ラピフォートワイプとは?脇汗への効果・副作用・使い方と薬価をわかりやすく解説

わきの汗が多く、服のシミが気になって着るものが限られる、人前で腕を上げるのがためらわれます。こうした悩みで皮膚科を受診した際に処方される薬のひとつがラピフォートワイプです。


ラピフォートワイプは、シート状の不織布で薬液をわきに塗る、1回使い切りタイプの外用薬です。飲み薬でも塗り薬のチューブでもない独特の形状であるため、はじめて処方されたときに使い方や注意点がわかりにくいと感じる方も少なくありません。


この記事では、ラピフォートワイプの効果と作用の仕組み、変化を感じるまでの期間、正しい使い方、副作用と注意点、エクロックゲルとの違い、薬価と保険適用、そして市販薬の有無と入手方法までを、添付文書などの公開情報をもとに整理してお伝えします。


※注意事項

  • 本記事は、執筆時点で公開されている添付文書などの情報をもとにした一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療や薬剤の使用をすすめるものではありません。診断や治療方針の決定に代わるものではない点をご理解ください。

  • 薬の効果や副作用の現れ方には個人差があります。同じ薬であっても、体質や年齢、持病の有無、併用している薬によって適否は変わるとされています。

  • ラピフォートワイプは処方箋医薬品に指定されている医療用医薬品です。使用の可否については、必ず医師または薬剤師の判断を仰いでください。自己判断での使用や、他の人に処方された薬を使用することは避けてください。

  • この薬が承認されている効能効果は原発性腋窩多汗症のみです。わき以外の部位や、においを主な悩みとする腋臭症を目的とした使用は、承認された効能効果の範囲外にあたります。また、汗が多い状態の背景に甲状腺の病気や感染症、服用中の薬の影響などが隠れている場合もあります。症状がある場合は自己判断せず、医療機関で原因を確かめてください。

  • 添付文書の内容や薬価は改訂されることがあります。最新の情報については、製造販売元の公式情報や医療機関でご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の医療行為·医薬品の使用を推奨するものではありません。治療や服薬に関しては必ず医師にご相談ください。
※オンライン診療では触診や精密検査が行えないため、症状によっては対面受診を勧められる場合があります。
※記載の料金·診療時間·処方薬の取り扱い等は2026年8月時点の情報です。最新情報はクリニックの公式サイトをご確認ください。

ラピフォートワイプとは?効果・効能と特徴

ラピフォートワイプは、マルホが製造販売する原発性腋窩多汗症治療剤です。2022年1月に承認され、同年4月から薬価収載されている、比較的新しい部類の薬にあたります。


有効成分はグリコピロニウムトシル酸塩水和物で、抗コリン薬と呼ばれるグループに属します。もともと米国で開発された製剤をもとに、日本向けに処方を一部変更したものです。


効能・効果は原発性腋窩多汗症

ラピフォートワイプの承認された効能・効果は、原発性腋窩多汗症です。 


腋窩とはわきの下を指します。原発性とは、明らかな原因となる病気が特定できない状態を意味しており、他の病気や薬の影響によって汗が増えている場合は含まれません。


つまりこの薬は、わきの下の汗が多い状態に限って承認されているということです。手のひらや足の裏、顔、背中といった他の部位の多汗には適応がありません。


ラピフォートワイプの有効成分と製剤の特徴

ラピフォートワイプ1包には薬液2.5gが含まれており、その中に有効成分としてグリコピロニウムトシル酸塩水和物が62.5mg配合されています。この薬液を不織布に含ませた状態でアルミパウチに封入されており、1包が1回分です。


チューブから出して指で塗る形式ではなく、シートで拭き取るように塗る形式であるため、指に薬液が付着しにくいのが特徴です 。ただし、まったく付かないわけではないため、使用後の手洗いは欠かせません。


包装は1包が28包単位でまとめられており、1日1回の使用で4週間分にあたります。


ワキガとの違い

わきの悩みとして、汗の量が多いことと、においが強いことは混同されがちですが、医学的には別のものとして扱われます。


多汗症は汗の量が過剰である状態を指し、腋臭症はアポクリン汗腺から出る汗が皮膚の常在菌によって分解されることで生じるにおいの問題を指します。


ラピフォートワイプが承認されているのは、あくまで原発性腋窩多汗症です。においそのものを対象とした薬ではありません。ただし、汗の量が減ることで結果的ににおいが気になりにくくなると感じる方もいます。においが主な悩みである場合は、その旨を医師に伝えたうえで、適した対応を相談してください。

ラピフォートワイプの効果と作用の仕組み

ラピフォートワイプの作用機序

汗が出る仕組みには、アセチルコリンという神経伝達物質が関わっています。交感神経の末端から放出されたアセチルコリンが、汗腺の細胞にあるムスカリンM3受容体という受け皿に結合することで、発汗の指令が伝わります。


この薬の有効成分であるグリコピロニウムは、汗腺細胞のムスカリンM3受容体に結合し、アセチルコリンの作用を阻害します。その結果、発汗が抑えられるという仕組みです。


なお、ムスカリン受容体は汗腺だけでなく、目や消化管、膀胱などにも存在しています。塗った成分の一部が体内に移行することで、目や排尿に関する変化が現れることがあるのは、このためです。


臨床試験で報告されている結果

国内では、多汗症の重症度を評価する指標であるHDSSが3または4で、左右のわきそれぞれで5分間の発汗重量が50mg以上ある9歳以上の原発性腋窩多汗症の患者333例を対象に、試験が実施されています。対象者の年齢は14歳から71歳でした。


ラピフォートワイプ、または有効成分を含まない比較用の薬を1日1回、就寝前に4週間塗布したところ、HDSSが2段階以上改善し、かつ両わきの平均発汗重量が50パーセント以上改善した方の割合は、この薬の群で41.1パーセント、比較用の薬の群で16.4パーセントでした。その差はおよそ24.7パーセントと報告されています。


この試験での副作用の発現頻度は15.5パーセントで、主なものは散瞳が3.6パーセント、排尿困難が3.0パーセント、羞明が2.4パーセントでした。


長期使用時のデータ

長期に使用した場合の試験も実施されています。HDSSが2以上で、左右のわきそれぞれで5分間の発汗重量が30mg以上ある患者183例を対象に、1日1回を最大52週間続けた試験です。


52週の時点で、HDSSが2段階以上改善した方の割合は64.3パーセント、両わきの平均発汗重量が50パーセント以上改善した方の割合は85.3パーセントと報告されています。この試験での副作用の発現頻度は20.8パーセントでした。


これらは特定の条件下で実施された試験の数値であり、すべての方に同じ結果が得られることを示すものではありません。


ラピフォートワイプの効果が出るまでの時間と使い続ける期間

塗布した後、血液中の成分の濃度が最も高くなるまでの時間は、およそ2.55時間と報告されています。ただしこれは体内に移行した成分の動きを示す数値であり、わきの汗が抑えられるまでの時間を直接示すものではありません。


実際の使用感については個人差が大きく、数日で変化を感じる方もいれば、しばらく続けてから実感する方もいます。国内の臨床試験が4週間の使用を前提に評価されている点からも、短期間で判断せず、まずは処方された期間を続けてみることが基本になります。


長期投与試験では最大52週にわたる使用が検討されており、続けることを前提とした薬であることがうかがえます。一方で、使用をやめれば汗を抑える働きも失われるため、症状そのものが治るという性質のものではありません。


続けても変化が感じられない場合や、副作用がつらい場合は、自己判断で回数を増やしたり中断したりせず、処方元に相談してください。多汗症の治療には他の選択肢もあるため、状況に応じて見直されることがあります。

ラピフォートワイプの処方が検討されるケース・使用できない人

処方が検討される主なケース

わきの下の汗の多さで日常生活に支障が出ており、原発性腋窩多汗症と診断された方が対象です。


1日1回、シートで拭くだけという手軽さから、塗り薬を指で広げる作業に抵抗がある方や、外出前の準備に時間をかけたくない方にとって使いやすい剤形といえます。


使用できない人〈禁忌〉

ラピフォートワイプは、次に該当する方には投与しないこととされています。


ひとつ目は、閉塞隅角緑内障の方です。抗コリン作用によって眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあるとされています。


ふたつ目は、前立腺肥大による排尿障害のある方です。抗コリン作用によって排尿時の膀胱の収縮が抑えられ、症状が悪化するおそれがあります。


3つ目は、この薬の成分に対して過去にアレルギー症状を起こしたことがある方です。


緑内障については、禁忌とされているのが閉塞隅角のタイプである点に注意が必要です。ご自身の緑内障がどちらのタイプなのかを把握していない方も少なくありません。緑内障で治療を受けている、あるいは指摘されたことがある場合は、必ずその旨を処方する医師に伝えてください。


注意が必要な人


排尿障害はないものの前立腺肥大症がある方は、抗コリン作用によって尿閉を招くおそれがあるとされています。

塗る部位に傷や湿疹、皮膚炎などがある場合は、その部位への使用を避けることとされています。皮膚のバリア機能が低下していると成分が体内に移行する量が増え、抗コリン作用による副作用が現れやすくなる可能性があるためです。除毛や脱毛の直後で皮膚が荒れている場合も、使用のタイミングについて医師や薬剤師に確認してください。


妊娠中の方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。


何歳から使えるか


9歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していないと記載されています。国内の臨床試験は9歳以上を対象として行われており、実際に参加した方の年齢は14歳から71歳でした。


年齢だけで一律に判断されるものではなく、症状の程度や本人の理解度も含めて医師が判断します。お子さんの汗の悩みで受診を検討している場合は、皮膚科で相談してください。

ラピフォートワイプの使い方

基本の使い方


1日1回、1包に封入されている不織布1枚を用いて、薬液を両方のわきに塗ります。


使用の手順としては、まず使う直前にアルミパウチを開封します。あらかじめ開けて置いておくと、薬液が揮発するおそれがあります。


次に、不織布を取り出し、片方のわきに塗ります。その同じ不織布で、もう一方のわきにも塗ります。左右それぞれに1回ずつ塗る形です。1包で両わき分となるため、片側ごとに1包ずつ使うものではありません。


塗る前のわきは、清潔で乾いた状態にしておきます。入浴後であれば、水分をしっかり拭き取ってから使用してください。


使うタイミング


使用する時間帯に決まりはありません。臨床試験では、就寝前または起床後に使用する方法が採用されていました。 


入浴後で皮膚が清潔な状態であること、塗った後に汗をかきにくい時間帯であることから、就寝前を選ぶ方が多いようです。ただし生活リズムによって続けやすい時間は異なるため、処方の際に医師や薬剤師と相談して決めてください。大切なのは毎日同じタイミングで続けることです。


使用後の手洗いと目に入ったときの対応


この薬でとくに重要なのが、使用後の手洗いです。


薬を扱った後は、その手で目に触れず、直ちに手をよく洗うことと添付文書に明記されています。手に付着した成分がそのまま目に入ると、抗コリン作用によって瞳孔が広がったり、まぶしく感じたり、ものがかすんで見えたりすることがあります。


万一、薬液が目に入った場合は、直ちに水で洗い流してください。刺激を感じることもあるため、目に入らないよう十分に注意する必要があります。症状が続く場合は医療機関を受診してください。


コンタクトレンズを使用している方は、装着前に必ず手を洗ってください。


やってはいけないこと


密封法は行わないこととされています。塗った後にラップなどで覆う使い方は避けてください。成分が過剰に吸収されるおそれがあります。


また、この薬は1回使い切りです。使用後の不織布は、患者本人や他の人が触れない場所に廃棄してください。とくに小さなお子さんがいる家庭では、ごみ箱の管理に配慮が必要です。


わき以外の部位に使うことも避けてください。承認されている効能効果は原発性腋窩多汗症であり、手のひらや足の裏、顔などへの使用は範囲外にあたります。塗る面積が広がれば体内に移行する成分も増えるため、副作用の面でも懸念があります。


保管方法


子どもの手の届かない場所に保管することとされています。アルミパウチのままの状態で保管し、使う直前に開封してください。


ラピフォートワイプの副作用と注意点

重大な副作用の項目は設けられていませんが、その他の副作用として複数の症状が挙げられています。抗コリン作用に由来するものが中心です。


目に関する副作用


1パーセント以上の頻度で、羞明、散瞳、霧視、ドライアイが報告されています。羞明とはまぶしく感じる状態、散瞳は瞳孔が広がった状態、霧視はものがかすんで見える状態を指します。1パーセント未満では視力低下も挙げられています。


臨床試験でも散瞳が3.6パーセント、羞明が2.4パーセントと、主な副作用として報告されていました。


こうした目の調節障害が現れることがあるため、自動車の運転や危険をともなう機械の操作に従事する際には注意するよう説明することとされています。使い始めの時期はとくに、見え方に変化がないか意識しておいてください。


多くの場合、手に付いた成分が目に触れることが関係していると考えられており、使用後の手洗いを徹底することが基本的な対策になります。


排尿に関する副作用


1パーセント以上の頻度で、排尿困難と頻尿が報告されています。1パーセント未満では、尿量減少、排尿回数減少、膀胱炎が挙げられています。臨床試験では排尿困難が3.0パーセントと報告されていました。


尿が出にくい、残っている感じがするといった変化に気づいた場合は、処方を受けた医療機関に相談してください。 とくに男性で前立腺肥大症の指摘を受けたことがある方は、注意しておく必要があります。


塗布部位の皮膚症状


1パーセント以上の頻度で接触皮膚炎と湿疹が、1パーセント未満で皮膚炎、紅斑、色素沈着、皮脂欠乏性湿疹が報告されています。かゆみについては頻度不明として記載されています。


わきは皮膚が薄く、こすれや蒸れも起こりやすい部位です。赤みやかゆみが出た場合は、使用を続ける前に医師に相談してください。保湿のケアを併用するかどうかも含めて判断されます。


そのほかの副作用


1パーセント以上の頻度で口渇が報告されています。1パーセント未満では、悪心、口唇乾燥、代償性発汗、鼻乾燥、ALT増加、めまい、血圧上昇、倦怠感、鉄欠乏性貧血、皮膚乾燥などが挙げられています。頻度不明として無汗症とほてりも記載されています。


代償性発汗とは、汗を抑えた部位以外で汗が増えたように感じる状態を指します。気になる場合は医師に伝えてください。


熱中症への注意


見落とされがちですが重要な注意点として、体温の上昇があります。


汗は体温を下げる役割を担っています。発汗が抑えられることで、暑い環境では体温が上昇するおそれがあります。 


気温の高い時期や、運動をする場面では意識しておく必要があります。めまい、頭痛、吐き気、体のだるさといった熱中症を疑う症状が出た場合は、涼しい場所に移動して体を冷やし、水分と塩分を補給してください。症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。

ラピフォートワイプは市販で買える?入手方法

市販薬はない


ラピフォートワイプと同じ有効成分を含む一般用医薬品、いわゆる市販薬は販売されていません。
また、この薬は処方箋医薬品に指定されており、医師の処方箋なしに薬局で購入することはできません。


ドラッグストアで販売されている制汗剤は、化粧品や医薬部外品にあたるものが中心で、汗腺の受容体に働きかけるこの薬とは仕組みが異なります。市販の制汗剤と併用してよいかどうかは、皮膚への刺激の観点も含めて医師や薬剤師に確認してください。


個人輸入・通販のリスク


インターネット上には、海外から医薬品を取り寄せる個人輸入代行を名乗るサイトが存在します。しかし、こうした経路での入手には無視できないリスクがあります。


まず、届いた製品が本物である保証がありません。有効成分が入っていない、量が表示と異なる、不純物が混入しているといった偽造医薬品の問題が国内外で報告されています。


さらに、健康被害が生じた場合の補償の問題があります。医薬品副作用被害救済制度は、国内で適正に使用された医薬品による健康被害を対象としており、個人輸入した医薬品は対象外です。


そして、医師の診察を経ないということは、緑内障の分類や前立腺の状態など、専門的な医学的診断を要する禁忌項目の確認がなされないリスクを伴います。汗が多い背景に別の病気が隠れていないかを確かめる機会も失われます。


医療機関・オンライン診療での処方


処方を希望する場合は、皮膚科を受診するのが基本です。


近年はオンライン診療に対応する医療機関も増えています。ただしこの薬については、原発性腋窩多汗症の確定診断が前提となっており、他の病気による発汗の増加を除外する必要があります。初診では対面での受診をすすめられることがあり、継続して同じ薬を処方してもらう段階でオンラインを活用するという使い方が現実的です。


急に汗が増えた、体重の変化や動悸をともなう、全身に汗をかくといった場合は、別の病気が背景にある可能性があります。まずは医療機関で相談してください。


ラピフォートワイプとエクロックゲルの違い


原発性腋窩多汗症に用いられる外用薬には、エクロックゲルもあります。両者は同じ効能効果を持ち、いずれも抗コリン作用によって発汗を抑える薬ですが、いくつかの違いがあります。


有効成分が異なります。ラピフォートワイプの有効成分がグリコピロニウムトシル酸塩水和物であるのに対し、エクロックゲルの有効成分はソフピロニウム臭化物です。-


使い方も異なります。ラピフォートワイプは、薬液を含んだシートでわきを拭くように使用する1回使い切りの薬です。一方、エクロックゲルはゲル状の薬で、専用のアプリケーターを使ってわきに塗ります。


用法はどちらも1日1回、わきに塗る点で共通しています。禁忌についても、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大による排尿障害、成分への過敏症という3項目で共通しています。


小児に関する記載には差があり、ラピフォートワイプでは9歳未満、エクロックゲルでは12歳未満を対象とした国内臨床試験は実施されていないとされています。


薬価の単位も異なります。ラピフォートワイプは1包あたりで設定されているのに対し、エクロックゲルは1gあたりで設定されています。実際に負担する金額は処方量によって変わるため、単純な比較はできません。


どちらが適しているかは、使用感の好み、皮膚の状態、年齢、生活スタイルなどによって変わります。両者を自己判断で併用することはせず、医師と相談して決めてください。


ラピフォートワイプの薬価と保険適用

ラピフォートワイプ2.5パーセントの薬価は1包あたり242.3円と示されています。薬価は改定によって変動するため、実際の金額は処方時に確認してください。


窓口で支払う金額は、加入している保険の自己負担割合や、処方される包数、診察料や調剤料によって変わります。1包が1日分にあたるため、4週間分であれば28包が目安になります。


ラピフォートワイプは、原発性腋窩多汗症と診断された場合に保険診療で使用できます。治療を開始する際には、症状の程度を示すHDSSという指標を確認し、その結果を診療報酬明細書に記載することが求められています。 


HDSSは多汗症の重症度を評価する指標で、日常生活への支障の程度を段階的に判定するものです。診察の際に、汗によってどのような場面で困っているかを具体的に伝えられるようにしておくと、評価がスムーズになります。


なお、この薬は、安全性に十分配慮して使用することが承認時の条件とされています。 

ラピフォートワイプに関するよくある質問

1包で両方のわきに使うのですか。


1包に封入されている不織布1枚を用いて、左右のわきに1回ずつ塗ります。片側ごとに1包を使うものではありません。


使うのをやめたらどうなりますか。


この薬は汗腺の受容体に働きかけて発汗を抑えるもので、多汗症そのものを治すものではありません。使用をやめれば汗を抑える働きも失われます。中止を検討する場合は、自己判断ではなく医師に相談してください。


手汗や足の裏の汗に使えますか。


承認されている効能効果は原発性腋窩多汗症であり、わきの下に限られています。他の部位への使用は範囲外です。手のひらや足の裏の多汗については別の治療法があるため、医師に相談してください。


効かないと感じるときはどうすればよいですか。


臨床試験は4週間の使用を前提に評価されているため、数日で判断するのは早いといえます。一定期間続けても変化が感じられない場合は、自己判断で回数を増やさず処方元に相談してください。他の選択肢が検討されることがあります。


市販の制汗剤と一緒に使ってもよいですか。


皮膚への刺激が重なる可能性があるため、自己判断での併用は避けたほうがよいでしょう。使いたい製品がある場合は、医師や薬剤師に確認してください。


目がまぶしく感じるのですが薬のせいでしょうか。


羞明や散瞳、霧視は1パーセント以上の頻度で報告されている副作用です。使用後の手洗いが不十分だと起こりやすくなります。症状が続く場合は使用を中止して医師に相談してください。運転や危険をともなう作業は控えてください。


妊娠中や授乳中でも使えますか。


妊娠中の方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。授乳中についても、母乳栄養の利点と治療上の必要性を考慮して判断されます。いずれの場合も必ず医師に相談してください。

ラピフォートワイプの効果と副作用に関するまとめ

ラピフォートワイプは、汗腺のムスカリンM3受容体に働きかけて発汗を抑える、1回使い切りタイプの外用薬です。承認されている効能効果は原発性腋窩多汗症のみで、わき以外の部位やにおいを対象とした薬ではありません。


国内の臨床試験では、4週間の使用でHDSSが2段階以上改善し、かつ発汗重量が50パーセント以上改善した方の割合が41.1パーセントと報告されており、有効成分を含まない比較用の薬との差が示されています。長期投与試験では52週の時点でも一定の改善が維持されていました。


使い方の要点は、使用直前に開封すること、1包の不織布で左右のわきに1回ずつ塗ること、清潔で乾いた状態のわきに使うこと、そして使用後は直ちに手をよく洗うことです。手に残った成分が目に触れると、まぶしさやかすみといった変化が起こることがあります。


副作用としては、羞明や散瞳などの目に関するもの、排尿困難や頻尿といった排尿に関するもの、塗った部位の皮膚症状、口渇などが報告されています。また、発汗を抑える薬である以上、暑い環境では体温が上がるおそれがある点にも注意が必要です。


閉塞隅角緑内障の方、前立腺肥大による排尿障害のある方は使用できません。処方箋医薬品であり同成分の市販薬も存在しないため、必ず医療機関で診察を受けたうえで使用してください。汗の悩みは相談しにくいものですが、治療の選択肢は複数あります。ひとりで抱え込まず、皮膚科で相談することをおすすめします。

参照リンク

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