

自費での予防投与では、次の3つが自己負担となります。医療機関で支払う診察料、処方せんにもとづく薬局での薬剤費、そして薬局での調剤にかかる技術料です。


医療機関によっては、診察料と薬剤費をまとめた金額を提示している場合もあります。院内で薬を渡す形か、院外の薬局で受け取る形かによっても支払い方が変わります。


自費でいくらかかるのかの目安

医療機関が公表している金額を見ると、診察料と薬剤費を合わせておおむね1万円前後としているところが多く見られます。診察料のみで3000円前後、薬剤費で3000円から7000円程度という内訳を示している例があります。


ただし、これはあくまで一部の医療機関が公表している金額です。自費診療のため料金は各医療機関が独自に設定しており、地域や薬剤によって差があります。受診前に必ず問い合わせて確認してください。


家族で複数人が受ける場合は、人数分の費用がかかります。


ジェネリックを選んだ場合

オセルタミビルには後発医薬品があり、こちらを選ぶと薬剤費を抑えられる場合があります。成分は同じで、用法用量も変わりません。


薬剤ごとの費用の目安は次のとおりです。


内訳

費用の目安

備考

診察料

3000円前後

医療機関が独自に設定

薬剤費(先発品)

5000円から7000円程度

薬局や薬剤により変動

薬剤費(オセルタミビルの後発品)

3000円前後

在庫状況により取り扱いがない場合あり

合計の目安

おおむね1万円前後

家族で受ける場合は人数分


在庫の状況によって取り扱いのない場合もあるため、希望がある場合は受診前に確認しておくとよいでしょう。

タミフルの予防投与の対象になる人

タミフルの予防投与は、希望すれば誰でも受けられるものではありません。 


添付文書が定める対象

添付文書には、予防に用いる場合は原則としてインフルエンザを発症している患者の同居家族または共同生活者である次の人を対象とすると記載されています。


ひとつめは65歳以上の高齢者、ふたつめは慢性呼吸器疾患または慢性心疾患のある人、3つめは糖尿病などの代謝性疾患のある人、4つめは腎機能障害のある人です。


いずれも、インフルエンザにかかった場合に重症化しやすいと考えられる人にあたります。


対象に当てはまらない人が希望する場合

上記に当てはまらない健康な人が予防投与を希望する場合もあります。受験や重要な仕事を控えている、家族の看病をする必要があるといった事情です。


こうした場合の取り扱いは医療機関によって異なります。添付文書の対象外であることを説明したうえで処方する医療機関もあれば、対応していない医療機関もあります。


いずれの場合も自費となり、医師が必要と判断しなければ処方は行われません。


医師が判断する要素

処方の可否は、対象区分だけで決まるわけではありません。年齢や体重、腎機能の状態、服用している薬、過去に薬で問題が起きたことがあるかといった要素をあわせて判断されます。


腎機能が低下している人では、体内の薬の濃度が高くなりやすいため、用量や間隔の調整が必要とされています。1歳未満の乳児については、予防投与の対象とされていません。


同居家族が発症したときの考え方

同じ家に住んでいる人がインフルエンザを発症した場合、家庭内での感染が起こりやすい状況にあります。特に個室が確保できない、幼い子どもがいて看病の距離が近いといった環境では、接触の機会を減らすことが難しくなります。


こうした状況で、対象区分に当てはまる家族がいる場合に予防投与が検討されます。同居している人全員が受けるとは限らず、重症化リスクなどを考慮して対象者が判断されます。


予防投与を行うかどうかにかかわらず、患者の部屋を分ける、共用部分の換気を行う、手洗いを徹底するといった対応はあわせて必要になります。

タミフルの予防投与を始めるタイミング

タミフルの予防投与には、始める時期についての条件があります。


接触後2日以内という条件

添付文書には、インフルエンザの患者に接触した後2日以内に投与を開始することと記載されています。接触後48時間を経過してから開始した場合について、有効性を裏づけるデータは得られていないとされています。


家族が発症したことがわかったら、できるだけ早く受診する必要があります。数日様子を見てから相談するのでは、条件を外れてしまう可能性があります。


48時間を過ぎてしまった場合

接触から48時間以上が経過している場合、予防投与の効果は確認されていません。この場合、医師から予防投与を勧められないことがあります。


すでに感染していて、これから症状が出る段階にある可能性もあります。体調の変化に注意しながら過ごし、症状が出た場合は、改めて医療機関を受診してください。 


すでに症状が出ている場合

発熱やのどの痛みなど、すでに症状が出ている場合は予防ではなく治療の対象となります。この場合は保険診療となり、飲み方も1日2回5日間に変わります。


予防のつもりで受診しても、診察や検査の結果によって扱いが変わることがあります。受診時の体調は正確に伝えてください。


家族内で発症の時期がずれた場合

家庭内で最初の患者が出た後、数日たってから2人目が発症することがあります。この場合、接触後2日以内という条件は、それぞれの接触の時点から数えることになります。


すでに予防投与を飲み終えた後に別の家族が発症した場合、新たな接触として扱われます。再度の予防投与を行うかどうかは、医師の判断になります。


同じシーズンに何度も予防投与を繰り返すことについては、費用の負担も含めて医師と相談してください。

タミフルの予防投与の飲み方

タミフルの予防投与では、治療目的とは異なる飲み方をします。


報告されている効果

臨床試験では、タミフルの予防投与を行った人は、行わなかった人と比べてインフルエンザの発症が少なかったと報告されています。

ただし、発症をゼロにするものではありません。予防投与を受けた人のなかにも、発症する人はいます。


予防投与を受けても発症することがある理由

薬はウイルスの増殖を抑えるはたらきを持ちますが、体内に入ったウイルスを完全になくすものではありません。服用開始の時点ですでに体内でウイルスが増え始めていた場合、発症を抑えきれないことがあります。


また、インフルエンザ患者との接触から時間が経ってから服用を始めると、十分な予防効果が得られない可能性があるため、接触後2日以内に服用を開始することが重要です。


予防効果が十分に得られないとされる要因

タミフルを予防目的で服用しても、インフルエンザを完全に防げるわけではありません。


服用を始めるタイミングが遅かった場合、途中で服用をやめた場合、飲み終えた後に別の機会で感染した場合などは、インフルエンザを発症する可能性があります。


また、飲み終えた後まで予防効果が続くわけではないため、その後にインフルエンザ患者と接触すれば感染する可能性があります。

タミフルの予防投与で起こりうる副作用

予防目的で服用する場合でも、治療目的で使用する場合と同様に副作用が起こる可能性があります。 


主な副作用

報告されている副作用には、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、発疹、頭痛などがあります。消化器の症状が比較的多いとされています。


多くは服用を続けるうちに落ち着くとされていますが、症状が強い場合や続く場合は、処方を受けた医療機関に相談してください。


重大な副作用

頻度は低いものの、アナフィラキシー、肺炎、肝機能障害、重い皮膚症状、意識障害などの重篤な副作用が報告されています。 


服用後に息苦しさ、じんましんの急な広がり、顔や唇の腫れ、強い腹痛、皮膚や白目が黄色くなるといった症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。


異常行動に関する注意

インフルエンザにかかった際、薬の服用の有無にかかわらず、異常な行動が現れることがあると報告されています。これは薬だけが原因とは限らないとされています。


特に小児や未成年者では、発症から少なくとも2日間は一人にせず、保護者が目を離さないようにすることが求められています。窓や玄関の施錠、高層階の場合はベランダに出られないようにするといった対策がすすめられています。


予防投与の場合も、服用中の体調や様子の変化には注意を払ってください。


救済制度の対象外となる可能性

先に触れたとおり、予防を目的とした使用については、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。


治療目的で処方を受けた場合とは扱いが異なる点を理解したうえで判断してください。詳細は処方を受ける医療機関で確認できます。

タミフル以外の薬を予防投与に使う場合

インフルエンザの予防投与には、タミフル以外の抗インフルエンザ薬が使用されることもあります。 


ほかの抗インフルエンザ薬との違い

予防投与に用いられる薬には、内服薬と吸入薬があります。それぞれ服用の回数や期間、費用が異なります。


主な薬剤の特徴は次のとおりです。


薬剤

剤形

予防目的の使い方

対象の目安

タミフル(オセルタミビル)

内服(カプセル・ドライシロップ)

1日1回を7日から10日間

成人と小児。1歳未満は対象外

イナビル(ラニナミビル)

吸入

1回または2日間の吸入

吸入操作ができる人

リレンザ(ザナミビル)

吸入

1日1回を10日間

吸入操作ができる人

ゾフルーザ(バロキサビル)

内服(錠剤)

1回のみの服用

体重により用量が変わる


薬を選ぶときの考え方

どの薬が適しているかは、年齢、体重、腎機能、吸入がうまくできるかどうか、費用の負担といった要素で変わります。


小さな子どもや高齢者では、吸入薬をうまく使えないことがあります。この場合は内服薬が選ばれることが一般的です。


いずれの薬も予防目的では自費となります。取り扱っている薬剤は医療機関によって異なるため、希望がある場合は事前に確認してください。

タミフルの予防投与とインフルエンザワクチンの違い

タミフルの予防投与とインフルエンザワクチンは、どちらもインフルエンザの発症予防を目的としますが、予防の仕組みや効果が期待できる期間などが異なります。


備え方の違い

インフルエンザワクチンは、あらかじめ接種して体に免疫をつくっておくものです。免疫がつくまでにおよそ2週間かかり、その後は数か月にわたって備えが続くとされています。


これに対してタミフルの予防投与は、感染する可能性が生じた後に服用を始めるものです。免疫をつくるわけではなく、服用している期間だけウイルスの増殖を抑えます。


費用と制度の違い

インフルエンザワクチンは、65歳以上の人などが受ける場合は定期接種の対象となり、自治体の助成を受けられることがあります。それ以外の人は任意接種となり自費ですが、健康被害が生じた場合は医薬品副作用被害救済制度の対象となります。


一方、予防投与は全額自己負担であり、予防を目的とした使用については救済制度の対象とならない可能性があります。制度上の位置づけが異なる点を理解しておく必要があります。


ワクチンと予防投与の位置づけ

インフルエンザワクチンは、流行前に接種して発症や重症化を予防するためのものです。一方、タミフルの予防投与は、家族がインフルエンザを発症した場合など、感染する可能性が高い状況で検討されます。


ワクチンを接種していてもインフルエンザを発症することはありますが、タミフルの予防投与がワクチンの代わりになるわけではありません。

タミフルの予防投与に関するよくある質問

家族が処方された薬を分けて飲んでもよいですか

避けてください。治療目的と予防目的では飲み方が異なり、量や期間も違います。また、本人の年齢や体重、腎機能に応じた調整が必要です。必ず本人が受診して処方を受けてください。


予防投与を受ければワクチンは不要ですか

いいえ。タミフルの予防投与は、インフルエンザワクチンの代わりになるものではありません。


タミフルによる予防効果が期待できるのは基本的に服用している期間です。一方、ワクチンは接種後に免疫がつくられることで、一定期間の発症や重症化の予防効果が期待できます。


予防投与の途中でインフルエンザを発症したらどうなりますか

医療機関を受診してください。診断の結果によっては、治療目的の飲み方に切り替わり、保険診療となります。自己判断で量を増やすことは避けてください。


子どもにも予防投与はできますか

年齢と体重に応じた用量で処方できる場合があります。ただし1歳未満は対象とされていません。医療機関によっては小児の予防投与に対応していないこともあるため、事前に確認してください。


妊娠中でも予防投与を受けられますか

医師が必要と判断した場合に検討されることがあります。妊娠中はインフルエンザにかかると重症化しやすいとされているため、産婦人科医と相談したうえで判断してください。


予防投与は市販薬で代用できますか

できません。タミフルなどの抗インフルエンザ薬は医療用医薬品であり、市販薬で代用することはできません。予防投与を希望する場合は、医療機関に相談してください。

タミフルの予防投与を検討するときのまとめ

タミフルの予防投与は、インフルエンザ患者の同居家族や共同生活者などを対象に、発症を予防する目的で行われます。 


判断のポイント

タミフルの予防投与は原則として保険適用外となり、費用は全額自己負担です。また、対象となる人や服用を開始する時期が定められており、希望すれば誰でも受けられるものではありません。


予防投与を希望する場合は、インフルエンザ患者との接触状況や本人の年齢、基礎疾患などを踏まえて、医師に相談しましょう。

参照リンク

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