女性の薄毛治療薬の種類・効果と副作用|市販薬との違いも徹底解説

「最近、髪のボリュームが減ってきた気がする…」
「地肌が透けて見えるようになった」
女性の薄毛は、加齢やホルモンバランス、生活習慣などが複雑に影響し、放置すると進行してしまうこともあります。原因に合った治療を早めに始めることが、改善への第一歩です。
この記事では、女性の薄毛治療薬の種類と効果、市販薬との違い、注意すべき副作用、オンライン診療の活用法まで詳しく解説します。今日から取り入れられる対策も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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女性の薄毛には市販薬より医師が処方する治療薬がおすすめ

女性の薄毛が気になり始めたとき、まず市販の育毛剤を試す方は少なくありません。しかし、自己判断では原因に合った治療ができず、改善が遅れてしまうこともあります。
医師は症状に合わせて治療薬を処方できる
薄毛治療は、医師の診断を受け、症状に合った治療薬を処方してもらうことが重要です。市販薬と医師が処方する治療薬では、成分の種類や濃度、治療効果に大きな違いがあります。
市販薬は誰でも手に入る反面、使用できる成分が限られています。女性の薄毛においては、選択肢が少ないのが現状です。
一方、医師による診察では、患者の年齢やホルモンバランス、脱毛の進行具合などを総合的に評価し、治療方針を立てられます。たとえば、ミノキシジルやスピロノラクトン、栄養療法などを組み合わせた、多角的な治療が可能です。
※スピロノラクトンについては、日本では薄毛治療としては認められていないため、自由診療での使用となります。
自己判断はせず医師の診断を受けることが重要
女性の薄毛の背景には、加齢や遺伝だけではなく、甲状腺疾患や貧血などの病気が隠れている場合もあります。こうした疾患を見逃すリスクを避けるためにも、まず医師の診断を受けましょう。
また、薄毛治療に使われる薬は、副作用が出る可能性もあります。医師の指導のもと使用することで、副作用への対処や薬の調整がしやすく、安心して治療を続けられます。
薄毛は一人ひとり原因も症状も異なるため、早めに医師に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。
女性の主な薄毛治療薬の種類と特徴

女性の薄毛治療では、症状や体質に応じて、さまざまな治療薬が選択されます。ここでは、代表的な治療薬と特徴について、効果・副作用・使用方法を詳しく解説します。
パントガール
パントガールは、ドイツで開発された女性の薄毛対策用のサプリメントです。女性のびまん性脱毛症に対して、広く使用されています。
効果
パントガールは、髪の成長に必要なL-シスチン、ケラチン、ビタミンB群などの栄養成分をバランスよく含み、毛髪の成長をサポートします。
ある研究では、びまん性脱毛症の女性がパントガールと同等の栄養成分を6か月間服用した結果、毛髪の割合が改善し、視覚的にも明らかに良好だったと報告されました[1]。成長期の毛髪の割合を増やすことで、発毛を促進することが期待されています。
副作用・リスク
重篤な副作用は、ほとんど報告されていません。軽度な副作用としては、以下のような症状が挙げられます。
胃部不快感
頭痛
軽度の下痢など
一過性であることが多く、継続が難しくなるケースはまれとされています。
服用方法
1日3回、毎食後に1錠ずつ服用するのが一般的です。高温に弱い成分が含まれているため、熱いお茶などでの服用は避けましょう。
ミノキシジル内服薬
ミノキシジル内服薬は、もともと高血圧の治療薬として開発されました。血管拡張作用による頭皮の血流改善が、発毛効果につながるとして注目されています。
※ミノキシジル内服薬は、国内では未承認であり、医師の判断によって、自由診療で処方されることがあります。副作用リスクを十分理解したうえで使用する必要がある点に注意ください。
効果
近年の海外研究では、少量の内服で女性型脱毛症に一定の効果があるとの報告が増えています。
2022年の研究では、女性を中心とした脱毛症の患者に低用量(0.25〜1.25mg)のミノキシジル内服薬を投与したところ、副作用も少なく長期にわたる服薬が可能でした。脱毛の改善につながる可能性が示唆されています[2]。
ただし、特定の研究結果であり、すべての患者に当てはまるわけではありません。
副作用・リスク
内服による全身作用があるため、副作用も外用薬に比べて強く現れる傾向があります。おもな副作用は、以下のとおりです。
多毛症
むくみ
動悸や息切れ
胸痛など
日本皮膚科学会のガイドラインでは、女性に対する内服ミノキシジルの使用は、安全性が十分検証されていないとして、推奨度D(行うべきではない)と評価されています[3]。
また、ミノキシジル内服薬は、個人輸入や自由診療で扱われていますが、日本では厚生労働省に未承認の医薬品です。万が一副作用が起きても、国の『医薬品副作用被害救済制度』の対象にはなりません。
服用方法
1日1回、就寝前に服用するケースが一般的です。副作用をできるだけ抑えるため、医師の指導のもと、体調に応じた用量調整が可能です。
ミノキシジル外用薬
ミノキシジル外用薬は、厚生労働省の認可を受けている治療薬です。
効果
ミノキシジルは、血管を広げる作用により頭皮の血流を促進し、毛包を刺激して発毛を促すと考えられています。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、女性型脱毛症に対して、ミノキシジル1%外用薬は推奨度A(強く勧められる)と明記されています。
臨床データでは、ミノキシジル外用薬を塗布したところ、脱毛した部位1cm2あたりの毛髪数が、平均13.18本増加したという報告もありました[3] 。
また、使用初期には「初期脱毛」と呼ばれる一時的な抜け毛が起こることもあります。古い毛が抜けて、新しい毛の成長が始まる過程と考えられており、使用を中断せず継続することが大切です。
副作用・リスク
主な副作用には、以下が挙げられます。
皮膚のかゆみや赤み、落屑(皮膚の剥がれ)
毛包炎、接触性皮膚炎
顔面の多毛(塗布部位以外への付着による)[3]。
副作用が起こった場合でも軽度であることが多く、ほとんどは使用を中止すれば改善します。
使用方法
1日2回、1回1mlを頭皮の気になる部分に直接塗布します。頭皮が清潔な状態で使用するのが望ましいです。
意図しない部位に毛が発毛することがあるため、使用後は手を洗うようにしょう。使用方法や継続については、医師の指示に従ってください。
スピロノラクトン
スピロノラクトンは、もともと高血圧や心不全の治療に使われる利尿薬です。男性ホルモンの働きを弱める抗アンドロゲン作用があり、女性の脱毛症治療にも応用されています。
スピロノラクトンは、日本では薄毛治療薬としては認められておらず、保険も適用されません。
効果
男性ホルモンによる脱毛の進行を抑え、髪の密度や太さを改善する効果が期待できます。2023年の研究では、スピロノラクトン単独投与では43.2%、ミノキシジル内服薬との併用では65.8%の患者が改善したと報告されました[4]。
副作用・リスク
副作用として、以下が挙げられます。
月経不順
頭皮のかゆみ
乳房の張り
高カリウム血症
まれに、利尿作用による電解質の変動で、高カリウム血症を起こすこともあるため、定期的な血液検査によるモニタリングが推奨されています[4]。
また、眠気や低血圧が起こることもあるため、車の運転などには注意しましょう。
服用方法
1日1回、決まった時間に服用するのが一般的です。利尿作用による夜間の排尿トラブルを避けるため、朝食後に服用するとよいでしょう。※スピロノラクトンについては、日本では薄毛治療薬としては認められていないため、自由診療での使用となります。
市販薬と女性の薄毛治療薬は有効成分や作用に違いがある

女性の薄毛対策には、ドラッグストアなどで手に入る市販の育毛剤を使う方法と、医療機関で処方される治療薬を使用する方法があります。
両者は一見似ているようですが、有効成分や作用などに大きな違いがあります。ここでは、成分の違いや効果を比較してみましょう。
市販薬は作用が穏やか
日本で販売されている女性向けの市販育毛剤は「ミノキシジル1%外用薬」が中心です。厚生労働省が第1類医薬品として認可しており、誰でも購入可能です。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」でも、女性型脱毛症(FAGA)に対しては、ミノキシジル1%外用を行うよう強く勧める(推奨度A)と評価されています。
市販されているミノキシジル1%外用薬は、ガイドラインの推奨度と一致しており、初期段階の薄毛治療では、選択肢のひとつです。[3]。
ただし、おもに薄毛の進行抑制や初期段階の発毛サポートが目的であり、作用は比較的穏やかです。使用しやすい反面、薄毛の進行度合いや原因に合っていないと効果を感じにくい場合もあることは理解しておきましょう。
治療薬は有効成分の濃度や種類が異なる
医療機関で処方される治療薬は、市販薬と比べて有効成分の濃度や種類などに違いがあります。たとえば、ミノキシジルの場合、外用薬(1〜5%)は市販されていますが、医療機関ではより高い濃度の外用薬や、国内では未承認の内服薬が使われることもあります。
また、抗アンドロゲン薬のスピロノラクトンや、複数の栄養成分を含むパントガールなどは、医師の診察を経て処方される治療薬です。
医師は、脱毛の原因や進行度、ホルモンバランス、体質や持病の有無などを総合的に評価し、一人ひとりに合った治療方針を提案します。
女性の薄毛治療薬「ミノキシジル内服薬」の副作用・注意点

ミノキシジルは、薄毛治療で広く使用されている代表的な成分のひとつです。ただし、内服薬に関しては、安全性や副作用の面から慎重な対応が求められています。
ここでは、副作用や注意点について、より詳しく見ていきましょう。
内服薬には多毛・むくみ・動悸などの副作用がある
ミノキシジル内服薬は、もともと高血圧の治療薬として開発された薬剤です。内服によって全身に作用するため、外用薬に比べて副作用が現れやすい傾向があります。
多毛症:顔や腕など全身の体毛が濃くなることがある
浮腫(むくみ):とくに、足や手にむくみが出ることがある
胸痛・動悸・息切れ:心臓への影響が出やすいため、もともと心疾患がある方は注意
体重増加:むくみに伴い、体重が増えることがある
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」では、ミノキシジル内服薬について、有効性や危険性が十分に検証されておらず推奨度D(行うべきでない)と評価されています。[3]。
副作用のリスクを十分理解し、医師と相談したうえで慎重に使用を検討することが重要です。
併用に気をつけるべき薬がある
ミノキシジル内服薬は、他の薬と併用すると相互作用が生じる可能性があります。とくに、以下のような薬剤を使用している方は、注意が必要です。
降圧薬(β遮断薬、ACE阻害薬など):血圧が過度に下がるリスクがある
利尿薬:むくみや電解質異常のリスクが増加する可能性がある
心血管系に影響を与える薬剤全般
持病がある方や複数の薬を服用している方は、自己判断で使用せず、必ず医師に相談しましょう。
女性が薄毛治療薬の内服を控えるべきケースとは?

薄毛に悩む女性にとって、治療薬の内服は選択肢のひとつですが、使用を控えるべきケースもあります。
ここでは、内服を慎重に検討すべき場合について見ていきましょう。
薄毛の原因が特定されていない
脱毛の原因が不明確なまま治療を開始するのは、避けた方がよいでしょう。女性の薄毛は、女性型脱毛症(FAGA)だけでなく、甲状腺疾患、鉄欠乏性貧血、頭皮の皮膚疾患など原因はさまざまです。
とくに、髪全体が薄くなるびまん性脱毛は、多くの疾患との鑑別診断が必要です。原因に合わない治療薬を使っても効果は期待できず、症状を悪化させてしまうこともあります。
まずは、皮膚科などの医療機関を受診し、血液検査や頭皮の診察を通じて、正確な診断のもと、治療方針を立てることが大切です。
副作用が日常生活も影響している
ミノキシジル内服薬は、毛包への血流を促進することで、発毛を促進します。しかし、全身の血管を拡張させる作用があるため、心臓や循環器系への影響が出ることがあります。
具体的には、動悸やむくみ、息切れなどが副作用として報告されています。心血管疾患をもつ方や高齢の方は、副作用の症状が生活に影響をきたす可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。
副作用が続いたり強く現れたりする場合は、無理に治療を続けず、医師に相談して中止や他の治療法への変更を検討しましょう。
1年以上内服しても効果を感じない
たとえば、ミノキシジル内服薬は、一般的に服用開始から3〜6カ月程度で発毛効果が現れ始め、6〜12か月程度の使用で改善が見られるとされています。ただし、効果の現れ方には個人差があります。
2020年の研究では、女性型脱毛症の患者に低用量のミノキシジル内服薬を約9か月間投与したところ、約80%が毛髪の改善を自覚したと報告されました。一方、効果を実感できないケースは約20%であり、すべての人に有効とは限らないことも示唆されています。[5]。
1年以上継続しても変化が見られない場合、薬剤が体質的に合っていない可能性や、他の原因による可能性もあります。定期的に治療内容を見直し、医師と相談のうえで治療方針を再評価することが重要です。
ホルモンと薄毛治療薬の関係

男性とは異なり、女性の薄毛はホルモンバランスや加齢の影響が大きく関係しています。ここでは、女性型脱毛症(FAGA)やびまん性脱毛症の特徴と、ホルモンとの関係について見ていきましょう。
女性型脱毛症(FAGA)とは
女性型脱毛症(FAGA)とは、加齢とともに進行する女性特有の脱毛症です。とくに、分け目やつむじ付近の髪の毛が細くなり、毛量が減っていくのが特徴です。
男性型脱毛症とは異なり、前頭部の生え際の後退は目立たず、髪全体のボリュームが減っていく傾向があります。発症の背景には、加齢やホルモンバランスの変化、毛包がアンドロゲン(男性ホルモン)の影響を受けやすくなることが関係していると考えられています[6]。
びまん性脱毛症とは
びまん性脱毛症は、頭部全体の毛が均一に薄くなるタイプの脱毛症です。原因はさまざまで、栄養不足、甲状腺疾患、ストレス、薬剤性、ホルモン異常などが挙げられます。
なかでも、ホルモンバランスの乱れとの関連が指摘されています。ある研究では、脱毛に悩む女性を対象に、ホルモン分析を行いました。結果として、女性ホルモンのバランスが乱れる病気である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と関連があり、排卵に関係するホルモンの比率が異常を示すケースも確認されています[7]。
女性型脱毛症とびまん性脱毛症は見た目の違いがわかりにくいため、自己判断は避け、専門医による診断を受けることが重要です。
加齢や閉経による女性ホルモンの変化
女性は40代後半から閉経にかけて、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が急激に減少します。エストロゲンには、毛髪の成長をサポートする働きがあるとされており、分泌量が低下することで、髪が細くなったり抜けやすくなったりすることがあります。
さらに、女性ホルモンが減少すると、相対的に男性ホルモンの影響を受けやすくなり、薄毛が進行するリスクが高まります。ホルモンと薄毛は密接に関係しているため、髪のボリュームが気になり始めたら、早めに医師に相談するとよいでしょう。
薬以外の女性の薄毛治療法

女性の薄毛治療法には、内服薬や外用薬の他にも、薬を使わない治療法があります。ここでは、メソセラピーと低出力レーザー治療の特徴や注意点について見ていきましょう。
メソセラピー
メソセラピーは、成長因子やビタミン、アミノ酸などの有効成分を、頭皮に直接注入する治療法です。毛包を活性化させ、発毛を促す効果が期待されています。
2019年の研究では、ミノキシジル5%外用薬と週1回のメソセラピー注入を比較したところ、毛包数の増加はメソセラピーの方が多いという結果でした。[8]。
また、副作用が少なく、治療が続けやすい点もメリットとされています。
ただし、使用する薬剤や成分は医療機関ごとに異なります。実施内容については事前にしっかり確認し、信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。
また、メソセラピーはエビデンスが徐々に蓄積されつつある段階にあります。標準治療としては確立されていないことは、理解しておきましょう。
※メソセラピーは、自由診療となります。
低出力レーザー治療
低出力レーザー治療は、赤色のレーザー光を頭皮に照射し、毛包の細胞代謝や血流を活性化させることで、発毛を促進する治療法です。身体への負担が少なく、薬に抵抗がある方にも取り入れやすい選択肢です。
2021年の研究では、週2回16週間のレーザー治療を行った結果、女性型脱毛症患者の毛髪数の有意な増加が見られたと報告されました[9]。
副作用の報告は少なく、安全性の高さが特徴です。ただし、すべての人に効果があるわけではないため、治療を始める前に医師と十分相談しましょう。
女性の薄毛対策におすすめの栄養素

女性の薄毛は、加齢やホルモンバランスの変化だけでなく、日々の食生活とも密接に関係しています。ここでは、薄毛対策におすすめの栄養素を見ていきましょう。
タンパク質やL-シスチンを摂取する
髪の約80〜90%は、ケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されています。タンパク質を十分に摂取することは、髪の成長と質の維持に欠かせません。
なかでも、ケラチンの合成に必要なL-シスチン(アミノ酸の一種)は、髪のおもな成分となる重要な材料です。L-シスチンを意識的に補うことで、毛髪の密度やツヤの改善が期待できます。
2019年に行われた研究によれば、L-シスチンを含むサプリメントを12週間摂取したところ、髪の密度や明るさが改善したことが報告されました[10]。
卵や大豆製品などをバランスよく摂取することで、自然な形でタンパク質とL-シスチンを取り入れることが可能です。
ビタミンやミネラルを摂取する
髪の健やかな成長を支えるためには、タンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルの働きも欠かせません。ビタミンやミネラルは、髪の細胞分裂や新陳代謝、頭皮の血行に関係しており、健康な頭皮環境を維持するうえで重要です。
なかでも、注目したい栄養素として、以下が挙げられます。
ビタミンB群:細胞の再生や代謝に関与し、髪の成長をサポート
ビタミンC:抗酸化作用があり、毛細血管の健康を保ち鉄分の吸収を助ける
鉄分:酸素を毛根へ届ける役割がある
亜鉛:細胞分裂やタンパク質合成に関わり、髪の生成に不可欠
たとえば、ほうれん草や人参などのビタミン、かぼちゃ・ブロッコリー、アボカドなどのミネラルを意識的に摂取しましょう。髪の新陳代謝が促され、抜けにくく健康な髪を育むことにつながります。
糖質や塩分の摂り過ぎは避ける
髪の健康を保つためには、過剰摂取を避けるべき成分にも注意が必要です。糖質や塩分の摂り過ぎは、血糖値や血圧の急激な変動を引き起こし、間接的に頭皮や毛包に悪影響を及ぼす可能性があります。
とくに、糖質の過剰摂取はインスリン分泌の乱れを招き、ホルモンバランスの崩れや慢性的な炎症の原因となることがあります。
ある研究では、精製された炭水化物(白米・パンなど)の過剰摂取が、女性型脱毛症のリスクを高める可能性があると報告されました[11]。
今日からできる女性の薄毛対策

ここでは、今日から始められる薄毛対策を3つご紹介します。
頭皮マッサージ
血行を促進する頭皮マッサージは、日常的に取り入れやすい薄毛対策のひとつです。
研究によると、1日数分のマッサージを6か月以上続けた人のうち、68.9%が髪の状態が改善した実感があると回答しています[12]。
以下のような手順を参考にしてみましょう。
部位:おでこの生え際、側頭部(耳の上)、頭頂部、後頭部など
方法:指の腹で、頭皮自体を動かし押すように動かす
時間:朝や入浴後などに行う
やや強めでも心地よいと感じる程度で、爪を立てず、指の腹を使うことがポイントです。テレビを見ながらや、入浴中などに取り入れてみてください。
適切なシャンプー
頭皮や髪の健康を保つには、シャンプー選びも重要です。皮膚が敏感な方や乾燥しやすい方には、低刺激性のアミノ酸系シャンプーが向いています。洗浄力がやさしく、皮脂を落としすぎずに頭皮環境を整えられるのが特徴です。
また、洗髪の頻度も大切です。頭皮は乾燥しすぎても、皮脂が過剰に残ってもトラブルの原因になります。自分の頭皮の状態に合った頻度で、丁寧に洗うよう心がけましょう。
睡眠
髪の成長は、深い睡眠中に分泌される成長ホルモンの影響を受けると考えられています。睡眠不足や生活リズムの乱れが続くと、ホルモン分泌や自律神経のバランスが乱れ、髪の成長サイクルにも悪影響を及ぼす可能性があります。
成長ホルモンは、入眠後の深いノンレム睡眠中に多く分泌されるため、睡眠の質を高めることが大切です。とくに、就寝前にスマホやパソコンの画面を見続けると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、入眠しにくくなる場合があります。
たとえば、照明を暗くする、ぬるめの入浴をするなど、リラックスできる環境を整えましょう。
オンライン診療における女性の薄毛治療

近年、薄毛に悩む女性の間で、オンライン診療のニーズが高まっています。ここでは、オンライン診療のおもなメリットを3つ紹介します。
1.プライバシーへの配慮がある
薄毛の悩みは、とてもデリケートです。対面での相談に抵抗を感じたり、通院する姿を周囲に見られたくないと感じたりする方も少なくありません。
オンライン診療は、自宅にいながら医師に相談できるため、人目を気にせずに安心して治療を進めることが可能です。自分のペースで受診しやすくなるという点でも、利用のしやすさは大きな魅力といえるでしょう。
2.時間や場所にとらわれない柔軟な受診体制
仕事や家事、介護などで忙しい女性にとって、病院に通う時間を確保するのは簡単ではありません。オンライン診療では、自分のライフスタイルに合わせて診療時間を選択でき、移動時間や待ち時間も不要です。
また、全国どこにいても利用できるため、近隣に専門クリニックがない方でも、継続的な薄毛治療を受けることが可能です。
3.費用や心理的ハードルが軽減される
オンライン診療は、交通費や時間的コストがかからない分、全体の負担が軽くなることが期待できます。一部の医療機関では、初診料や再診料がオンライン専用に設定されている場合もあります。
まずは相談だけでもしてみたいという方にとっても、手軽に医師と離せる環境があることで、治療への一歩を踏み出しやすくなるでしょう。
女性の薄毛治療薬に関するよくある質問

ここでは、女性の薄毛治療について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q1女性の薄毛を確実に治す方法はありますか?
現時点で、女性の薄毛を確実に治す方法はありません。ただし、進行を抑えたり、毛髪の量や太さを改善したりする治療法は複数あります。
治療薬としては、ミノキシジル外用薬や内服薬、スピロノラクトンなどの抗アンドロゲン薬、パントガールなどが、よく用いられています。
まずは、薄毛の原因が女性型脱毛症(FAGA)によるものかどうかを医師に診断してもらい、適切な治療を選ぶことが重要です。
Q2治療をやめたらどうなりますか?
多くの場合、治療を中止すると、ゆっくりと治療前の状態に戻ってしまう可能性があります。たとえば、ミノキシジル外用薬では、通常8〜16週で効果が現れる一方、中止すると数か月以内に効果が失われる可能性が高いとされています[13]。
自己判断で中断せず、医師と相談のうえ、必要に応じて中止や他の治療への移行を判断することが大切です。
Q3薄毛治療は保険が適用されますか?
女性型脱毛症(FAGA)の治療は、基本的に公的保険が適用されない自由診療です。ただし、甲状腺疾患や膠原病、鉄欠乏性貧血などの疾患によるものであれば、基礎疾患の治療については保険が適用される場合があります。
まずは、保険診療で検査・診察を受け、原因を明らかにすることが大切です。そのうえで、必要に応じて自由診療を検討する流れが一般的です。
Q4薬の効果はいつから出ますか?
薄毛治療薬の効果はすぐには現れず、一定の継続期間が必要です。一般的には、使用開始から3か月程度で抜け毛の減少や髪の太さの変化が見られ、6か月以降に発毛効果を実感する方が多いとされています[14]。
毛周期の関係から、即効性は期待できません。医師の指導のもとで、半年以上の継続使用が推奨されます。
Q5ミノキシジルは心臓や腎臓に負担をかけますか?
ミノキシジルは血管拡張作用があり、内服では全身の血管が拡張され、血圧が下がる可能性があります。そのため、心臓や腎臓などの持病がある方は、副作用のリスクが高まることがあります。
報告されている副作用は、むくみや動悸、心拍数の増加、息切れなどです。[3]使用にあたっては、医師の慎重な判断が必要です。
Q6妊娠中・授乳中でも治療できますか?
妊娠中や授乳中は、多くの薄毛治療薬の使用を控えるべきとされています。とくにミノキシジル内服薬やスピロノラクトンなどは、胎児や乳児への影響が懸念されており、安全性が確立されていないため、推奨されていません。
実際、近年の臨床試験では、妊娠中や授乳中の女性は治療対象から除外されており、使用されるべきでないことが示唆されています[15]。
薄毛でお悩みの方は早めに医師に相談しましょう

女性の薄毛は、ホルモンバランスや加齢、ストレス、栄養状態など、さまざまな要因が関係しています。治療法には内服薬や外用薬のほか、注入治療やレーザーなど薬を使わない方法もあります。
最近では、通院が難しい方でも続けやすいオンライン診療も普及しています。また、食事や睡眠といった生活習慣の見直しも、髪と頭皮の健康維持に役立つでしょう。
薄毛の進行を防ぎ、適切な治療を受けるためにも、早めに医師へ相談することが大切です。一人で抱え込まず、まずは専門家の診察を受けて、自分に合ったケアを始めましょう。
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