AGA血液検査とは?治療前に必要な理由や検査内容、結果の見方を解説

AGA(男性型脱毛症)は進行性の脱毛症であり、放置すれば抜け毛が増え、薄毛が目立つようになります。薄毛の進行を食い止めるには早期の適切な治療が重要です。しかし、AGAの治療項目に血液検査があることを知り、「薄毛の治療なのになぜ?」と不安や疑問に思う人もいるかもしれません。


本記事では、AGA治療前に行う血液検査の目的や必要性、検査内容について詳しく解説します。結果の見方や費用、受診方法についても紹介しているので、AGA治療を検討している人は参考にしてください。


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AGA治療前に行う血液検査とは?

AGA治療を始める前には、安全性確認を目的として血液検査を行うことがあります。AGA治療を安全に進めていくためには、薄毛の原因を見極め、症状に応じて適切な治療薬を処方する必要があります。


特に治療薬を使用する場合は、副作用のリスクや薬の効果を見極めるために、服用前に体の状態を正しく把握しておくことが大切です。血液検査はこうした個人差を考慮し、医師が適切な治療方針を立てるための重要な判断材料となります。

AGA治療前に血液検査が必要な理由とは?

AGAの原因や進行状況は人それぞれ異なり、体質や健康状態によって治療薬の反応も変わります。血液検査は治療の安全性と有効性を調べる重要な検査であり、主に以下の項目を調べるために行われます。


  • 薄毛・抜け毛の原因とAGAの関連性

  • 肝臓機能低下と副作用リスク

  • AGAの遺伝子検査


それぞれ必要な理由を具体的に見ていきましょう。

薄毛・抜け毛の原因とAGAの関連性

AGA治療を適切に進めていくためには、まず薄毛の原因を明確にすることが先決です。AGA(男性型脱毛症)は、主に男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)や遺伝的要因が関与する進行性の脱毛症ですが、抜け毛や薄毛の原因はAGA以外にも甲状腺ホルモンの異常や鉄欠乏性貧血など多岐にわたります。


血液検査は、AGA以外の病気が原因でないかを確認し、安全に治療を始めるための参考になります。なお、AGAは血液検査だけで診断できるわけではありません。

肝臓機能低下と副作用リスク

AGA治療で使用されるフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬は、体内で肝臓によって代謝されます。肝機能が低下していると、薬の成分がうまく分解・排出されず、体内に残留する時間が長くなり、副作用が起こるリスクが高まるため注意が必要です。


血液検査によって肝機能の数値を確認することで、治療前にリスクの有無を把握し、投薬治療ができるかどうかの判断ができるようになります。

事前の安全性確認と治療の適否判断

AGA治療の効果には個人差があり、体調や個々の体質によっても異なります。


血液検査で体の代謝の状態などを確認することで、治療を始める前に安全性をチェックできます。


ただし、治療薬の効き目はAGAの進行度合いなどによっても変わってくるため、血液検査だけで全ての薬の効果を予測できるわけではありません。血液検査の結果はあくまで目安として捉え、治療薬の選択や副作用のリスクを減らす参考にしましょう。


<h3>AGAの遺伝子検査</h3>

AGAの血液検査では、遺伝子検査(唾液・頬粘膜など採取方法は検査により異なる)を追加実施する場合があります。なお、遺伝の影響を調べる目安として使われることもありますが、この検査だけで治療法が決まるわけではありません。

AGA治療における血液検査のチェック項目

AGA治療前の血液検査では、体全体の健康状態を多角的に確認します。AGA治療前に行う血液検査で分かる主な項目は以下の通りです。


  • 肝機能の数値:AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTP

  • 甲状腺ホルモンの数値:甲状腺刺激ホルモン(TSH・FT3・FT4)

  • その他の数値:ヘモグロビン・血糖値・中性脂肪など


これらの検査結果は、医師が治療方針を立てる上での判断材料となり、AGA治療の安全性と有効性を高める役割を担います。ここでは、血液検査で確認される主な項目と結果の見方について具体的に見ていきましょう。

肝臓の機能を確認する検査結果の見方

AGA治療薬を安全に服用するために、肝機能のチェックは必要不可欠です。先に述べたように、フィナステリドやデュタステリドなどのAGA治療薬は主に肝臓によって代謝されるため、医師が肝機能を確認し、必要に応じて、薬を使えるかどうかや服用の回数を判断します。また、AGA治療薬に限らずどんな薬にも言えることですが、薬の服用により肝臓に負担がかかり、別の疾患につながる可能性も懸念されます。


血液検査で分かる肝機能の評価や基準値は以下の通りです。なお、検査機関・性別・年齢によって基準値は異なります。


項目

基準値

AST(GOT)

7~38 IU/L

ALT(GPT)

4~44 IU/L

γ-GTP

50 IU/L以下


これらの数値が基準値を超えている場合、肝臓が炎症や機能低下を起こしている可能性があります。軽度であれば生活習慣の改善などで数値は回復しますが、AGA治療薬の服用の際はリスクを伴うため、医師に判断を仰ぎましょう。数値の異常がみられた場合は、薬の使用を見送るか、より肝臓への負担が少ない方法を選択することが推奨されます。

甲状腺ホルモン値の検査結果の見方

AGAと区別しにくい症状のひとつに、甲状腺ホルモンの異常による薄毛があります。甲状腺は体内の代謝を調整するホルモンを分泌する器官で、ホルモンが不足または過剰に分泌すると代謝が乱れて抜け毛につながります。AGAと同様に脱毛が見られるため、鑑別診断には血液検査によるホルモン値の確認が欠かせません。


血液検査では、主に以下のような項目が甲状腺機能の評価に使用されます。
※基準範囲は検査機関により異なります。


項目

基準値

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

0.35~4.94(μU/ml)

FT3

1.68~3.67pg/mL

FT4

0.7~1.48 ng/dL


これらの数値が正常範囲から外れている場合、甲状腺機能低下症やバセドウ病などの可能性があり、AGAとは違うタイプの脱毛と判断されることがあります。正確な診断が行われれば病気の進行を防ぐことができ、脱毛の原因に応じた適切な対策が可能です。

その他の検査項目の見方

脱毛の原因は多岐にわたるため、AGA治療を安全に進めるには生活習慣病や体調全般に関わる検査項目も広く確認することが大切です。例えば、血糖値や中性脂肪、コレステロールといった数値は代謝の状態や血管の健康状態を反映しており、これらに異常がある場合、治療による身体への負担が大きくなる可能性があります。


さらに、貧血がないかを確認するためには、ヘモグロビンやMCVといった血液の基本的な検査項目も大切です。MCVとは、赤血球の平均的な大きさを示す数値で、この値を調べることで鉄不足による貧血やビタミン不足による貧血など、貧血の種類を判断する手がかりになります。


内服薬を用いる場合は、血管に作用するため腎機能や電解質のバランスなど、循環器系の検査もしておくと安心です。


以下に、その他推奨される血液検査のチェック項目をまとめました。


カテゴリー

主な検査項目


血糖値

生活習慣病関連

LDLコレステロール


HDLコレステロール


TG(中性脂肪)

腎機能

クレアチニン


eGFR

鉄欠乏性貧血

ヘモグロビン


MCV

電解質バランス

ナトリウム(Na)


カリウム(K)



AGA治療の血液検査の方法と流れ

AGA治療における血液検査は、主に対面診療とオンライン診療の2つの方法があります。ここでは、それぞれの検査方法や診療の流れについて詳しく見ていきましょう。

病院やクリニックで採血する場合

AGA治療を対面で受ける場合、初診時に血液検査を行うのが一般的です。医師の診察に加え、患者さんの健康状態や体質を客観的に把握する目的で、採血による検査が行われます。検査の内容や手順は病院やクリニックによって多少異なるものの、基本的な流れは以下の通りです。


【対面診療における血液検査の一般的な流れ】

  1. 予約・受付

  2. 医師による問診・視診(脱毛状態の確認、生活習慣などの聞き取り)

  3. 採血の実施(結果が出るのに1週間程度かかる場合も)

  4. 検査結果の説明(後日)

  5. 治療方針の決定(治療薬の種類・投与量など)


もし血液検査で異常値が見つかった場合は、必要に応じてさらに詳しい検査を追加したり、専門医に紹介されたりすることもあります。特に肝機能やホルモン値に問題があると、内服薬の使用が制限される可能性があるため、慎重な判断が必要です。

オンライン診療で血液検査キットを使用する場合

近年、忙しい人や通院が難しい人の間で注目されているのが、オンライン診療によるAGA治療です。オンライン診療では自宅にいながら診察ができ、血液検査も採血キットにより手軽に行うことができます。以下で、オンライン診療における血液検査の流れをチェックしていきましょう。


【オンライン診療での血液検査の流れ】

  1. スマートフォンやパソコンで診療予約・問診

  2. 医師の診察(ビデオ通話などで症状や体調を確認)

  3. 血液検査キットの取り寄せ(自宅へ配送)

  4. 指示にしたがって自宅で採血し、検体を返送

  5. 検査結果を後日オンラインで確認(再診)

  6. 結果に基づき治療方針が決定、薬を配送


オンライン診療では自宅にいながら診察から採血、薬の処方までを完結させることが可能です。血液検査キットには詳細な手順書が同封されており、採血が初めての人でも安心して利用できます。

※測定できる項目はキットにより異なります。必要項目を満たすかは事前に医療機関へ確認しましょう。

AGA血液検査は無料でできる?費用相場まとめ

AGA治療前に行う血液検査の費用は、受診するクリニックや病院、診療形態などによって異なります。なお、AGA治療に伴う検査は多くのケースで自由診療ですが、他疾患の診断目的で必要と医師が判断した検査は保険適用となる場合もあります。一般的な相場としては、1回当たり5,000〜10,000円前後が目安とされています。ただし、遺伝子検査を追加する場合など、検査の内容や項目数によって金額が変動することもあるため、事前の確認が重要です。


一方、AGAオンラインクリニックにおける採血キットの場合は、費用が数千円〜数万円と変動します。中には、初回診察や治療開始を条件に血液検査を無料で行っているクリニックもあります。また、検査費用が治療費に含まれているケースもあるので、事前に確認しておくと安心です。

AGA血液検査で投薬不可と診断された場合の代替治療法

血液検査の結果によっては、肝機能の低下や甲状腺ホルモンの異常などが確認され、AGA治療薬の服用が適さないと診断されることがあります。


しかし、AGA治療には内服薬以外にも複数の選択肢があるため、服用できない場合でもあきらめる必要はありません。ここでは、投薬以外の具体的な治療法について紹介します。

外用薬の使用や正しい頭皮ケア

AGA治療薬の内服が難しい場合には、外用薬や頭皮ケアによる改善を目指します。外用薬の場合、広く使用されているのがミノキシジルです。

ミノキシジルは頭皮に直接塗布することで血管拡張作用等が関与するとされ、一定の発毛効果が認められている外用薬です。ただし、外用薬にも副作用のリスクがあるため、使用前に内容をよく確認しましょう。


また、日常的な頭皮環境の見直しも大切です。頭皮にやさしい成分のシャンプーを選び、爪を立てず指の腹で優しく洗うこと、皮脂を洗い流し過ぎないようぬるま湯で洗うことを習慣化すると、頭皮の健康状態を保つ可能性があります。なお、効果には個人差があります。


このように、外用薬の使用と正しい頭皮ケアを組み合わせると、内服薬に頼らずにAGA対策を行うことが可能です。継続的なケアと専門医のアドバイスを受けながら、自分に合った方法を見つけてみましょう。

生活習慣の改善

生活習慣の見直しはAGAの進行を抑え、健康な頭皮環境を保つ上で欠かせません。髪の成長には、栄養・睡眠・血流のバランスが密接に関係しているため、日々の生活習慣を整えることで発毛環境を内側から整えることができます。


まず、栄養バランスの取れた食事を取り入れましょう。特にタンパク質や亜鉛、ビタミンB群は髪の成長に関与するとされているので、意識的に取り入れるのがおすすめです。次に、十分な睡眠の確保や睡眠の質の向上を意識しましょう。成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、夜更かしや睡眠不足は頭皮や髪に悪影響を与える可能性があります。


こうした基本的な生活習慣を整え、適度な運動を取り入れてストレスを溜めないように過ごすだけでも、薄毛対策の一助となる可能性があります。なお、効果には個人差があります。


また、喫煙や過度の飲酒は血行不良の原因になるため、できるだけ控えるようにしましょう。

AGA血液検査に関するよくある質問(FAQ)

AGA治療を開始するに当たり、血液検査に関する疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。血液検査は治療の安全性と効果を高めるために重要なステップですが、検査内容や頻度についての理解が不十分なままでは、不安や迷いを感じてしまうこともあります。ここでは、AGA治療前の血液検査に関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。

健康診断の血液検査結果で代用可能?

AGA治療を検討している人の中には、過去に健康診断を受けて血液検査をした人もいるでしょう。検査項目が重複していれば、検査結果をAGA治療に使えないかと思う人もいるかもしれません。


健康診断で受けた血液検査の結果がそのままAGA治療に使えるかどうかは、検査内容や実施時期によって異なります。基本的な項目である肝機能や血糖値などは参考にはなりますが、一般的な健康診断ではAGA治療に必要な甲状腺ホルモン値や詳細な肝機能の数値までは含まれていないことが多いです。


また、検査から6ヶ月以上が経過している場合は、現在の健康状態を正確に把握できないため再検査が必要になるケースもあります。特に、AGA治療薬の服用は継続的な安全管理が求められることから、血液検査のデータが古い場合は最新の状態を確認することが大切です。不明な点がある場合は必ず医師に相談し、必要な検査を受けるようにしましょう。

AGA血液検査の頻度はどれくらい?

AGA治療は内服薬での治療がメインとなるため、安全かつ効果的に続けるためには、定期的な血液検査による体調管理が重要です。まずはAGA治療を始める前に一度、血液検査を受けることをおすすめします。これにより、治療薬の服用に適した体の状態かどうかを確認し、副作用のリスクなどを回避できます。


その後も治療が継続している場合は、3〜6ヶ月に1回の頻度で再検査を行うのが一般的です。もし、副作用の兆候や体調の変化が見られた場合には、検査時期に関わらず速やかに再検査を受けるようにしましょう。

AGA治療前の血液検査は安全に配慮した適切な治療のため推奨されています

AGA治療を安全かつ効果的に進めていくためには、体質や健康状態をチェックできる血液検査が推奨されています。血液検査を行うことで、肝機能や甲状腺ホルモン値などを含む全身の健康状態を事前に把握でき、体質に合った治療薬の処方や副作用のリスクを抑えた適切な治療方針を立てることが可能になります。


通院をして採血をする時間がとれない場合は、オンライン診療による血液検査キットを活用しましょう。血液検査キットを使えば、自宅にいながらスムーズに検査と治療を始めることができます。薄毛に悩み、AGA治療を検討している人は、オンライン診療の利用も選択肢の一つです。安全で無理のないAGA治療のために、まずは血液検査から始めてみましょう。

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