スリンダとは?ミニピルの避妊効果・不正出血・副作用と価格を解説
低用量ピルが体質に合わなかった、血栓のリスクが気になって踏み出せなかった。そうした理由で避妊法の選択に悩んできた方にとって、新しい選択肢として登場したのがスリンダ錠28です。
スリンダ錠28は、黄体ホルモンのみを含むミニピルと呼ばれるタイプの経口避妊薬で、日本で初めて承認されたミニピルにあたります。これまで国内でミニピルを使うには医師の個人輸入によるしかありませんでしたが、国内承認によって状況が変わりました。
一方で、飲み始めた方の多くが不正出血を経験することや、保険が使えないことなど、事前に知っておきたい特徴もあります。この記事では、スリンダの避妊効果と仕組み、飲み方と飲み忘れへの対応、不正出血や生理の変化、副作用と注意点、価格と処方の受け方、そして他のピルとの違いまでを、添付文書などの公開情報をもとに整理してお伝えします。
※注意事項
本記事は、執筆時点で公開されている添付文書などの情報をもとにした一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療や薬剤の使用をすすめるものではありません。診断や治療方針の決定に代わるものではない点をご理解ください。
効果や副作用の現れ方には個人差があります。体質や年齢、持病の有無、併用している薬によって適否は変わるとされています。
スリンダ錠28は処方箋医薬品に指定されている医療用医薬品です。服用の可否については、必ず医師の診察を受けて判断を仰いでください。自己判断での服用や、他の人に処方された薬を使用することは避けてください。
承認されている効能効果は避妊のみです。月経困難症や月経前症候群の治療を目的とした使用は、承認された効能効果の範囲外にあたります。また、この薬は保険給付の対象になっておらず、費用は全額自己負担となります。
経口避妊剤は、HIV感染症や梅毒、性器ヘルペス、淋病、クラミジア感染症などの性感染症を防ぐものではありません。感染の予防にはコンドームの使用が有効とされています。
添付文書の内容や価格は改訂されることがあります。最新の情報については、製造販売元の公式情報や医療機関でご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の医療行為·医薬品の使用を推奨するものではありません。治療や服薬に関しては必ず医師にご相談ください。
※オンライン診療では触診や精密検査が行えないため、症状によっては対面受診を勧められる場合があります。
※記載の料金·診療時間·処方薬の取り扱い等は2026年8月時点の情報です。最新情報はクリニックの公式サイトをご確認ください。
スリンダとは?日本初のミニピルとしての特徴
スリンダ錠28は、あすか製薬が製造販売する経口避妊剤です。2025年5月に承認され、同年6月から国内で使われるようになりました。
これまで日本で承認されていた経口避妊薬は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを組み合わせた配合剤が中心でした。黄体ホルモンのみを含むタイプが国内で承認されたのは、この製品が初めてです。
スリンダ錠28の有効成分はドロスピレノン
スリンダ錠28に含まれている有効成分は、ドロスピレノンという黄体ホルモンです。白色の錠剤1錠に、有効成分が4mg含まれています。
ドロスピレノンは、スピロノラクトンという薬から派生した構造を持つ成分です。黄体ホルモンとしての作用に加えて、抗ミネラルコルチコイド作用と、弱い抗アンドロゲン作用を併せ持つとされています。
抗ミネラルコルチコイド作用は体内の水分やミネラルのバランスに関わるもので、この薬に特有の注意点にもつながっています。抗アンドロゲン作用は男性ホルモンの働きを抑える方向のもので、にきびとの関係で語られることがあります。
なお、ドロスピレノンは国内で承認されている一部の低用量ピルや超低用量ピルにも含まれていますが、そちらは卵胞ホルモンと組み合わせた配合剤です。同じ成分名でも、組み合わせと含有量が違えば別の薬として扱われます。
ミニピルと低用量ピルの違い
一般的な低用量ピルや超低用量ピルは、卵胞ホルモンであるエチニルエストラジオールと、黄体ホルモンの2種類を含む配合剤です。
これに対してミニピルは黄体ホルモンのみを含み、卵胞ホルモンを含みません。国際的にはプロゲストーゲン・オンリー・ピル、略してPOPと呼ばれるグループにあたります。
卵胞ホルモンは血栓症のリスクに関わるとされており、喫煙者や年齢が上がった方、片頭痛の一部のタイプがある方などでは、低用量ピルの使用が慎重に判断されます。卵胞ホルモンを含まないミニピルは、こうした事情で低用量ピルを選びにくい方にとっての選択肢として位置づけられています。
一方で、不正出血が起こりやすいこと、服用時刻の管理がより重要であることなど、低用量ピルとは異なる特徴もあります。
28錠の構成と国内での承認状況
スリンダ錠28の1シートは28錠で構成されています。このうち白色の錠剤が有効成分を含む実薬で、淡黄色の錠剤は有効成分を含まない、いわゆるプラセボにあたります。白色錠24錠と淡黄色錠4錠という構成です。
低用量ピルにも同様に有効成分を含まない錠剤が組み込まれたタイプがありますが、その期間の長さが異なります。実薬の期間が長く設定されている点が、この薬の特徴のひとつです。
飲み方は、白色錠から始めて指定された順番どおりに28日間続け、29日目から次のシートに移ります。休薬期間を設けずにシートを続けていく形になります。
国内では2025年5月19日に承認されました。承認にあたっては、医薬品リスク管理計画を策定したうえで適切に実施することが条件とされています。
スリンダの避妊効果と作用の仕組み
3つの働きで避妊効果を発揮する
スリンダ錠28の添付文書によれば、ドロスピレノンは主に3つの働きによって避妊効果を発揮するとされています。
1つ目が排卵の抑制です。国内の第I/II相試験では、繰り返し服用した期間中に、排卵の有無を判定する基準値を超えた方が認められず、排卵を抑える働きが示唆されたと報告されています。
ミニピルの中には排卵を抑える力が限定的なタイプもありますが、この薬は排卵抑制作用を持つ点が特徴として挙げられます。
2つ目が子宮内膜を薄くする働きです。海外の第III相試験では、13周期にわたって服用した結果、子宮内膜の厚さが減少したと報告されています。
3つ目が子宮頸管粘液への作用です。子宮の入り口から分泌される粘液の粘り気が増すことで、精子が子宮の中へ進みにくくなるとされています。海外の第II相試験でも、粘液の粘度が高まったことが報告されています。
臨床試験で報告されている避妊効果
スリンダについて、国内では、避妊を希望する女性276例を対象とした第III相試験が実施されています。
13周期までの期間において、3319周期のうち妊娠が確認されたのは1例でした。この結果から算出されたパール指数は0.3917と報告されています。パール指数は避妊法の失敗率を示す指標で、数値が小さいほど妊娠が起こりにくいことを意味します。
なお、スリンダ錠28の添付文書には、経口避妊剤全般について、使用開始1年間の飲み忘れを含めた一般的な使用における失敗率は7パーセントとの報告があると記載されています。正しく飲み続けた場合の数値と、実際の使用における数値には差があるということです。この差の多くは飲み忘れによるものと考えられています。
避妊効果が期待できるのはいつからか
スリンダ錠28の添付文書では、経口避妊剤を初めて服用する場合、月経の第1日目から服用を開始することとされています。
服用開始日が月経の第1日目より遅れた場合には、飲み始めの最初の1週間は他の避妊法を併用する必要があります。
薬物動態の面では、繰り返し服用した場合に血液中の濃度が一定の水準に達するのは6日目とされています。飲み始めのタイミングによって扱いが変わるため、開始日については必ず医師の指示を受けてください。
スリンダの飲み方
白色錠から順番に28日間続ける
1日1錠を毎日一定の時刻に、白色錠から開始して、指定された順番に従って28日間続けて飲みます。この28日間で1周期となり、29日目から次の周期の錠剤に移ります。
シートに記載された順番を守ることが前提です。白色錠と淡黄色錠では役割が異なるため、飲む順序が入れ替わると想定した働きが得られなくなります。
スリンダを飲み始めるタイミング
初めて経口避妊剤を使う場合は、月経の第1日目から始めます。それより遅れて始める場合は、最初の1週間は別の避妊法を併用してください。
出産後や流産後の開始時期については、状況によって考え方が変わります。自己判断せず医師の指示に従ってください。
スリンダを毎日一定の時刻に飲む理由
スリンダ錠28の添付文書では、毎日一定の時刻に服用することが明記されています。
ミニピルは低用量ピルと比べて服用時刻の管理がより重要とされています。含まれるホルモンの種類が1つで、体内での濃度が下がると働きが弱まりやすいためです。
飲む時間を決める際は、生活リズムの中で忘れにくい時間帯を選んでください。スマートフォンのアラームを設定する、歯磨きなど毎日必ず行う習慣と結びつけるといった工夫が役立ちます。
なお食事の影響については、食後に飲んだ場合と空腹時に飲んだ場合で吸収に大きな差はなかったと報告されています。食前でも食後でも差し支えないとされていますが、時刻を一定に保つことのほうが重要です。
スリンダを飲み忘れたときの対応
スリンダ錠28の添付文書には、飲み忘れた場合の対応が具体的に示されています。淡黄色錠を除く錠剤について、次のとおりです。
翌日までに気づいた場合は、直ちに飲み忘れた錠剤を服用し、その日の分も通常どおり服用します。
2日連続して飲み忘れた場合は、気づいた時点で直ちに飲み忘れた錠剤を1錠服用し、その日の分も通常どおり服用します。
3日以上連続して飲み忘れた場合は服用を中止し、次の月経を待ってから再開することとされています。
そして重要な点として、2日以上連続して飲み忘れた場合は妊娠する可能性が高くなるため、その周期は他の避妊法を使用する必要があります。
判断に迷う場合は、自己流で対応せず処方を受けた医療機関に連絡してください。
下痢や嘔吐が続いたとき
スリンダの服用中に激しい下痢や嘔吐が続いた場合、成分が十分に吸収されない可能性があります。この場合は妊娠する可能性が高くなるため、その周期は他の避妊法を併用することとされています。
体調を崩した際に服用のタイミングが重なった場合は、そのままにせず医療機関に相談してください。
他のピルから切り替える場合
他の経口避妊剤からスリンダへと切り替える場合は、切り替え前に飲んでいた薬の1周期分のうち、有効成分を含む錠剤をすべて飲み終えた翌日から開始します。開始が遅れると妊娠する可能性があります。
子宮内避妊器具や子宮内避妊システムから切り替える場合は、除去した当日に開始することとされています。
スリンダで不正出血が起こる理由といつまで続くのか
スリンダを検討している方、あるいは飲み始めた方が最も多く不安を抱くのが不正出血です。この薬においては、あらかじめ知っておくべき特徴といえます。
臨床試験では約9割に報告されている
スリンダ錠28の添付文書に記載されている副作用の頻度を見ると、不正性器出血は89.9パーセントとされています。国内第III相試験でも、月経中間期出血が89.49パーセントで最も多い副作用として報告されました。
つまり、飲み始めた方のおよそ9割が何らかの出血を経験しているということです。想定外の異常ではなく、この薬の性質として起こりうるものという理解が出発点になります。
なお同試験では、副作用そのものの発現頻度が95.65パーセントと報告されています。この数値の大部分を出血に関するものが占めています。
なぜ起こるのか
ミニピルは卵胞ホルモンを含まず、黄体ホルモンのみで作用します。卵胞ホルモンには子宮内膜を安定させる働きがあるとされており、それがない状態では内膜が薄く不安定になりやすく、少量の出血が起こりやすくなると考えられています。
この薬には子宮内膜を薄くする働きがあるため、その作用の裏側として出血が起こりやすいという関係にあります。
副作用はいつまで続くのか
飲み始めてしばらくの間に多く、続けるうちに落ち着いていくことが多いとされています。ただし期間には大きな個人差があります。
国内試験では、13周期を終えて継続投与期に移った方においても月経中間期出血が94.23パーセントと報告されており、長く続く方が一定数いることがうかがえます。
一方で、量が明らかに増えてきた、他の症状をともなうといった場合には、薬の影響だけではない可能性も考える必要があります。
受診の目安
スリンダ錠28の添付文書には、服用中に不正性器出血が発現して長期間持続する場合は、悪性疾患によるものではないことを確認したうえで投与することと明記されています。長引く出血を薬のせいと決めつけないことが重要です。
出血の量が生理より多い場合、ナプキンが短時間でいっぱいになる場合、強いだるさや立ちくらみ、動悸といった貧血を疑う症状をともなう場合、腹痛や発熱をともなう場合は、医療機関で相談してください。
なお添付文書では、投与開始前および投与中に1年に1回以上、子宮や卵巣を中心とした骨盤内臓器の検査を行うこと、1年に1回の子宮頸部の細胞診の実施を考慮することが求められています。定期的な検診は、ピルを続けるうえでの前提と考えてください。
スリンダ服用中の生理はどうなるのか
消退出血が来なくなることがある
低用量ピルでは、有効成分を含まない錠剤の期間に消退出血が起こるという周期が形成されます。スリンダの場合、実薬の期間が長く設定されているため、同じような規則的な出血が起こるとは限りません。
スリンダ錠28の添付文書では、月経異常として過少月経や不規則な月経が14.9パーセント、無月経が1から5パーセント未満の頻度で報告されています。
続けるうちに月経が来なくなる方がいるということです。これは薬の性質から起こりうる変化とされていますが、次に述べる点には注意が必要です。
2周期連続で来ない場合は妊娠検査が必要
スリンダ錠28の添付文書には重要な指示があります。服用中に消退出血が2周期連続して起こらなかった場合、投与を続ける前に免疫学的妊娠診断によって妊娠していないことを確認することとされています。
生理が来ないことと、妊娠していないことは同じではありません。とくに飲み忘れがあった場合や、激しい下痢や嘔吐が続いた時期があった場合は、妊娠の可能性を確かめる必要があります。
2周期続けて出血がないときは、自己判断で続けず医療機関に相談してください。
生理をずらす目的で使えるか
スリンダの承認されている効能効果は避妊のみです。特定の日程に合わせて月経の時期を調整することを目的とした薬ではありません。
そもそもこの薬は規則的な消退出血を前提とした設計になっていないため、日程の調整には向きません。旅行やイベントに合わせて月経を移動させたい場合は、その目的に適した方法が別にあります。婦人科で相談してください。
スリンダの処方が検討されるケース・服用できない人
スリンダの処方が検討される主なケース
卵胞ホルモンを含まないという特徴から、低用量ピルを選びにくい事情がある方にとっての選択肢として位置づけられています。
具体的には、喫煙している方、年齢が上がって血栓のリスクが気になる方、卵胞ホルモンによる吐き気や頭痛が強く出た経験がある方などが挙げられます。
ただし、これらに該当すれば必ず使えるというものではありません。個々の状態を踏まえた医師の判断が必要です。
服用できない人〈禁忌〉
スリンダ錠28は、次に該当する方には使用できません。
・この薬の成分に対して過敏症の既往がある方
再び過敏症を起こすおそれがあります。
・乳がんや生殖器のがんがある方、またはその疑いがある方
腫瘍が悪化したり、症状が明らかになったりするおそれがあります。
・原因が明らかになっていない異常性器出血のある方
性器がんなどが原因となっている可能性があるためです。
・重篤な腎障害または急性腎障害のある方
抗ミネラルコルチコイド作用により、血液中のカリウム値が上昇するおそれがあります。
・重篤な肝障害のある方
薬の代謝が十分に行われず、体内の薬の濃度が高くなるおそれがあります。
・妊娠している方、または妊娠している可能性のある方
妊娠が確認された場合は、服用を中止する必要があります。
スリンダに注意が必要な人
禁忌には該当しないものの、慎重な判断が求められる方もいます。
骨の成長が終わっていない可能性がある方では、血液中のエストラジオール濃度が低下し、骨密度の減少をもたらすおそれがあるとされています。年齢が若い方では、この点を含めて判断されます。
乳がんの既往がある方は、再発のおそれがあるとされています。うつ病やうつ状態の方、その既往がある方では、症状が悪化するおそれがあります。
活動性の静脈血栓塞栓症がある方については、そちらの治療を優先することとされています。
重篤でない腎障害や肝障害がある方も、それぞれカリウム値の上昇や肝臓への負担の観点から注意が必要とされています。
授乳中の方については、治療上の有益性と母乳栄養を考慮したうえで、授乳を続けるか中止するかを検討することとされています。ヒトの母乳中へ移行するとの報告があるためです。授乳中は必ず医師に相談してください。
スリンダの副作用と注意点
報告されている主な副作用
スリンダ錠28に重大な副作用の項目は設けられていませんが、その他の副作用として複数の症状が挙げられています。
5パーセント以上の頻度で報告されているのは、不正性器出血89.9パーセント、月経異常14.9パーセント、下腹部痛13.4パーセント、頭痛16.3パーセント、腹痛12.3パーセント、悪心、下痢、乳房不快感、ざ瘡です。
1から5パーセント未満では、無月経、卵巣嚢胞、乳頭痛、傾眠、いらいら感、不安感、めまい、片頭痛、上腹部痛、嘔吐、発疹、そう痒症、背部痛、倦怠感、浮腫、体重増加などが挙げられています。
1パーセント未満では、抑うつ、便秘、消化不良、腹部膨満、口内炎、紅斑、皮膚乾燥、関節痛、貧血、肝機能検査値異常などが報告されています。頻度不明として、性欲の減退、高カリウム血症、ほてりが記載されています。
日常生活に支障が出る症状が続く場合は、我慢せず医療機関に相談してください。
スリンダで太る・体重が増えるのか
体重増加は、1から5パーセント未満の頻度で報告されている副作用のひとつです。同じ区分に浮腫も挙げられています。
ただし、服用した人すべてに体重増加がみられるわけではなく、報告されている頻度も高くありません。
体重は食事や運動、睡眠、ストレスなど多くの要因で変わります。服用開始と同時に生活習慣も変化していることが多いため、薬だけが原因と判断するのは難しい面があります。気になる変化があれば、記録をつけたうえで医師に相談してください。
ニキビ・肌荒れについて
ざ瘡、いわゆるにきびは5パーセント以上の頻度で報告されている副作用です。発疹やそう痒症も1から5パーセント未満で挙げられています。
一方で、有効成分であるドロスピレノンには弱い抗アンドロゲン作用があるとされています。男性ホルモンの働きを抑える方向の性質であるため、肌の状態が落ち着いたと感じる方もいます。
肌の状態が大きく崩れて改善しない場合は、皮膚科での治療と並行するかどうかも含めて相談してみてください。
血栓症のリスクについて
卵胞ホルモンを含まないことから、低用量ピルと比べて血栓症のリスクが低いとされる点が、ミニピルが選ばれる理由のひとつになっています。
ただし、リスクがまったくないという意味ではありません。活動性の静脈血栓塞栓症がある方については治療を優先することとされています。長時間の移動や脱水、手術後など、血栓ができやすい状況は誰にでも起こりえます。
ふくらはぎの痛みやむくみ、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、視野の異常、手足のしびれといった症状が現れた場合は、ただちに医療機関を受診してください。
高カリウム血症に注意が必要な理由
スリンダに特有の注意点として押さえておきたいのが、血液中のカリウム値です。
有効成分であるドロスピレノンには抗ミネラルコルチコイド作用があり、体内のカリウムの排泄に影響します。そのため、カリウム値が上昇するおそれがあるとされています。重篤な腎障害や急性腎障害が禁忌とされているのも、この理由によるものです。
副作用の項でも、頻度不明として高カリウム血症が記載されています。腎機能が低下している方や、もともとカリウム値が高い方はリスク因子とされています。
腎臓の病気で治療を受けている方、カリウムに影響する薬を飲んでいる方は、必ずその旨を医師に伝えてください。
併用に注意する薬
スリンダ錠28には併用禁忌の設定はありませんが、併用注意として多くの薬剤が挙げられています。
まず、この薬の効果を弱める可能性があるものです。リファンピシン、バルビツール酸系製剤、ヒダントイン系製剤、カルバマゼピン、ボセンタン、モダフィニル、トピラマート、ネビラピンなどが該当します。避妊効果の減弱と不正性器出血の増加につながるおそれがあります。
サプリメントにも注意が必要です。セイヨウオトギリソウ、いわゆるセント・ジョーンズ・ワートを含む食品も、同じ理由で併用注意に挙げられています。
逆に血中濃度を上昇させる可能性があるものとして、フルコナゾール、ボリコナゾール、HIVプロテアーゼ阻害剤などが挙げられています。
そして、カリウム値に関わる薬との併用です。ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カリウム保持性利尿剤、カリウム製剤、ヘパリン、アルドステロン拮抗剤、インドメタシンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤、シクロスポリンが該当します。高カリウム血症を誘発することがあるため、血清カリウム値を観察するなど十分な注意が必要とされています。
服用中の薬やサプリメントがある場合は、必ず医師に伝えてください。他の医療機関を受診する際にも、この薬を服用していることを申告してください。
スリンダの価格と保険適用
保険給付の対象外である
スリンダ錠28の費用について、最も重要な点を押さえておく必要があります。
保険給付上の注意には、本剤は保険給付の対象とならないと明記されています。薬価基準に収載されていないためです。
つまり、避妊を目的とした処方において健康保険は使えず、費用は全額自己負担となります。この点は、月経困難症などの治療目的で保険が適用されることがある一部の低用量ピルとは異なります。
費用の目安と確認方法
保険が使えないため、価格は医療機関ごとに設定されます。1シートあたりの金額は受診する医療機関によって幅があり、診察料や配送料が別途かかる場合もあります。
複数シートをまとめて処方する場合に1シートあたりの単価が下がる設定にしている医療機関もあります。継続して使うことを前提とするなら、総額でどのくらいになるかを事前に確認しておくとよいでしょう。
金額は変動するため、実際の費用は受診を検討している医療機関の公式情報で直接ご確認ください。
個人輸入のリスク
スリンダの費用を抑えたいという理由から、個人輸入代行サイトを利用しようと考える方がいます。しかし、この経路には無視できないリスクがあります。
厚生労働省も、個人輸入した医薬品には品質、有効性、安全性が確認されていないという保健衛生上の危険性があるとして注意を呼びかけています。偽造医薬品の問題も繰り返し指摘されており、有効成分が入っていない、含有量が異なるといった事例が報告されています。
避妊を目的とする薬で有効成分が入っていなければ、望まない妊娠につながる可能性があります。
さらに、健康被害が生じた場合の補償の問題があります。医薬品副作用被害救済制度は国内で適正に使用された医薬品による健康被害を対象としており、個人輸入したものは対象外です。
万が一の体調変化や健康被害への安全網(副作用救済制度等)を確保し、専門医の管理のもとで安全に治療を進める観点からも、医療機関を通した正規の処方ルートを選択することが強く推奨されます。
スリンダの処方を受ける方法
婦人科での処方
スリンダの処方を希望する場合は、婦人科または産婦人科を受診するのが基本です。処方箋医薬品であるため、薬局やドラッグストアで購入することはできません。
避妊を目的とする場合は自由診療となるため、費用は全額自己負担です。
オンライン診療という選択肢
近年はオンライン診療でピルを扱う医療機関も増えています。通院の時間を確保しにくい方や、対面での相談に抵抗がある方にとっては選びやすい方法です。
ただし、オンライン診療では、対面で行う診察や検査はできません。 投与にあたって病歴の調査と検診が必要とされており、その検診には乳房や腹部の検査、臨床検査が含まれるとされています。また投与開始前および投与中は、1年に1回以上の骨盤内臓器の検査と、1年に1回の子宮頸部細胞診の実施の考慮が求められています。
オンラインで処方を受ける場合でも、定期的な婦人科検診は別途受けておく必要があるということです。この点を説明せずに処方する医療機関があれば、慎重に判断したほうがよいでしょう。
処方前に行われる検査
スリンダ錠28の添付文書では、投与に際して問診、基礎体温の測定、免疫学的妊娠診断などによって妊娠していないことを十分に確認することが求められています。
また、乳房検診を受けるよう指導することも明記されています。禁忌に乳がんが含まれていることを踏まえたものです。
診察の際には、これまでの病歴、現在服用している薬やサプリメント、喫煙の有無、月経の状況などを正確に伝えてください。とくに腎臓や肝臓の病気、うつ病の既往、血栓症の既往については、必ず申告する必要があります。
スリンダとセラゼッタ・他のピルとの違い
セラゼッタとの違い
セラゼッタは、海外で使われているミニピルで、デソゲストレルという黄体ホルモンを0.075mg含む製品です。有効成分がスリンダとは異なります。
シートの構成も違います。スリンダ錠28は白色錠24錠と淡黄色錠4錠という構成であるのに対し、セラゼッタは28錠すべてが有効成分を含みます。
そして最も大きな違いが、国内での承認状況です。セラゼッタは日本国内では未承認であり、国内で使う場合は医師の個人輸入によるか、自身で輸入するかのいずれかになります。未承認医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
スリンダは国内で承認されているため、医療機関で正規に処方を受けられます。ただし保険給付の対象外である点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
低用量ピルとの違い
低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンを組み合わせた配合剤です。多くは有効成分を含まない錠剤の期間があり、その時期に消退出血が起こります。
ミニピルは卵胞ホルモンを含まないため、血栓症のリスクという点では選ばれやすい一方、不正出血が起こりやすいという特徴があります。
また、月経困難症などの治療を目的として保険が適用される製品があるのは低用量ピルの側です。スリンダの効能効果は避妊のみで、保険給付の対象外です。
どちらが適しているかは、年齢、喫煙の有無、持病、月経に関する悩みの内容などによって変わります。自己判断で決めず婦人科で相談してください。
ジエノゲストとの違い
ジエノゲストも黄体ホルモンの一種ですが、これを含む製剤は避妊薬ではありません。子宮内膜症や子宮腺筋症にともなう症状の改善などを目的とした治療薬として承認されています。
黄体ホルモン製剤という点では共通していますが、承認されている効能効果も、期待される役割もまったく異なります。混同しないよう注意してください。
スリンダに関するよくある質問
スリンダは保険が使えますか。
スリンダは保険適用外の薬で、費用は全額自己負担です。
不正出血がずっと続いています。飲むのをやめるべきでしょうか。
不正性器出血は89.9パーセントと非常に高い頻度で報告されている副作用で、この薬の性質として起こりうるものです。ただし長期間持続する場合は、悪性疾患によるものでないことを確認する必要があります。自己判断で中止せず、医療機関で相談してください。
生理が来なくなりましたが問題ないのでしょうか。
無月経や過少月経は報告されている変化のひとつです。ただし消退出血が2周期連続して起こらなかった場合は、服用を続ける前に妊娠していないことを確認してください。心当たりの有無にかかわらず、医療機関に相談してください。
スリンダを飲み忘れたときはどうすればよいですか。
翌日までに気づいた場合は、直ちに飲み忘れた分を飲み、その日の分も通常どおり飲みます。2日連続の場合も同様の対応ですが、その周期は他の避妊法の併用が必要です。3日以上連続した場合は服用を中止し、次の月経を待って再開することとされています。判断に迷う場合は医療機関に連絡してください。
スリンダを飲むと太りますか。
体重増加は1から5パーセント未満の頻度で報告されている副作用です。必ず増えると確立されているわけではありません。体重は食事や運動、睡眠など多くの要因で変わるため、気になる変化があれば記録をつけて医師に相談してください。
月経前症候群や生理痛の改善を目的に使えますか。
承認されている効能効果は避妊のみです。月経困難症や月経前症候群の治療を目的とした使用は範囲外にあたります。これらの症状に対しては保険が適用される選択肢もあるため、婦人科で相談してください。
授乳中でも飲めますか。
ヒトの母乳中へ移行するとの報告があり、治療上の有益性と母乳栄養を考慮したうえで、授乳を続けるか中止するかを検討することとされています。必ず医師に相談してください。
スリンダは喫煙していても使えますか。
卵胞ホルモンを含まないため、低用量ピルを選びにくい方の選択肢として位置づけられています。喫煙している方でも必ず使用できるわけではありません。年齢や持病、服用中の薬などを確認したうえで、医師が使用できるか判断します。
スリンダに関するよくある質問
スリンダ錠28は、ドロスピレノン4mgを含む、日本で初めて承認されたミニピルです。卵胞ホルモンを含まないため、これまで低用量ピルを選びにくかった方にとっての選択肢が広がりました。
排卵の抑制、子宮内膜を薄くする働き、子宮頸管粘液の粘度を高める働きという3つの作用によって避妊効果を発揮するとされ、国内第III相試験ではパール指数0.3917と報告されています。
一方で、知っておくべき特徴が2つあります。1つは不正性器出血が89.9パーセントと非常に高い頻度で報告されていること。もう1つは保険給付の対象外であり、費用が全額自己負担となることです。この2点は、飲み始めてから知るとギャップを感じやすい部分です。
飲み方の要点は、白色錠から順番に、毎日一定の時刻に28日間続けることです。飲み忘れた場合の対応は日数によって異なり、2日以上連続した場合はその周期に他の避妊法の併用が必要になります。消退出血が2周期連続で起こらない場合は、妊娠していないことの確認が求められます。
有効成分が抗ミネラルコルチコイド作用を持つため、カリウム値が上昇する可能性があることにも注意が必要です。 腎臓の病気がある方や、カリウムに影響する薬を飲んでいる方は必ず申告が必要です。
避妊は、続けやすさと安全性の両方が満たされて初めて成り立つものです。価格や手軽さだけで判断せず、婦人科で自分の状態に合った方法を相談することをおすすめします。定期的な検診を受けることも、続けるうえでの前提と考えてください。
参照リンク
-
KEGG MEDICUS 医療用医薬品 スリンダ(スリンダ錠28)
-
日本医薬情報センター 添付文書情報 スリンダ錠28
-
厚生労働省 医薬品等の個人輸入に関するQ&A
-
医薬品医療機器総合機構 医薬品副作用被害救済制度