髪と頭皮に関わるアミノ酸「システイン」とAGAの関係とは

AGAとの関係で注目されるシステイン

近年、男性型脱毛症(AGA)に悩む方の間で「システイン」という成分に注目が集まっています。サプリメントやヘアケア商品の成分表に記載されることも多く、「髪に良いらしい」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、システインとAGAとの関係については、正しい理解が必要です。今回は、システインの基礎知識や髪への働き、AGAとの関わりに加えて、肌の美容との関係についてもわかりやすく解説していきます。


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システインとは何か

システインは、私たちの体を構成するアミノ酸の一つで、特に「含硫アミノ酸」と呼ばれる種類に分類されます。体内でメチオニンから合成できるため必須アミノ酸ではありませんが、髪や爪、皮膚の健康に欠かせない存在です。とくに、システイン同士が『ジスルフィド結合』というつながりを作ることで、髪の強さや形を保つ働きに関わっているとされています *1。

髪の主成分である「ケラチン」というタンパク質は、このシステインを多く含んでいます。システイン同士が「ジスルフィド結合」という強固な結びつきを作ることで、髪のしなやかさや弾力、耐久性に関わるとされています。髪の状態は、食生活や体調によっても変化します。健やかな毛髪を保つためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

また、システインは抗酸化物質であるグルタチオンの構成成分でもあり、体内の酸化ストレスに関わる働きが知られています。酸化ストレスは全身の健康状態に影響する要因の一つとされており、日々の食事や生活習慣など、さまざまな要素とともに頭皮や肌の状態にも関わると考えられています。

毛髪におけるシステインの役割

髪は「毛母細胞」が分裂して作られ、その過程でケラチンが合成されます。このケラチンの材料の一部がシステインです。このシステインが、髪のしなやかさや強度に関わるとされています。

しかし、加齢や食生活の乱れ、強いストレス、喫煙などによって、システインの供給や利用の効率が下がることがあります。こうした変化は体内の栄養バランスや代謝に影響を与え、間接的に髪の状態にも関わってくる可能性があります。特に、ヘアカラーやパーマなどの化学処理を頻繁に行う場合は、髪内部のシステイン結合に影響を与えるため、髪のケアを考える上で注意すべきポイントです。

システインとAGAとの関係

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素によって変換され、強力な男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変わることで発症します。DHTは毛包を徐々に縮小させ、髪の成長サイクルを短くしてしまうため、細く短い毛しか生えなくなっていきます *2*3。

ここで重要なのは、 システインはDHTの生成や作用を直接抑えるわけではないという点です。つまり、システイン単独でAGAの原因を取り除くことはできません。

一部の研究では、システインが毛髪の構造や酸化ストレスに関わる可能性が報告されています。そのため、AGA治療薬(フィナステリドやデュタステリド、外用薬のミノキシジル)による治療と併せて、栄養管理の一環としてシステインを含むサプリメントを利用する人もいます。ただし、これらは治療効果を直接高めることが科学的に確立されているわけではありません。

補足:L-システイン、D-システイン、シスチンの違い

システインには種類や形態の違いがあります。髪の健康やAGAとの関連を理解するうえで、次の違いを押さえておくことは有益です。

L-システイン

自然界や体内に存在する生理活性型のアミノ酸です。たんぱく質の構成成分として利用され、髪や皮膚、爪のケラチン合成に直接関与します。サプリや医薬品に配合される場合も多くはこちらです。

D-システイン

自然界にはほぼ存在せず、人工合成されることが多い異性体です。髪の構造形成との関連はほぼ報告されていません。一部の研究では神経系への作用が注目されていますが、AGAとの関連については、これまでのところ明確な報告はほとんどありません。

シスチン

L-システインが2つ結合してできた化合物です。髪のケラチン内部で強固な「ジスルフィド結合」を形成し、髪の強度や形状を支えます。食品やサプリから摂取した場合は、体内でシステインに変換され、必要に応じて利用されます。

髪や頭皮に関する栄養成分としては、L-システインや、それに変換されて利用されるシスチンがよく取り上げられます。ただし、これらの摂取が髪の健康状態に与える影響は個人差が大きく、効果が科学的に確立されているわけではありません。

システインと肌の健康の関係

システインは、メラニンの生成過程や抗酸化機能をサポートするとされ、髪だけでなく、美容分野でも注目される成分です。システインを含む抗酸化系(例:グルタチオン)は、紫外線や活性酸素による酸化ストレス対策に関する研究で取り上げられています。*4*5
特に注目されるのは以下の働きです。

メラニン生成の抑制サポート

L-システインは、皮膚でのメラニン合成過程に関与し、過剰なメラニン生成を抑える働きがあることが報告されています。

抗酸化作用による肌老化予防

システインが構成成分であるグルタチオンは、紫外線や活性酸素による酸化ストレスから皮膚細胞を守ります。

ターンオーバーの正常化サポート

皮膚の新陳代謝に必要なたんぱく質合成を支え、古い角質がスムーズに剥がれ落ちやすい状態を維持します。

ただし、これらはあくまで肌の健康を維持するための栄養素としての役割であり、医薬品のように即効性や確実な美白効果を保証するものではありません。また、効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。

システインを含む食品と摂取方法

システインは食品から自然に摂取することが可能です。特に含有量が多い食品は以下の通りです。

  • 卵(特に卵白)

  • 鶏肉や豚肉

  • 魚(サケ、マグロなど)

  • 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)

  • 小麦胚芽

  • ブロッコリーや玉ねぎ

バランスの良い食事を心がけることで、サプリメントに頼らずとも必要量を確保できる場合があります。ただし、美容やAGA治療の補助として高濃度で摂取する場合は、医師や薬剤師に相談することが望ましいです。

システインの副作用・リスク・注意点

システインは過剰に摂取すると、肝機能や腎機能への負担、吐き気や下痢といった消化器症状を引き起こすことがあります。また、サプリメントを選ぶ際には、他の成分との相互作用にも注意が必要です。栄養補助はあくまで不足を補う目的で行い、過剰摂取は避けましょう *6。そのため、自己判断で長期大量摂取することは避け、必ず医師・薬剤師の指導のもとで利用するように心がけましょう。

まとめ

システインは髪や肌の健康維持にとって重要な栄養素ですが、AGAの直接的な原因であるDHTには作用するわけではありません。そのため、AGA治療の主軸はあくまで医師の診断に基づく薬物療法であり、システインは補助的な栄養サポートとして位置づけられます。

髪や頭皮、肌を健やかに保つためには、日々の食生活や生活習慣のバランスが大切です。システインを含む食品を取り入れることは栄養管理の一つの方法であり、サプリメントを利用する場合は医師や薬剤師に相談することが望まれます。

*1:Robbins CR. Chemical and Physical Behavior of Human Hair. 5th ed. Springer; 2012. Springer


*2: Kaufman KD. Androgens and alopecia. Am J Clin Dermatol. 2002;3(6):389–406. doi:10.2165/00128071-200203060-00005. PubMed


*3: Nestor MS, et al. Treatment options for androgenetic alopecia: Efficacy, side effects, compliance, financial considerations, and ethics. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(11):S35–S46. PMC


*4:Wu G, Fang YZ, Yang S, Lupton JR, Turner ND. Glutathione metabolism and its implications for health. <em>J Nutr</em>. 2004;134(3):489-492. doi:10.1093/jn/134.3.489. PubMed


*5: Hristov BD, et al. The Role of Glutathione Metabolism in Chronic Illness: A Narrative Review. Int J Mol Sci. 2022;23(21):12372. PMC


*6:Rushton DH. Nutritional factors and hair loss. Clin Exp Dermatol. 2002;27(5):396–404. doi:10.1046/j.1365-2230.2002.01076.x. PubMed

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